表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恒星未来伝―Protect Your Eterein―  作者: くろめ
別世界からの来訪者
48/64

Re:6 数か月の世界

 研究所で、室内で、言葉を発する者は、朝倉ただ一人だった。

 辺りはあまりにも静かで、生きた心地がしないぐらいに、息苦しかったのを良く覚えてる。自分のことに直結する問題だからだろうか。それとも朝倉が心理を操っていたのだろうか。如何にも得意そう。先ほどまで笑っていた自分に、このとき喝を入れた。

「何から話そうか……。そうだな、君たちにも理解がしやすいよう、簡潔かつ具体的に述べようか……」

 そう言ってソファーから立ち上がると、コツコツと辺りを歩き回り始める朝倉。その後ろ姿を見るに、余裕そうで、それであって真剣なんだろうと取れる。

 ……ふうと息を吐き、再び吸ったところで、振り返り、そして、衝撃的なことを述べる。


「我々は、別世界から来た人間だ」




 その言葉が、僕らの時を止めた。


 彼は何と言っただろう。


 ……別世界。


 別世界といえば、SFやファンタジーでよく見るアレだよね。マンガや小説では、「異世界」なんて呼ばれていることもある。

 そんなフィクション染みたことに、憧れることはあっても、現実にあり得るとは思えなかった。

「そ、そんなこと、信じられません!!」

「オイラ達を下手(したて)に見ているんじゃないのか?」

 僕と、表情をムッとさせたベガがほぼ同時に文句を立てると、それに同情した朝倉が直ぐに返答する。それも、皮肉かのように。

「信じられないのも無理はない。いや、むしろ、信じる必要などないさ。君たちに詳細なことを述べたとしても、混乱するばかりなのだからね」

「納得できないな……」

 モヤモヤとした表情を崩さないまま、一方的な会話は続く。

「フムそうか。では、先ほど夜天君も問うてきた、目的ぐらいは述べておこうかな……」

 彼は先ほど以上に真面目な顔になり、周りの空気もピリッとしてきていた。何故か、緑髪からもそれを感じ取れた。

「私たちの目的は、この世界の真理を知ることだよ」

 世界の真理。それは、世界中のどの学者もが目指しているもの。数学者だろうと、物理学者だろうと、化学者だろうと関係ない。皆が目指し、そしてたどり着いた者はいないとされるその『領域』らしい。

 何故だか、僕にはその話が、他人事のようには思えなかった。自分自身も、その『領域』に関わっているような、そんな気持ち。自分自身が最近見るようになった『予知夢』。これは一体なんなのだろうか。ひょっとして、自分の運命を決めているのだろうかって。この話が出てから、ずっと感じてるんだ。


「そんなことよりも。君たちにとってはもっとも大切なことを教えてあげよう」

 朝倉は緑髪の少年の目を、笑顔で見つめる。

「アルト、自己紹介をしてごらん」

「はいぃ!!」

 弱々しいけれど、強めの姿勢で反応をする緑髪の少年は、改めて見ても、ベガと勝らずとも劣らず、可愛らしい容姿をしていた。エメラルドグリーンに近い髪であり、瞳も同じ色をしていて、とっても綺麗だったと思う。髪質はやや癖っ毛だったかな……結構天候に影響しやすそうな髪をしていた。身長は僕よりも低めで、低身長な朝倉よりもほんの少しだけ高かった。その舌っ足らずなしゃべり方だけでなく、声の質も、僕らよりも幼いように感じる。

 ベガが幼い少女のようだとするならば、この子は、幼くひ弱な少年だろうか。

「えっと……」

 もじもじと、たどたどしいその仕草は、兄弟面をして愛でたいほどには、可愛いと感じた。


「初めまして、なのです。僕の名前は……」

 この出会いは、本当に僕らを引き付けていたもの、もっと言えば、運命だったと感じてる。


「……『朝比奈アサヒナ 星夜セイヤ』、なのです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ