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【SF 空想科学】

最も進化が下手くそな生き物

作者: 小雨川蛙

 

 宇宙船に乗っている宇宙人達がある美しい星を見つけた。


「綺麗な星だ」


 そう言って宇宙人達は地球を見つめていた。


「実に綺麗だ」


 そう言って宇宙人達は地球に見惚れていた。

 およそ数千年間。

 彼らには億に近い寿命があった。

 故にこの程度の時間の浪費はあまり気にもかからなかった。


「あれ、汚くなった」


 三千年ほどして宇宙人が言った。

 人間達が台頭して地球を支配し始めたのだ。


「どうする?」


 そう宇宙人が問うと別の宇宙人が図鑑を見ながら言った。


「大丈夫だ。放置しても」

「そうなのかい?」

「あぁ、この生き物は大抵勝手に滅びるらしい」

「なんじゃ、そりゃ」


 そんな会話をしている内に図鑑に載っていた通り、地球に居た人間達は戦争によって一人残らず滅びた。


「なんだい、あの生き物は」


 宇宙人達は困惑をしていた。

 隆盛したと思えば、そのまま滅びてしまった。

 災害や疫病によってではなく、自らが築き上げた力によって滅びたのだ。


「そういう習性らしい」

「なんじゃ、そりゃ」

「そんなこと言われても、そういう習性だとしか……」


 そう言って宇宙人は改めて図鑑を見る。


『勝手に栄えて、勝手に滅びる。最も進化が下手くそな生き物』


 その一文を見ながらも宇宙人は大きくため息をつく。


「そんなバカみたいな生物なんているはずもないじゃないか」

「なら、あの星の現状をどう説明する?」


 そう言われて宇宙人達は憐憫の声を漏らす。


「この宇宙には理解の出来ない生物はいるものだな」

「あぁ、きっと、神様がおふざけで創ったのだろう」


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― 新着の感想 ―
神様がおふざけで作ったんだろうな自分たち。ほんとそうだよ。多種多様な欲なんてもんつけたから、弱いやつが欲で汚されるんだ。
生まれては滅び、生まれては滅び、宇宙にはこういった生命がゴマンといるんでしょうね。 私もSF系小説でそういう内容を書きました。なにかやはりそう考えてしまいますよね。(笑) 我々がこの地球を覗いている宇…
 ラストの一言、小雨川蛙様ならではの とてつもない皮肉なジョークに笑ってしまいました。
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