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2-4 聖ベルナルド塔へ


「聖ベルナルド塔?!」

 白亜の巨塔をわたしは見上げる。

 わたしの人生目標。憧れの聖騎士団。その本拠地。



「できればここへはまだ来たくなかったが時間が無い。行くぞ」

「え? え?!」



 わたしは状況についていけず、白亜の建造物群にドキドキし、さっさと前を行くエドワードを追いかける。



「行くぞじゃないですよ、いきなり訪問とかたぶん無理ですよ?! アポイントメントが無いと!」

「いいからついて来い」

 エドワードは相変わらずのポーカーフェイスで巨大な噴水の広場を横切り、壮麗な正面玄関をくぐって受付の前に立った。



「失礼。エドワード・クラインだが、資料保管室を使わせてもらいたい。それからブライト長官にお会いしたい」

「ブ、ブブブライト長官って……聖騎士団長官の?!」



 アルビオン聖女王国民なら子どもでも知っている超VIP、数々の功績を挙げている生きた伝説レジェンドジョージ・ブライト聖騎士団長官。

 なぜそんな大物をいきなり御指名?!



「何言ってんですかっ、ぜったい門前払いでしょっ……って、あれ??」

 しかし受付の騎士は「少々お待ちください」と爽やかに応対し、いくつかの内線通話をしたかと思ったらすぐ、「資料保管室へご案内します、クライン様」と言った。



「どういうこと???」

 塩対応で追い返されるのかと思いきや、それこそVIPな扱いを受けているよね、これ。


 外部からの訪問者には厳しいはずの聖騎士団本部は、父様とうさまと一緒ですらわたしは中へ入れたことがない。


 だから初・聖騎士団本部潜入、なのだけれど――


 聖ベルナルド塔は中も白亜の瀟洒な造りで、いたるところに壮麗な彫刻が施され、緋色の絨毯に映えている。

 どこもかしこも白く、緋色の絨毯と控えめで上品な金銀装飾で統一されている。


「ふおおおお……素晴らしいわ!」

 初めて入る憧れの場所にわたしはもうすっかり舞い上がってしまってきょろきょろと歩いていると、

「ウロウロするなっ、せめて真っすぐ歩け不審者め。口を閉じろ。アホ丸出しだぞ」



 エドワードが肩越しに振り返る。

 ステンドグラス越しの陽光の下、神の造形物のような麗貌だが、口から出る言葉は魔王のままだ。



「もうっ、せっかく憧れの聖ベルナルド塔に入れて感動してるんですからっ! アホとか言われたら気分が台無しじゃないですか!」

「本当のことだから仕方ない。 歩きながら口開いてたらアホっぽいだろうが」


 くううう、本当のことすぎて言い返せない!!


「も、もうちょっと発言に優しさというか柔らかさを篭めてですね、」

「なぜ俺がおまえに上辺だけの言葉や態度を取る必要がある」

「……わたしに損する性格とか言ってましたけど、エドワードも人付き合いで苦労しそうですよね」

「御心配どうも。あいにく他人の評価を気にして生きてないから問題ない」


 言い切って前を行く背中は真っすぐで。

 不覚にもちょっとカッコイイと思ってしまった。



 そして余計な心配が頭をよぎる。もしかしたら、この尖りすぎた性格のせいで聖騎士団をクビになったのでは??


 本当はここに直接来たくなかったって言ってたものね。

 こんな魔王でも、ちょっと気の毒になってきたわ。



「おい、今度は顔までヘンになってるぞ。なんだ? トイレか?」

「ち、ちがいますっ」


 きっとわたしの顔には憐れみが滲んでいたにちがいない。

 せっかく人が心配してやってるのにヘンな顔って言うな!


 ぷりぷりしていると前を歩くエドワードが立ち止まった。


「どうしたんです?」

 急いで追いつくと、

「……まったく世話の焼けるっ」


 エドワードの大きな手がわたしの手をぎゅっとつかんでそのまま歩き出した。

 なんで?!



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