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あなたへ  作者: 穂歩
4/5

あなたへ

「夜、肉じゃがをのどに詰まらせる」

息をのむ。文字のインクはまだ乾ききっていないように、かすかに滲んでいた。

試しにその本に自分の名前を書こうとした。私は焦ったように机に置いてあったシャーペンを取り出し名前を書こうとした。

けれど、それが“書かれる前”に、ページの下にもう一行が浮かび上がった。

「ようこそ、白本加奈」

その瞬間部屋の空気がふっと揺れた気がした。外の風の音がいつもより大きく聞こえる。

本の中では文字がゆっくりと形を変えてゆく。


「明日、白本加奈は――」


私は、続きを読むのが少しだけ怖くなった。

――けれど、それ以上に知りたくてたまらなかった。


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