表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ・ムーンテイカー!  作者: ひろつー。
5/42

  テイク1  月の来訪者(4)

 

 目を開けると——お子さまウサギがいた道路の真ん中が、小さなクレーターに変わっている。その中心には、屹立するムーンテイカーの姿が。


 強ッ! オレが助ける必要あったのか? いやソレより、

「あああ……オレと星伽の通学路が……。オマエらムチャクチャだな! って、お子さまウサギはドコ行った!?」

「うぐぐぐぐっ! ……あ痛あああぁぁっ!? タ、タコノコ……っ?」

 吹き飛ばされた先、反対側の竹林の中で。ツインテールがちょっとアフロ気味になったハーレクイーンが、お尻を押さえてぴょんっと跳び上がった。同情。でも無事みたいだ。

「こーなったら、コッチも切り札なんだからっ!」


 そう宣言したお子さまウサギ大は、コスチュームのパ●ツ部分に手を突っ込んで——ニンジンを一本取り出した。


「ポリポリポリ……っ。美味しいっ♪」

 ああ。お食事シーンがホントに小動物みたいでカワイイなぁ……いや!

「ちょっと待てオマエ! ソレどっから出した!?」


「むっ? ヘンな想像しないでよねこのエロゴリラっ! タイホしちゃうよっ? コレは《時空倉庫スペースストレージ》と言ってねっ、四次元空間にストックしていた備品を取り出しただけだよっ!」


「ダレがエロゴリラだ!? って、四次元パン●???」

 すまん。もーついていけねえ。

「えーから早くしろや。オヤツはもう食い終わったんか?」

 退屈そうに耳をほじる関西弁美少女。態度悪ッ。


「ナメないでよねっ! 元気いっぱい、ヴァイタル・エナジー充填完了! ——《エアリアルの:ウインガ》!」

「そーやな、ココは狭いし、空でやっか! ——《エアリアルの◯ウインガ》!」


 ——ヴヴヴンッ!

 素早く指で同じサインを形成した両者の背中に——光り輝く翼が顕現した。

 枚数は、どちらも八枚。マジ? コイツら飛べちゃうの!?


「オイ、オマエら! 飛んでいっちまう前に、ブッ壊した道路を何とかしやがれ!」

「ん……っ!? そうねっ。ムーンテイカーっ、あなたが壊したんでしょっ? 何とかしなさいっ!」

「何でやねん。ソンなんは公務員のお仕事やろ? オマエがやれや!」

「ぐむむむ……っ! 仕方がないねっ。コラっ、レッキス起きなさいっ!」

 ちょーど足下に転がっていた小さいほうを、げしげしと蹴るハーレクイーン。

「むにゃ……? 何ですかぴょんハーレクイーンさま?」

「この破壊後を修復しときなさいっ! 以上っ!」

「わ、わかりましたぴょんっ!」 

 飛び起きて、律儀に敬礼するウサ耳小。ドコの世界にもパワハラってあるんだなぁ。


「じゃあ決着を付けるよっ! 『ザ・ムーンテイカー』っ! ——《不可視インヴィジブル障壁スクリーン》!」

「いつもどーり、返り討ちにして時空の彼方へ跳ばしたるで! ——《不可視インヴィジブル障壁スクリーン》!」


「なッ!? き、消えやがった……ッ!」

 もう、何でもアリみたいだ。そして間もなく星が瞬く空の上で、両者の姿は見えないが、何かが激突する激しい衝撃音が繰り返された。あのー、ムッチャ音モレしてますけど?

 そしてその音は、どんどんと遠ざかっていく。


「むにゃむにゃ……。えーと、《環境レスト修復レーション》……」


 目をこすりながら、反対の手でサインを形成し、壊れた道路や地面を修復するウサ耳小——レッキス。

 律儀だなぁ。あ、こんなに小さいのに、けっこー胸がある……。減点だ。

「オマエら……何モンなんだ? さっき、月の警察とか何とか……」

 オレの問いに、水色の髪のレッキスは、そのポニーテールをびくっと振るわせ、


「か、過去の民間人には、教えるわけにはいかないぴょんっ! ……でもあとでおとなしくハーレクイーンさまに記憶を消してもらうなら、ちょっとだけ教えてもいーぴょん」


「怖いコト言うな! あ……さっきはブッ飛ばしちまって悪かったな。痛くないか?」

 レッキスは不思議そうにこちらを見つめ……ぽっ、と、その頬が赤くなる。あれ? 

「へ、へへへいきだぴょんっ! レッキスたちは、この時代より二百年後の月面から、大泥棒の『ザ・ムーンテイカー』を追って——」


 ——パッパアアアァァ————!


 クルマのクラクション。あ、向こうからやって来るのは、星伽ん家のリムジンっぽい。

「! とりあえずココは撤収して、ハーレクイーンさまに加勢だぴょん! このことは記憶を消されるまで、ダレにも言うなぴょん! ——《エアリアルの・ウインガ》&《不可視インヴィジブル障壁スクリーン》!」

「ムチャクチャ言うな! オイ、待ちやがれ——」


 ちびウサのレッキスのほうも、四枚の翼を出現させながら姿を消してしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ