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あなたへ
「夜、肉じゃがをのどに詰まらせる」
息をのむ。文字のインクはまだ乾ききっていないように、かすかに滲んでいた。
試しにその本に自分の名前を書こうとした。私は焦ったように机に置いてあったシャーペンを取り出し名前を書こうとした。
けれど、それが“書かれる前”に、ページの下にもう一行が浮かび上がった。
「ようこそ、白本加奈」
その瞬間部屋の空気がふっと揺れた気がした。外の風の音がいつもより大きく聞こえる。
本の中では文字がゆっくりと形を変えてゆく。
「明日、白本加奈は――」
私は、続きを読むのが少しだけ怖くなった。
――けれど、それ以上に知りたくてたまらなかった。




