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第十章 第二節 駆除

殲滅隊の隊長である 高木が、

咄嗟にポールを受け止め、そのまま地面に突き立てた。

「……ここが限界だ!」

高木は声を張り上げる。

「攻撃に出るぞ!!」

その合図と同時に、ネットの裏に控えていた殲滅隊が一斉に躍り出た。

戦場は、木がやや疎らになった 約三五〇〇平方メートル。

サッカーコートの、およそ半分ほどの広さ。

ここが――

最終決戦の場だった。

殲滅隊は散開し、殺虫剤放射器を噴霧しながら前進する。

最初に仕留めたのは 和田だった。

剣道の防具で頭部・喉・腹部を固めた和田は、迷いなく踏み込み、寄生蜂を一匹叩き落とす。

次は 米山。

銃剣道で鍛えた踏み込み。

銃口を前に突き出す独特の動きで、一気に間合いを詰め、至近距離から殺虫剤を噴霧。

寄生蜂は痙攣し、崩れ落ちた。

若林は俊足を活かし、寄生蜂の背後に回り込む。

スタンガンの一撃。

怯んだ瞬間を逃さず、顔面に殺虫剤を浴びせて駆除。

高木は、強烈なタックルで寄生蜂を地面に叩き伏せると、至近距離から顔面へ殺虫剤を噴霧し、確実に仕留めた。

和久井は、首まで覆うよう金属を溶接した特殊ヘルメットで攻撃を受け止め、押し切るように前進して駆除。

他の隊員も、次々と寄生蜂を倒していく。

――序盤、

殲滅隊は圧倒的に優勢だった。

だが。

寄生蜂は、やられてばかりではなかった。

一匹に殺虫剤を噴霧していた 山県に、背後から別の寄生蜂が襲いかかる。

羽交い絞め。

強力な顎が、首を一気に断ち切った。

遠藤に飛びかかった寄生蜂は、腹を裂こうとする。

だが、鎖帷子に阻まれ、刃は通らない。

鈎爪が引っかかり、抜けなくなった瞬間、遠藤は殺虫剤を噴霧しようとする。

だが、寄生蜂の怪力で、木に何度も叩きつけられる。

全身打撲。

絶命。

そこへ 渡辺が駆けつける。

寄生蜂は、鈎爪の引っかかった自分の腕を切断し、後方へ逃走。

脇坂は、油断した一瞬を突かれた。

至近距離に踏み込まれ、得意の薙刀を振るう間もなく、顔面を顎で砕かれて死亡。

高木陸曹長 は再びタックルを仕掛ける。

だが、寄生蜂は飛翔してかわし、背後へ。

ヘルメットを顎で砕かれ、露出した頭部も、次の一撃で破壊された。

――殲滅隊は、すでに半数を失っていた。

目黒は、金属バットを振り回して牽制していた。

だが、バットが木に当たりバット動きが止まった、その一瞬。

寄生蜂が間合いを詰め、腹部を引き裂く。

死亡。

「……あと、何匹いる……?」

和田、苦しげに呟く。

「味方も……だいぶやられてる……」

前方の寄生蜂へ踏み出した瞬間、背後からの攻撃。

防具の紐を切られ、胴がずり落ちたところを、前方の寄生蜂に腹を裂かれて死亡。

この時点で、最も多く寄生蜂を仕留めていたのは 渡辺だった。

隙を突いて横に回り、殺虫剤を噴霧――

だが、不発。

残量が尽きていた。

渡辺は、寄生蜂の反撃をかわし、間合いを取る。

静かに、日本刀へ手をかけた。

寄生蜂が突っ込んでくる。

――抜刀。

胸部と腹部の、わずかな隙間へ刃を走らせる。

真っ二つ。

落ちた上半身の首へ、刀を突き立て、完全に仕留める。

順調に戦っていた 米山も、殺虫剤が尽きていた。

近くの 高木の遺体を見つけ、放射器を交換しようとした瞬間。

喉を掻き切られ、死亡。

若林も、俊足を活かして戦っていたが――

短距離選手ゆえ、スタミナが尽き始めていた。

動きが鈍ったところを、頭から腹まで一気に裂かれて死亡。

――残ったのは、渡辺ただ一人。

寄生蜂、五匹。

完全包囲。

渡辺は、ゆっくりと刀を鞘に納める。

居合抜きの構え。

一斉に距離を詰める寄生蜂。

間合いに入った瞬間――

居合一閃。

三匹を、まとめて切り伏せる。

空いた包囲の一角へ走り、日本刀を正眼に構える。

不用意に近づいた一匹を、胸部から袈裟懸けに切断。

銃弾すら通じない外骨格を、一刀で断つ技。

まさに、達人の域だった。

恐れをなしたかのように、最後の寄生蜂は動きを止める。

渡辺は一気に踏み込み、頭から腹まで、縦に一刀。

真っ二つ。

――周囲に、動く寄生蜂の姿はなかった。

渡辺はネットの先端へ戻り、殺虫剤を補充。

楽山に代わり、先頭に付いた隊員の護衛につき、渦巻きをさらに進めていく。


道中、殲滅隊の遺体、寄生蜂の死骸、卵を産み付けられた宿主を回収。

やがて、渦巻きの先端は中心へ到達した。

「……寄生蜂、全滅を確認」

無線が響く。

ネット部隊、殲滅隊は撤収。

火が燃え広がらない様に周囲の木々を伐採し、寄生蜂の死骸と宿主は、すべてその場で焼却処分された。

殲滅隊の遺体は回収され、後日、遺族へ引き渡されることになる。

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