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3-2 ビビアン、エドワードの助手に任命される


 それまで存在すら忘れられていたのだろう。わたしの大声にエドワードもブライト長官もぎょっと振り向いた。


「わたしもレッドキャップ殲滅大作戦に参加させてください! そのバースデーパーティー、わたしの友だちが招待されているんです!」

 アニーは行きたくなくても、お母様に連れられて行かざるを得ないはず。

 いつもわたしに優しくしてくれるアニーを放っておけるはずない!


「アニーはわたしの大事な友人なんです! だから助けたいんです! それにわたし、剣はかなり使えます! 人手不足なんですよね? わたしを使えば一挙両得だと思うんです!」

「なに言って……」「エクセレントぉ!!」



 エドワードとブライト長官がかぶった。ブライト長官はわたしの手をがっちりつかむ。


「なんという勇敢なお嬢さんだっ! 素晴らしい! 友のために剣を取って戦う……これぞ聖騎士の鏡だっ! よし! ビビアン・ローレンス嬢、君を今からエドワードの助手として正式に任命し、作戦に加えよう!」

「おいっ、何勝手に仕切って決めてんだよオッサン! 俺は助手なんていらない!」

「依頼主のリクエストには応えなきゃねえ。クライン商会はサービス悪いなーってすぐロンディニウムで噂になっちゃうよ?」

「……足元見やがってこのクソジジイ」

「え? 何か言ったかい?」

「何も言ってねえっ、ていうか力量もわからない人間を助手にするとか無茶苦茶だろうが!」

「えー? 力量なら充分だと思うよ? だってローレンス夫妻のお嬢さんだし。それにマーリン魔法学園の『剣姫』だからね?」

「……は?」


 エドワードがわたしを見る。


「こいつが? 『剣姫』?」

「そ。剣を握らせたらすごいらしいよ~。男子生徒でも彼女と対等に対戦できる子は少ないとか」


 なぜそれを知ってるんですかブライト長官?!

 ってお聞きする間もなく、ブライト長官はわたしの手に懐から出した白い封筒を握らせた。


「さあこれがパーティーの招待状だよ! ぜひ崇高なる志を以てパーティーの内側から善良な市民を守ってくれたまえっ」

 しかし横からエドワードが招待状をひったくる。

「招待状だよ、じゃねえっ、いくら学校の成績が良いからってこいつは学生ですよ?! 実戦は訓練と違う! 学生を命の危機にさらすんですか?!」

「だって人が足りないんだもん」

「だもん、じゃねえっ」

「エドワード、君が一緒なら大丈夫だろう?」

「そういう問題じゃねえ!」

「エドワード、わたしも作戦に加えて!」


 翡翠色の双眸がわたしを見る。

 その瞳をわたしは見返す。瞬きもせず。真っすぐに。



「貴方も、何か守りたいものがあるんでしょう。わたしだって」


 あの学園カーストにがんじがらめな生活で、アニーはいつもわたしを気遣ってくれた。

 そのアニーが危機にさらされているのに、じっとしているなんてできない!



「どうしても友だちを守りたいの。アニーが危険な目に遭っているのに自分が安全な場所にいるなんて、できない」



 エドワードの瞳の中に何かハッとしたものが宿る。

 わたしの向こうにある遠い何かを見てる――そんな気がした。



「ほらね? こんなに崇高な心を持っている学生も珍しいよ? 今すぐ聖騎士にしたいくらいだねえ~」

「……あんまりこいつを煽らないでください。仕事しずらくなるんで」

「エドワード、じゃあ!」


 絶対零度の魔王視線がわたしを睨む。


「ぜっっったいに俺の指示に従え。戦闘中は司令塔の指示に従わねば作戦を遂行できない。指示に従わなければ作戦の邪魔とみなし速攻切り捨てる。いいか」


 う、キツイお言葉。


「わ、わかりました」

 わたしは気を引き締めて頷く。

 するとブライト長官がぼそりと一言。


「……やっぱり、エドワードは根っからの聖騎士だねえ」

「何かいいましたか」

「ははは、何でもないよエドワード、僕は実に頼もしい部下を持って幸せだなーってね」

「俺はもう貴方の部下じゃありません」


 その言葉が聞こえなかったかのように、ブライト長官はぱん、と大きく手を叩いた。


「ということで! 二人とも、頼んだよ。聖都の治安を取り戻してくれたまえ! あ、エドワード、後で追加依頼分の請求書、聖騎士団宛てに出してね。んじゃ、健闘を祈るよ~」



 ブライト長官はひらひらと手を振って行ってしまった。



「ったく……せっかく指輪の解呪方法がわかったと思ったら次から次へと!」



 エドワードは『魔法全書』を棚に戻すと、猛烈な勢いで歩き出す。



「ちょ、ちょっと待って!」

 歩くの速い! ていうか足長すぎ! 追いつくのがやっとなんですけど!!

「ぼやぼやするな至急準備だ」

「え? 準備? なんの?」

「決まってんだろ。事務所に戻って戦闘とパーティー潜入の準備だ」



 そっか。

 授業じゃない、実戦なんだ。準備はぬかりなくやらないと。



「が、その前に湧いたレッドキャップを掃討しに行くぞ。依頼を受けた以上、功績が多いだけ報酬も上がるからな」

「……ずっと思ってたんですがエドワードって守銭奴ですよね?」

「おまえと違って経済観念が確立しているだけだ。足手まといになるなよ、『剣姫』」

「し、失礼な! 足手まといにはなりませんよ!」


 たぶん。いや、ぜったい!

 ロンディニウムの人々の安全と平和を取り戻して見せる。アニーを守ってみせるんだから!




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