5/5
あなたへ
太陽の光が雲をよけてカーテンの隙間から指し込んでくる。 昨夜のことが夢だったのか、本当にあったのかまだよくわからない。机の上には、まだあの本が開かれたまま置かれている。
眠たい目を擦りベットから起き上がると恐る恐るページをめくると知らない文字が並んでいた。
「2023年2月18日 白本加奈、図書館に行く」
胸の奥がざわつく。
昨日と同じように、未来の一行。ただ、それは“誰か”が私の行動を見ているようでもあった。
――図書館へ行く
行かなければいい、そう思った。今日は家にいよう。本の通りに動くなんてばかばかしい。
そう自分に言い聞かせページを閉じ今日は家でレポートの続きをすることにした。
カーテン越しの光は少しずつ傾き、部屋の空気が冷えていく。外からは子どもの笑い声が聞こえた。5時のチャイムが鳴った。
――もう夕方か
ふと気になって、机の上の本に目をやった。
――ページが開いていた。
風なんて吹いていないのに、そこには新しい文字が浮かび上がっていた。
「約束を破ったね、白本加奈」
指先がかすかに震えた。
外の世界が静まり返り、時計の音だけがやけに大きく響いていた。




