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リーングラードの学び舎より  作者: いえこけい
第六章
357/374

Chasing a rabbit

 朝になり、自分はいつもより早い時間に出勤しました。


 防衛案の強化を目指し、裁定権を得るためには学園長だけには任せていられません。

 自分ができる根回しはしておくべきでしょう。


 というわけでベルベールさんに手紙を書きながら防衛案を突き詰めていきました。

 もっとも学術施設に裁定権が必要かどうかの問題もありますし、現状はともかく近い将来、学園と領主で取引がなされ、正式に一時拘留権や限定的裁定権くらい得られるとは思います。


 そうしないと昨夜のように【輝く青銅】としての裁定権を使わざるを得なくなります。


 独自裁定権はバカ王、もしくはタクティクス・ブロンドの同意が必要な以上、やはり一般向けとは言えないでしょう。


 犯罪者を処分するのにいちいち書類を書くのも大変ですからね。


「が、やはりというか線引きが重要になるだろうな。仮に生徒たちに術式具の使用を許可させたとして、どの状況なら使ってもいいのか? という疑問は当然、出てくる」

「盗賊が襲ってきた程度では適応されませんか」

「そもそもが今計画は初期なだけあって上級冒険者が警護しているくらいだ。これが次回の計画であったのなら都市部のどこかに作られ、警備もずいぶん落ち着いたものとなるだろうな。そうなったら盗賊程度では領主の私兵が片付けてしまう。今計画を基礎として防衛案を出して、次回の計画の予算案に不備を残すようなことになったら遡って我々の不手際を晒してしまうことを考えると、場所や状況ではなくもっと個人的なものを線引きにするべきか?」

「個人的な線引きというのも曖昧な話ですよ。実際、人によって命の危険がどこまでを指すのかわかりませんしね」


 自分なら盗賊相手に命の危険を感じたりしませんが生徒たちにとっては命がけの相手になります。

 個人的な線引きというのは本人の資質や性能、性格に左右されてしまうということです。


「落としどころとして無難な線は緊急事態であり生徒たちの身の安全が保障されない状況に限る、というところだろうな。判断を教師がすることによって二重三重に考えられていると訴えられる……、なんだヨシュアン?」


 シャルティア先生がジト目でこちらを見ていました。

 いや、昨日の今日でごくごく普通に会話しているシャルティア先生に驚くというよりも、自分も含めて何ら違和感がないことが違和感でした。


「いえ、そういえば昨日、気を失うほど飲んだのに二日酔いは大丈夫なんですか?」

「不思議なことにないな。あれだけ飲めば流石の私でも朝から悠々と会話なんぞしていられないぞ」


 ん? 今、何かが頭に引っかかりそうになりました。


「ぼやっとしている場合か。その草案は今日中に提出する予定なんだろう? ヘグマントにも見せるつもりなら昼までには仕上げたいんじゃないのか」

「そうでした。放課後は放課後で用事がありまして……、あまり時間がないんですよね」


 言われてみれば確かにそうです。

 予定も詰まっているので今の内にアポイントメントを取っておきましょうか。


「あぁ、そういえばシャルティア先生。今日の夜、お暇ですか? 酒の泉が枯れて心地よい時間にはなりづらいでしょうが」

「そんな誘い文句があるか」


 珍しいことに苦笑いされました。

 しかし、すぐに目はしなやかなレイピアのように細く尖りました。


「できる限り用意する努力くらい見せてもらわないとな。私を誘うんだぞ?」


 そう言って、シャルティア先生は席を立ちあがり、何かの書類を探し始めました。


 シャルティア先生も反対派の保護者を説得する材料探しをしなければなりませんしね。

 主に昨日の失態を取り返すために。


 自分が原因の一つだと思うと少し申し訳ない気になりますが、クレティアスへの対処は必要です。

 病み上がりではありますが頑張ってもらうとしましょう。


 職員会議が終わり、通常授業を終えて昼飯をヘグマントと摂りながら草案を突き詰めて、午後授業が終わればもう放課後になりました。

 駆け抜けるような今日でしたが、まだまだ話は終わりません。


「さて。今日の放課後、少し先生と皆で出かけましょうか」


 学活が終わった後、自分は生徒たちにそう当たり前のように告げました。


「あれ? あたしだけじゃなくて?」


 マッフル君が荷物を片付けようとした姿勢のままで聞いてきました。

 他の生徒たちも同じように固まっていました。


 やはり決闘のことやら保護者のことやら色々と気になることがあるのでしょう。


「えぇ。マッフル君には言うべきことがありますがその関連で全員にも協力してもらおうかと思いまして」

「ふーん。で、やっぱり決闘はやることになったわけ」


 本当は決闘の内容を早朝に伝えておきたかったのですが、あえてマッフル君には詳しく話さずに来ました。


「遺憾ながら。それと少々、理由もありましてね。詳しくは出先で話しましょう」


 決闘の介入を禁じられている手前、人の耳がある中で語るほど馬鹿なつもりはありません。


「そして、クリスティーナ君とエリエス君。二人の三者面談は保護者がいないからできないという話をしたと思いますが進路相談自体はやる、というのは覚えていますね?」

「もちろんですわ」

「はい」


 クリスティーナ君とエリエス君は素直に頷いてくれました。

 が、根が素直な二人とは違い、マッフル君はジトっとした粘着質な目を向けてきました。


「結論を先延ばしにして、どっか行くことだけ押してくるってことはさ。今、先生、面倒なことになってるでしょ」


 えぇ、えぇ、君たち親娘と学園長のせいですが何か?


 一方でマイペースなリリーナ君はさっさと支度を整え、セロ君の手を握っていました。


「お出かけでありますかー。めくるめく淫靡な予感がするであります」

「いんび? おでかけなのです」


 三者面談の影響でしょうか?

 ちょっとダウナーなセロ君もリリーナ君につられるように微笑みました。


 リリーナ君も意識改善があったとはいえ、セロ君はまだまだ保護対象なんでしょうね。


 自分は生徒たちを連れて、正門をくぐりました。

 先月、決闘のために居留地に向かった自分と違い、生徒たちは約半年ぶりに学園の敷地の外に出た、と言えるでしょう。


 厳密に言うと生徒会活動中は学園敷地内を出ていますので半年ぶりとは言い難いのですが、正門から向こうは出たことがなかったのでそう考えてしまいました。


 あぁ、そういうことですか。

 自分の中では正門から向こうはリーングラードの外、という認識なんでしょうね。


「目的地って親父のとこ?」


 マッフル君は正門をくぐったと同時に質問してきました。


「えぇ。他のクラスも先生たちに連れられ、居留地に向かう予定です。今日は先生のクラスだけですね」


 これは無理を言って一番を譲ってもらい、しかもヨシュアンクラスだけで行くことを了解してもらいました。

 本当は全クラスを率いて教師三名の予定でした。


 居留地に向かう理由は採寸と制服の手直しのためです。

 自分も強化された多関節鎧の調整のために一度、居留地に向かわなければなりませんでしたし、なんかもう一人、知り合いが来ているみたいなので顔を見せにいく予定です。


「ふーん。先生、買い物とかはしてもいいんだっけ?」

「構いませんよ。買い物自体の許可は先にちゃんと取っています。保護者――お父さんやお母さんに会いたい子もいるでしょうからね。別に買い物をしなくても様子を見にいくだけでも構いませんよ。ただ一人で居留地に向かうことはできません。必ず複数名、四名以上で警備員さんにお願いして一人は着いてきてもらうように」

「それは別にいいし、親父とか保護者関係って学園内に泊まってもらっても……、あ、ダメか。そういや国政の実験だったっけ、学園って」


 マッフル君は頭の後ろに手を回したまま、色々と納得したようにコクコクと頭を振っていました。

 するとふと思い出したかのようにそのままの態勢で振り返り、後ろ向きで歩き出しました。


「親父の商隊からなんか買うのは癪だけど、そろそろ生徒会用の防寒着とか毛布生地とか欲しかったし。親父のことだから絶対に大兎かオウセンを取り扱ってるはず。大兎なら共有費用で十分、足りるけどできればオウセンのを買いたいわけ。だから今回の買いは全部、あたしに任せてほしいんだけど」


 流石というか筋金入りというかマッフル君は決闘内容よりも買い物に思考が向かっているようです。

 自分がまだ話さない以上、決闘について考えても時間の無駄だと割り切ったのでしょう。


「ぁのあの……、オウセンって何なのですか?」


 トコトコと走り、自分の隣に来たと思ったら右裾をちょこんと摘まんできたセロ君が首を傾げて聞いてきました。


「大兎とオウセンとは毛皮に使われる原生生物のことですよ。どちらもリーングラードにはいませんので商隊から買うしかありませんね。オウセンに関してはいつもの商隊では扱いが難しいのでグランハザード商会で手に入れるしかありませんね」


 大兎は俗名で、兎のような体格をしていますが純然な兎とはかなり違います。

 少なくとも自分の知る兎にはくちばしやら尻尾に鱗やら生えていませんしね。

 大きさは大体、セロ君くらいで人を襲わず、食性も草食で柔らかい草を好んで食べます。

 毛皮の代名詞と言えばこいつでしょう。


 生徒たちでも十分に狩れる相手ですが、残念なことにもう少し北か南にしか生息地がなく、うまい具合にリーングラードにはいないんですよね。


 オウセンは竜によく似た翼をもった豹と言えば近いでしょうか?

 全体的にすらっとした体格で成人男性くらいの大きさにまで成長するのですが、こいつに関しては生徒たちでは少々、厳しいですね。


 強さの上下というよりも狩猟の仕方が問題です。

 逃げる素早い獲物をどのように追い詰めるのか、本職の経験が必要な相手ですからね。


 ある程度、説明するとセロ君は納得するように首を小さく縦に振りました。


「マッフルの口ぶりと先生の説明だとオウセンの毛皮の方が高く感じますが、高い分、性能が高いのでしょうか」


 エリエス君もこれを機と見たのか無感動の瞳に好奇心の火を灯していました。


「どうでしょうね。どんな素材も何に使うのかで選ぶものです。防寒具として使うのなら安さと量がある大兎の方が優秀でしょうね。ただオウセンは強い防水性があり、雪や雨にも強いので毛皮に蝋を塗らなくても済みますね。リーングラードの冬はそう荒れると聞いた覚えがないので大兎で十分だと思いますよ」

「蝋? 毛皮にですか」

「そうですよ。君たちの使う鞄や布袋にも同様の処理が行われています。蝋を擦りつけ、暖炉の火や専用の熱風機で蝋と布を馴染ませます。もちろん術式でも馴染ませられます」


 まぁ、蝋の値がそこそこすることを考えれば贅沢な処置です。

 木蝋と蜜蝋でまた値段も長持ち具合も変わりますし、匂いもあります。


「ちなみに蝋は町の錬成師から購入するといいですよ。自作できなくもありませんが手間がかかりますし、鍋やら笊が蝋専用になってしまうのでオススメしませんね」


 エリエス君がいつものようにメモ帳を取り出し、歩きながら自分が語ったことをまとめていました。

 セロ君は微妙にローテンションだったのですが少しは気を取り戻したのか、あるいはマヌエラ院長と会えるのでテンションが上がっているのかもしれません。


 でも、たぶんマヌエラ院長のことを考えてまたローテンションになるんでしょうね。

 それだけ迷っているのでしょう。


 決闘する気満々なマッフル君とは好対照です。

 こればかりは先生、手助けしてやれません。


「セロ君。グランハザードの商隊には普段の商隊と違って、面白いものや珍しいものがあるでしょう。知るということは選択肢を広げるということです。時に新しい何かを知ることも必要ですよ」


 ただ迷いをほんの少しだけ和らげてやれるだけです。

 それがどんなに慰め程度の言葉であっても、言わないよりもずっと良いでしょう。


「はぃ、なのです」


 気持ちが届いたかどうかはわかりませんが、セロ君は頷いてくれました。


「また愚民が勝手なことを!」

「言っとくけどいつもの商隊とは全然、違うから。値切ろうとして割高で買うなんて当たり前に起こるし、変に高圧的な出方したらゾロゾロ集まってくるから」

「そんな悪辣な商会が生き残れるはずがありませんわ! バカにしていらっしゃるの! 先生もこのおバカさんを注意してくださりません?」


 クリスティーナ君の怒った澄まし顔には悪いのですが、先生、ちょっと素直に説得できそうにありません。


「クリスティーナ君。マッフル君の言葉はほぼ当たりです。むしろ王都に本部を構えた今でこそ大人しく、行儀よくなりましたが末端はまだ押し売り押し買い当たり前、詐欺まがいに恫喝、利権が絡めばさらに押しが強くなるという厄介な商会ですよ?」


 故にマフィア扱いなんですよ。


「なんでそんな商会が生き残っていますの! こういうときこそ【輝く青銅】のような断罪人の出番でしょうに!」


 目を逸らして、遠くを見るしかできませんね。


 何故ならグランハザード商会はその【輝く青銅】に装備や道具を作った組織ですから。

 自分の専用道具である【かむやまびこ】【がくつかみ】【つらぬき】【いみびき】の四種の素材も当然、グランハザードから強奪……、購入したものです。


 お代は出世払いかつすでに支払い済みですがもしも忘れていた場合、全面戦争も辞さないという有様です。


「グランハザードが乗っていたので本隊と言っても問題ないので、横暴なことはしないはずですが」

「親ならなおさらですわ。ここは気前よく娘のために素材やら武器やら宝石くらい、ドンと差し出すのが親でしょう」


 クリスティーナ君の親子との間にどんなやり取りがあったのか、少し見えてくる話ですね。


「残念ながら貴族と商人、いえ、身分だけではなく個人個人で親子の間柄は違うものですよ。少なくとも今、マッフル君とマッフル君のお父さんは敵同士ですので」

「……敵? どういうことですの」

「マッフル君から聞いていませんか?」


 これに意外な反応を、というより、いつの間にか前に出て顔を見せないマッフル君の背中の強張りから察しました。

 堂々と言っていたので説明くらいしていると思ったら……、あぁ、いや、違いますね。


 マッフル君は決闘とは言いましたが誰と誰が、ということについてあえて口に出しませんでした。


 つまり、マッフル君はクラスメイトに決闘のことを話していないようです。


「決闘をするという話なら昨夜、聞きました」


 と思ったらエリエス君があっさり口を開きました。

 いいですよ、その空気の読めなさ。先生、呆然としちゃいます。


「あのぁの……、セロも」

「リリーナも知ってるであります」


 クリスティーナ君の肩がプルプルと震えていました。

 ちょっと涙目ですね? 気持ちはわかります。


 どうしてクリスティーナ君にだけ、決闘のことを話さなかったのか。

 色々と想像はできますが一つだけ確かなことがあります。


「マッフル君。恥ずかしいのはわかりますがクリスティーナ君だけ、仲間外れは感心しませんね」

「恥ずかしいからとかじゃないし!?」


 いえ、恥ずかしかったんですよ。


 少なくともマッフル君も妙に頬が赤いですしね。


 マッフル君にとってクリスティーナ君は敵であり、味方であり、ライバルであり、そして、だからこそ対等な関係です。

 対等だからこそ身内との争いなんて聞かせたくなかった、聞いてほしくなかった。


 同情も見下しも、納得も共感も、何か一つ、言葉をかけてほしくなかった。


 そうなってしまったら対等とは胸を張っていえないから。


 実際、そんなことはなくても過剰反応してしまうんですよね。

 思いこんでしまうし、考え抜いてしまうから逆に腫れ物みたいな気持ちになってしまうんでしょう。


「どういうことですの?」

「………」


 クリスティーナ君の問いにマッフル君はプイと顔を背けてしまいました。

 それは雄弁な答えで、クリスティーナ君も理解したのでしょう。


 みるみる髪が逆立ち、柳眉に至っては急上昇まったなしです。


「貴女がそういう態度なら――ぎゃん!?」

「――なんで!?」


 よし。とりあえず二人とも、殴っておきましょう。


「先生、そういうお決まりをぶった斬りたくなる性分でしてね」


 蹲った二人を通り過ぎて、ちょっとだけ止まりました。


「簡単な話ですマッフル君。クリスティーナ君を信じなさい。そして、クリスティーナ君。マッフル君を信じなさい。お互い、大体、想像はついているでしょう? それでも納得いかないなら後でみっちり喧嘩しなさい。今回ばかりは全力戦闘も許しましょう。今は――」


 目の前に広がるのは拓かれた森。

 色とりどりのテントと屋台が並べられ、そこらかしこで動き回る人々。


 森の中のバザールを目の前に自分は振り向きました。


「――敵地ですよ」

「やぁやぁ! やぁやぁやぁ! 久しぶりだねトモダチ!」


 おおよそ敵地と言うにはあまりに大袈裟なソレから気配もさせずドンッと腰にしがみつく何かがいました。


 そいつは毛むくじゃらな兎耳をぴょこんと跳ね上げました。


「あぁ、相変わらず懐かしい匂いだ! 多くの仲間も同じようにボクと意見を同じくするだろう! 当然だとも! 旅人の君と出会いたいという仲間も多いが、ふふん! 君に関してはボクが担当だからね! ボク以外は遠慮願っているんだ! 大いなる岩の王ならボクの了見の狭さを窘めるけれどボクにだって古のヴィルヘイムのように旅人に道を示してやりたいんだよ! それは皆の夢でボクだけってことはないはずだ! 違うかな? そんなことよりもまた出会えて良かった! 君は他と違い、すぐ死にそうになるから色んな人からやりあった話を聞いて気が気でなかったくらいだよ! さぁさぁ! 今日はどんな話をしてくれるんだい? 君の道について聞きたいところだけどいつものように新しい服について、概念を示してくれるだけでもいい! 君たちの話は刺激的で情熱的で、それでいて郷愁の心に満ちている! だからこそボクたちも腕をかけて作りたくなってしまうんだけどね!」


 灰色の鼻をヒクヒクとさせて、小さな口のカン高い声で捲し上げる二足歩行の兎。

 まん丸い瞳は興奮しているのか何度も目を瞬かせていました。


 同じように生徒たちは目をパチパチとさせ、自分は拳を握りました。


「とりあえず落ち着きなさい」


 拳の腹で兎人の頭を叩きました。

 生徒たちにやるような威力で殴るとこいつらは死にかけますからね。


「ベルナット。人が生徒を窘めているところに現れないように」


 ベルナット・マグルはくるくると頭を回して、二、三歩後退するとゆっくりと半回転して倒れました。


 相変わらず弱い生き物ですね。

 そして、ふと気づきました。


 あれ? どうしてベルナットがいるんでしょうか?


 商会もベルナットが倒れた姿を見たのか、妙に慌てた雰囲気を醸し出していました。

 ここで頭を悩ましていても仕方ありません。


 中に入ってから考えてもいいでしょう。


 騒然とする中、自分はベルナットの首元を掴んで、生徒たちを手招きました。


 何故か生徒たちの目が批難の色を帯びているような気がしますが、きっと気のせいでしょう。


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