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そのアタック、ロジック違反です! ~完璧主義の「恋」は、非効率に攻略されたい~  作者: トムさん


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5/12

第5章:ライバル(感情100%)の登場



正午をわずかに過ぎた研究室。

空気は、午前中の張り詰めた緊張ロジックから解放され、弛緩しかんしきっている。

あちこちのデスクから、コンビニの袋を開封する「カサカサ」という耳障りなノイズ(五感:音)が聞こえる。

昼食(エネルギー補給)というタスクに、各々が非効率な手段(雑談)を交えながら取り組んでいた。


私は、自席ワークステーションで、このノイズ(雑音)を完璧に遮断シャットアウトしていた。 ディスプレイには『Project: L.O.V.E.』のファイル。 画面には、赤文字(ERROR)で、二つのログが刻まれている。


[実験1:単純接触効果]:FAILURE(看破) [実験2:吊り橋効果]:CATASTROPHIC FAILURE(完敗)


(内面の混乱):(…なぜだ。なぜ私の論理ロジックは、彼(非論理)に通用しない? 計画プランは完璧だった。だが、夏目陽太の『直感ノイズ』は、常に私のシミュレーション(論理)を上回る。私のロジックが、彼のバグ(直感)に読まれている…?)


私は、キーボードの上で指を組む。 プランC(実験3)を立案(構築)しなければならない。 だが、どのような「論理」を組めば、あの「看破バグ」を回避できる? データが…圧倒的に「サンプル(陽太)の非論理データ」が、足りない。


(外面の無表情):私は、思考タスクをリセットするため、完璧な比率で調合した自作の栄養ゼリー飲料(カロリー、PFCバランス計算済み)を、淡々と摂取する。


その時だ。


トントン、と。 研究室のドアが、以前ログに観測した陽太の「突き破るような暴力的な開閉バグ」とも、 教授の「(ノックを伴う)論理的な入室(正常)」とも、 ましてや私自身が実行する「(計算された)完璧な開閉(最適解)」とも違う、 「遠慮」という非論理的な感情ノイズを含んだ音を立ててノックされた。

「…失礼します…」


(五感:視覚) 入ってきたのは、見慣れない女子学生。 私のデータベース(記憶)によれば、1年生の後輩。 彼女の服装データをスキャンする。 ・トップス:過度なフリル(非機能的装飾)。 ・スカート:ピンク色(感情的な色彩)。 ・行動:視線が定まらず、挙動不審(システムの不安定)。


(内面:分析):(…非論理的な記号フリル・ピンクで構成された個体。タスク(目的)が不明瞭。私(姫宮鏡子)への用件タスクである可能性は低い。ならば、無視スルーが最適解)


私は視線をPCに戻す。 だが、その非論理ピンクの個体は、私の横をすり抜け、まっすぐにある場所へと向かった。


――夏目 陽太の「汚染区域デスク」へ。


陽太は、デスクで突っ伏して寝ていた(非効率なエネルギー消費)。 後輩が、おずおずと彼の肩を揺らす。 「あ、あの…夏目せんぱい…」 「んあ…? (寝ぼけた声で)…あ、咲希ちゃん。どしたの」


後輩(咲希)は、顔を真っ赤(体温の異常上昇)にしながら、両手で何かを差し出した。 (五感:視覚) ピンク色の風呂敷。 中身は、二段重ねの「弁当箱」。


咲希:「あ、あの、これ! よかったら、お昼…! いっつもカップ麺とかだから…!」 陽太:「え、マジで? 作ってくれたの? うわ、悪いよ」


(内面:分析) (…検知。「手作り弁当」。) (アプローチ(手段)を分析する) [リスク1:栄養バランス] (視覚的情報ピンクが過多。論理的なPFCバランスである可能性は限りなくゼロに近い) [リスク2:衛生管理] (調理環境キッチンの無菌性、調理者(後輩)の衛生観念について、一切の論理的保証がない) [リスク3:効率性] (この物体(弁当)の調理に費やしたであろう時間リソースは、学術的タスク(学習)を著しく圧迫する)


(内面:結論):(…理解不能。非論理の極みだ。あらゆるリスク(バグ)を内包した「物体」を、他者サンプルに提供する行為。そして、それを受け取る行為。双方に何のメリット(ロジック)もない!)


私の完璧な「栄養ゼリー(最適解)」が、あの「非論理(リスクの塊)」と、同じ「昼食」というカテゴリに分類されていること自体が、不愉快だ。


咲希:「い、いえ! 先輩、いつもレポートとかで忙しそうだから…! あ、でも!」 後輩は、ハッとしたように顔を曇らせる。 咲希:「ご、ごめんなさい! 卵焼き、ちょっと焦げちゃって…! あと、タコさんウインナーの足も変になっちゃって…!」


(内面の混乱):(…何? 『失敗作』だと? 焦げ(エラー)? 変形バグ? 自ら『欠陥品デフェクト』であると申告アラートしたぞ!? なぜだ!? 欠陥品バグ提出デプロイするなど、論理的にあり得ない!)


私は、陽太が「(非論理的な相手に)悪いね」と、その欠陥品バグを「拒絶リジェクト」する瞬間を待った。 それが、論理的な「正解」のはずだ。


だが。


陽太は、頭をガシガシとかきながら、豪快に笑った。 「ははっ、マジか。咲希ちゃんらしいな。全然いいよ、サンキュー。美味そうじゃん」


(五感:視覚) 陽太は、その「失敗作(焦げ=バグ)」を、何の躊躇もなく受け取った。 そして、蓋を開け、その「非論理(卵焼き)」を、嬉々として口に放り込む。


(内面の混乱): (……………) (…受諾(ACCEPT)された…?) (…理解不能。理解不能。理解不能!) (私の『完璧な論理(実験1, 2)』は「看破」され「失敗(FAILURE)」した) (だが、あの後輩ライバルの『非論理的な失敗作(焦げ=バグ)』は、「感謝サンキュー」と共に「受諾(SUCCESS)」された) (ナゼ? ナゼ? ナゼ!?) (ロジック(論理)は常に正しい。私の計画プランは完璧だった。なのに「失敗」した) (感情(非論理)は常にバグだ。あの弁当プランは欠陥品だ。なのに「成功」した)


(外面の無表情): 私は、ディスプレイ(『Project: L.O.V.E.』ファイル)を見つめたまま、1ミリも動かない。 視界の端で、陽太と後輩(非論理)が「美味しい」「よかった」という、非生産的なコミュニケーション(ノイズ)を続けている。


(内面の混乱):(…私のロジックが、間違っているのか? いや、違う。間違っているのは、あの「非論理」を「受諾」した、夏目陽太の「処理(判断)」の方だ)


(五感:肌触り) カタ、と。 私の指先が、キーボードの上で、無意味な振動エラーを起こした。 システム(私)が、論理で説明できない「ノイズ」を検知している。 この「ノイズ」は、いったい、何だ…?


(内面:結論) (…実験プランCの再構築が必要だ。だが、どのような『論理』を組めば、あの『非論理(感情)』にまさるアウトプット(受諾)を得られる?) (データが、足りない…!)


私は、初めて「論理」の前に立ちはだかる、分厚い「非論理」の壁を、認識した。


(…第五章・了)


【シーン:大学・心理学部棟・研究室・昼休み】


(あー、腹減った) 昼休み。研究室には、カップ麺(俺の)のジャンクな匂いと、他の連中のコンビニ弁当の匂いが充満している。 俺は、昨日(プランB)の「吊り橋(茶番)エレベーター」事件を思い出しては、レポートの裏に「姫宮鏡子マシナリー観察日誌」なんていうメモを書き殴っていた。


[実験1:接触バレバレ] → 失敗フリーズ [実験2:吊りベタすぎ] → 失敗(大フリーズ)


(いやー、面白い。面白すぎるだろ、あの人)


「完璧」な「機械マシナリー」が、サンプルを攻略(実験)しようとして、そのたびに「俺の直感」に看破されて、「フリーズ」を起こす。 こんな最高のエンタメ(観察対象)、他にいるか?


(さて、プランCは、いつ来る?)


俺は、カップ麺をすすりながら、視界の端で、彼女を捉える。 …いた。 彼女は、今日も完璧な「無」の表情で、 (うわ、マジか) ランチとして、自作の「完璧な栄養ゼリー」を、寸分の狂いもないリズムで摂取していた。


(あれ、美味いのか…? いや、彼女マシナリーに「美味い」っていう『感情』は、搭載されてないか)


俺が、そんな「観察(分析)」をしている時だった。


トントン、と。 研究室のドアが、ノックされた。 俺の「暴力的な開閉」とも、姫宮さんの「計算された開閉」とも、教授の「論理的な入室」とも違う。 「遠慮(感情)」っていう、分かりやすいノイズを含んだ音だった。


「…失礼します…」 入ってきたのは、1年生の後輩、花岡 咲希ちゃん。 (お、咲希ちゃん。珍しい) 真面目だけど、空回りしやすい、ウサギみたいな後輩だ。


彼女は、研究室の空気にキョドキョドしながら、 (ん? 俺か?) まっすぐ、俺の「汚染区域デスク」に向かってきた。


(うわ、やめて。姫宮さん(マシナリー)が、こっちを「観測」する気配が、一気に強まったんだけど!)


咲希ちゃんは、俺がカップ麺をすすっているのを見て、ハッとしたように顔を赤くした。 「あ、あの…夏目せんぱい…!」 「ん、どしたの? レポート?」


「いえ! あの、これ! よかったら、お昼…! いっつもカップ麺とかだから…!」 彼女ウサギが、ビクビクしながら差し出してきたのは、 (うわ、出た。ピンク色の風呂敷) 二段重ねの「手作り弁当」だった。


(あー…これ、アレか。「後輩カオス先輩カオスに、手作り(カオス)を渡す」っていう、学園ラブコメの王道ベタイベントか…)


「え、マジで? 作ってくれたの? うわ、悪いよ」 俺は、とりあえず、社交辞令テンプレを返す。


だが、咲希ちゃん(ウサギ)は、俺の「社交辞令」を、真に受けてしまったようだ。 「い、いえ! 先輩、いつもレポートとかで忙しそうだから…! あ、でも!」


彼女は、急に「絶望」みたいな顔になった。 「ご、ごめんなさい! 卵焼き、ちょっと焦げちゃって…! あと、タコさんウインナーの足も変になっちゃって…!」


(…は?) (『失敗作』の、申告?)


俺は、思わず、吹き出しそうになった。 (『焦げ』? 『変形』? それ、言っちゃうんだ)


俺は、この「不器用」すぎる後輩が、なんだか面白くなってしまった。 同時に、俺の「直感」は、背後にいる「もう一体マシナリー」の、とんでもない「プレッシャー」を検知していた。


(うわ、姫宮さん(マシナリー)、絶対こっち見てる…!) (彼女にとって、この「焦げ」は、『論理的(あり得ない)』エラー(欠陥品)のはずだ) (ここで俺が、この「欠陥品」を『拒絶』したら、彼女マシナリーの「論理」は、どう反応する?)


(…いや) (…つまんね)


俺は、あえて、彼女マシナリーの「論理」を、裏切ることにした。 「俺」は、「咲希ちゃん」の味方だ(笑)。


俺は、頭をガシガシとかきながら、豪快に笑ってやった。 「ははっ、マジか。咲希ちゃんらしいな。全然いいよ、サンキュー。美味そうじゃん」


俺は、姫宮さん(マシナリー)に見せつけるように、その「欠陥品」の弁当箱を受け取った。 そして、蓋を開ける。 (うわ、マジで焦げてる。てか、タコさんの残骸、怖っ)


俺は、その「焦げ」た卵焼きを、一口で口に放り込む。 「ん、うまいよ、これ。俺、甘い卵焼き、結構好きだし」 「ほんとですか! よかったー!」


(よし、咲希ちゃん(ウサギ)、ミッション完了)


(…さて) (…本命マシナリーの、観測だ)


俺は、咲希ちゃんと「非生産的な会話」を続けながら、 全神経を、姫宮鏡子に集中させる。


(…………) (……………) (…うわ) (…『フリーズ』してる)


彼女は、ディスプレイを見たまま、1ミリも動いていない。 完璧な「無表情」だ。 だが、俺の「直感」は、彼女が今、 人生で最大級の「エラー」 に直面しているのを、ビンビンに検知していた。


(…なんで?) (…俺が、あいつ(咲希ちゃん)の「欠陥品」を「受諾」したから?) (…姫宮さん(マシナリー)の「完璧な論理(実験1, 2)」は、俺に「拒絶」されたのに?)


(…あ) (…もしかして) (…このマシナリー、俺を「攻略」しようとしてたのに、) (…俺が、咲希ちゃんの「カオス」に「攻略受諾」されちゃったから…) (…『嫉妬』、してんの…?)


(…いやいやいや。まさか) (あの『機械マシナリー』が? 『嫉妬』?)


俺は、 (…あり得ない(面白い)) と、口の中に残る「焦げ」の味を楽しみながら、 背後マシナリーで「フリーズ(熱暴走)」している「完璧な論理)」を、 (プランCは、これ(嫉妬)か?) と、ニヤニヤしながら「観察」し続けた。

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