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ザ・ムーンテイカー!  作者: ひろつー。
11/42

  テイク2  お嬢さまの好きなひと(2)

「ウチはルルナの……、えーと、同い歳のイトコのリリオや! よろしゅーな!」

「えっ!? は、はいっ。わたくしは瑠琉南さんのクラスメートの、十条星伽です。よろしくお願いします……」


 純白のワンピースに身を包んだ、あいかわらず完全美少女な星伽は、その白魚のような手でウソつき少女と握手を交わす。

 まあ、子孫だって紹介しても意味不明だしな。

 たっぷり眠って、ヴァイタル・エナジーとやらが回復したからなのか、リリオの髪色は金色比が増し、髪留めも半月に変形。同じ色の瞳も半月のように輝きを増している。

 わかりやすいな、オイ。

 ちなみにオレの貸した、オレが滅多にはかないデニムのミニスカートは、やっぱりコイツにぴったりだ。


「で、ココがルルナの子分の家かいな。ガチャガチャ」


「子分じゃねえ、幼なじみの弟分だ……ってコラ! 針金で玄関の鍵をピッキングしてんじゃねえッ!」

「いだッ!? 脳天チョップは禁止やで、アホになってまうで?」

「オマエはもう十分にアホだ。お見舞いに来たんだから、普通にインターホン押せ!」

「うう……、わかったで。でもおとなりなんやし、何でバルコニーから侵入せーへんのや?」

「星伽がムリだろ」

「そーなんか?(ピンポーン)ソレ逃げろッ! うぐぐべげッ!?」

「ガキか! ……あ」


 ピンポンダッシュをかまそうとした子孫の首根っこを捕まえたオレを、ジト目でみていた星伽が、

「ルルナさんとリリオさん……、仲、いいんですね?」

「そーやで! 一緒にお風呂入ったり、抱きあって眠る間柄……きゅうッ!?」

 オレがそのヘッドロックに力を込めたとき、

 ——がちゃり。


「あ。る、瑠琉南さんと、十条さん、いらっしゃい……」


 お見舞いの相手が、現れた——はず。

「……なールルナ。声はすれども姿が見えへんで?」

「あー、コイツは幽霊並に存在感ねーからな。まあ、イジメッ子から隠れるにはちょーどいーが、オレにはわかるぜ? くんくん。この子犬のような匂いは……そこだッ!」

 ビシッと、開いた玄関を指差すオレ。当たり前か。


「あ、あはははは。瑠琉南さんはあいかわらず面白いなぁ」

「こんにちは、レイくん。もう元気になったんですか? 心配したんですよ?」

「う、うん。ありがとう十条さん。昨日の昼には熱も下がって、もう治ったみたいだよ」

「そうなんですか? よかったです……」

 にっこりと微笑む星伽。

 何この雰囲気? 男性恐怖症のはずの星伽が、最近コイツとだけは、普通に……。


 ——まさか。星伽はホントに、コイツを——


「あ、あの。瑠琉南さん、そちらのかたは——?」

「気づくのが遅いでボケが!」

「ひ、ひいいいいぃぃっ!? い、いぢめます!?」

「……ルルナ。コイツめっちゃS魂をくすぐられるんやけど、イジメてえーんか?」


「——許す」


「え? えええぇぇっ!? 何で? る、瑠琉南さーん……」

 半泣きというか、もう泣いているレイ。あいかわらずのヘタレだなぁ。

「ちょっと、瑠琉南さん、リリオさん。レイくんは病み上がりなんだし、優しくしてあげて下さいね?」

「冗談だ。(半分)」

「ウチはルルナのイトコのリリオや! 忘れたらシバキ倒すで!」

「ふ、ふえええぇぇんっ! る、瑠琉南さーん! い、いぢめられっ」

 さっとオレの影に隠れる、ヘタレの幼なじみ。


「おーよしよし。泣くなレイ、男の子だろ? リリオ、そのへんにしとけ」

「そーやな。まー立ち話もなんやし、部屋へ上がってくつろいでや」


「オマエが言うな!」



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