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ザ・ムーンテイカー!  作者: ひろつー。
27/42

  テイク7  千年の星姫(1)

 ——ぶにゅうっっっ!!!


「ぐわあああぁぁッ!?」

 顔面にものすごい圧迫感を感じ、オレは強制的に目覚めさせられた。

 目の前には、ぷりっとしたリリオの——お尻。

 うん。ちょっとだけ新しいパターンだ。いや、


 ——ヴヴヴヴヴンッ!


「ぐはあッ!?」

「……いっだあ……ッ!」

 そのままの体勢で吹っ飛び、何かバリアのようなものに当たって弾かれるオレとリリオ。

 何だ? 状況がのみ込めない。

 あのあと。帰りの便の『クロノス・ゲート』を通って——


「いててて……。ココは?」

 痛む鼻を押さえながら、きょろきょろとあたりを見回す。

 どーやら、塔の内部最上階へと、無事もどっては来たようだ。

 そして何かの力で飛ばされたリリオごと——壁の寸前に張ってあった結界らしきものに当たったらしい。


「——失礼しました、瑠琉南さん。大丈夫ですか?」


 聞き覚えのある、鈴の音のような澄んだ声。

 ああ。やっぱり——



「——星伽……ッ!」



 円形状の部屋の中央。

 七色に輝く巨大な宝玉——『スーパーセブンルース』の前に立ちはだかるのは——


 氷のように澄んだ、儚げな瞳。

 腰まで伸びた、黒絹のような髪。

 新雪のように、白く抜けた美肌。

 女神の彫像のごとく、清廉な姿。

 ダレもが認める、絶対的美少女。

 ——そして、オレのヨメ(だったらいーなぁ)。


 見間違うはずもない。なぜならオレは毎晩そのプリントアウト写真を——もとい、毎日一緒にガッコーへ通う、無二の親友だ。

 残念ながら……、いや幸いにしてマッパではなく、天女の羽衣のような、薄い白地の布を身にまとっている。(でも、ちょっと透けてる……ッ!)


「はい、瑠琉南さん。あの、そこをどいていただけませんか? 家宝を狙う泥棒さんを、成敗いたしますので」


 微笑をたたえながら物騒なセリフをはいた星伽の両手には、白く輝く巨大な薙刀。——薙刀の二刀流?

「……ルルナ。ココまで付き合ってくれて、サンキューや。……もーオリてもえーんやで? ぐふッ!」

 咳き込みながら、よろよろと起き上がるムーンテイカー。

 その整った顔も、艶かしい身体も——あちこち、傷だらけだ。


「ッ!? オマエ、ボッコボコじゃねーか! やられたのか? 星伽に……」

「セイカ——シャレにならへん強さやで。お宝が吹き飛ばん程度にウチが出力をセーブしとるとはいえ、攻撃がまるで通じへん。姿を消しても見破られる。……ウチが今まで対峙した中で、間違いなく最強クラスや」

「! そ、そんな……バカ、な……」


 そんな話、聞いてねえ。

 星伽がケンカしてるとこなんて見たコトねーし、バカなナンパ野郎どもにからまれたときは、いつもオレが助けてやってた。オレと知り合う前だって、如月さんたちにそーしてもらってたはずだ。

 第一、勉強は最強クラスだが、運動は苦手なはず。

 こんなの、オレの星伽のキャラじゃーねえ。

 ソレとも今までの星伽が——演技だったとでもゆーのか?

 とまどうオレに対し、リリオはとどめのように衝撃の事実を告げる。


「ルルナ、信じられへんか? ウチもやで。まさかセイカが——ウチと同じ、《マキナ》と『天条双月流』の両刀使いやったとはなぁ」


「——————————なッッッ!?」

 そん、な。

 《マキナ》を、使える、だと?

 だったら星伽は————この時代の人間じゃねーのか!?

「ほ、ホントか? 星伽」

 すがるように問いかけるオレ。しかし、


「はい、そうですよ? 瑠琉南さん」


「——!」

 平然と、答えられた。さらに、

「じゃ、じゃあ、今までのトラップやなんかも——全部、オマエの仕業だってーのか?」

「ええ。あ、すみません。驚きましたか?」

「…………」

 絶句するオレ。じゃあ、オレとリリオは、これまで星伽の手の平で——


「そービックリすんなや、ルルナ。ウチの今までの経験やと、いかにもって感じのゴリゴリのワルそうなおっちゃんより、案外こんな善人タイプのほうがムッチャ強くって、全ての黒幕やったりするもんや」

 ぽん、と、オレの肩を叩くリリオ。

「いや、そーゆー問題じゃねえ。なあ、星伽」

「なんでしょう? 瑠琉南さん」


「オマエはいったい————何者なんだ?」


 返答によっては。オレと星伽の蜜月の日々は。

 全て——嘘。だったコトに、なる……?


「それは…………秘密です。解いてみて下さい」


 人差し指を唇にあて、妖しくほほえむ星伽。

 こんな星伽は、見たコトねえ。

 やっぱり——女の子には、秘密がいっぱいだ……。

「ま、しゃーないな。だましとったのは、お互いさまやし」

 コキコキと首をならし、両手でサインコードを切りながら、前へと進みでる『ザ・ムーンテイカー』。


「そしたら身体に訊くまでや! 《三日月クレッセントバスター》×2(デュアル)!」


「ま、待てリリオ!」

次回、リリオ × 星伽!?

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