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あなたへ  作者: 穂歩
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あなたへ

太陽の光が雲をよけてカーテンの隙間から指し込んでくる。 昨夜のことが夢だったのか、本当にあったのかまだよくわからない。机の上には、まだあの本が開かれたまま置かれている。

眠たい目を擦りベットから起き上がると恐る恐るページをめくると知らない文字が並んでいた。


「2023年2月18日 白本加奈、図書館に行く」


胸の奥がざわつく。

昨日と同じように、未来の一行。ただ、それは“誰か”が私の行動を見ているようでもあった。


――図書館へ行く


行かなければいい、そう思った。今日は家にいよう。本の通りに動くなんてばかばかしい。

そう自分に言い聞かせページを閉じ今日は家でレポートの続きをすることにした。


カーテン越しの光は少しずつ傾き、部屋の空気が冷えていく。外からは子どもの笑い声が聞こえた。5時のチャイムが鳴った。

――もう夕方か

ふと気になって、机の上の本に目をやった。


――ページが開いていた。


風なんて吹いていないのに、そこには新しい文字が浮かび上がっていた。


「約束を破ったね、白本加奈」


指先がかすかに震えた。

外の世界が静まり返り、時計の音だけがやけに大きく響いていた。



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