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あなたへ
ページをめくる手が止まる。次の行にはこう書いている。
「ページの端にコーヒーのシミを作る」
慌てて机の上を見ると買ったばかりのアイスコーヒーが、カップの底から水滴を落としていた。ページの角に、ぽつりと丸いしみ。
心臓が跳ねる。けれど、怖いというよりなぜだか笑ってしまった。未来ってもっと大げさなものだと思っていたのに。
しかし、文章はそこで途切れていた。
私は本をそっと閉じた。未来が全部わかってしまうのはつまらない。でも、こうやって偶然が少しだけ未来を教えてくれるのならそれも悪くないと思う。
――ギシギシ
私が立ち上がろうとすると年季の入った椅子が鳴った。
本を棚に戻すとき栞が1枚、ひらりと落ちた。
拾い上げると、そこには小さな文字でこう書かれていた。
「また明日、ここで」




