その12 学習机にて
特にすることも無いので、自分の部屋に戻る。
だが、部屋に戻って遊ぶようなことは、正直あまりない。
こう見えて僕は屋外派だったりする。普段から適当な所をぶらついたり、買い物をするのが好きだったり、あるいは深夜に天体観測をしたり。
スポーツはそんなにできないけどね。
その影響なのか、ゲームの類を欲しいと思ったことはあまりない。ユメはよく、読書を勧めてくるけれど、正直活字は自発的に読もうと思えない。だから断ってる。最近は執拗に言ってくるようになってきてるから厄介だ。
『このTSモノ面白いの。でもただのTSじゃなくて、一風変わったタイプ。しかも、しかもこの主人公の子、男の子でも女の子でも、どっちでも可愛いの!!』
なんて言ってきた。そもそもTSって何だろう。「体育(T)したい(S)モノ」かな。
あれか、良く言うスポコン系。
そうか、ユメはそういうのが好きなんだ……。
今度好きそうなの探して、買ってきてあげようかな。
……それにしても。これからは、火の始末は絶対に忘れないようにしないとなぁ。「二度あることは三度ある」なんて言うし、後一回ぐらいは火に関する事故が起きても、おかしくはないからね。
下手をしたら、自分の命すら、危うくなるだろう。予知出来ない未来の方が、僕には多いし、余計に気を付けないと……。
それと、明日こそは、何か手がかりを掴まないと。
ベガの手がかりを探る毎日だが、一向に見つかることはない。
朝倉研にも協力してもらっているが、それだと断定できる答えにはたどり着いていない様子。どうにかベガを助けてあげたい。
……でも、ずっとこの星で生きてほしい気もする。
ベガの真実を知る日を望むようで、拒むような気持ちがモヤモヤと心の中で絡まっていく。
まあ、でもそれを考えても仕方がないよね。
あとどれぐらい一緒に居られるかなんてわからない。でも、今から思い出を沢山作っていけば、別れが来ても、きっと悲しくないよね。そうだよね。
僕はそれを信じてる。今の時間を大切にしよう。
それが、記憶のないベガにとって、一番幸せなことだろうから。
「ふぁ~あぅ」
難しいこと考えてたら、僕も眠たくなってきちゃった。
少しだけ、寝ることにしよう。僕も疲れちゃったから……。




