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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

毒殺応酬回帰姉妹2

作者: 百陣

あんまり凄惨にならなきゃいいなあと思っています。

(メガエラ視点)


また回帰した。2回目だ。


メガエラが渡した毒を、妹のエリザベートが呷りのたうち回って死んだのを見た直後だった。

今メガエラは子供の姿に戻り、窓枠の高さにやっと肩が届くくらいの身長になっている。


夜だ。星がまたたく空を窓から見上げる。

これは、エリザベートが夢遊病でふらふらと外へ出た場面だろうと予想する。


夢遊病のせいで外にでたのに、姉であるメガエラに命令されたのだと家族にうそぶいて折檻を受けるように仕向けた妹。

乳母のマーガレットが責任を問われて父に殴られないようにしたのはわかっていた。

だから黙って受け入れた。


しかし、調子に乗った妹はそれからもなにかあるとすべてメガエラのせいにした。

それだけでなく、幼稚ないたずらをしたりねだってメガエラの持ち物を横取りしたり。

いい加減にしてと抗議したこともある。

にっこり笑ってごめんなさい、と返された。

成人後は仕事の失敗もなすりつけられた。挙句、刑事罰も背負わされ毒を渡された。

毒を渡した妹は泣いていた。助けられないからと。

全部、悪意がないのはわかっていた。でも、でも。



「あなた!エリザベートがいなくなったわ!」

母の悲鳴が聞こえる。妹は可愛がられていていつも母と眠っていた。

メガエラは、いなくなった妹が、どこにいるのかはわかっていた。なんせ初回から数えて3回目だ。靴を履いて走った。

もしかしたら、家族に見つかる前に連れ戻せば今回は回避できるかもしれない。


転ぶとわかっていたところはよけたが、なぜかほかの場所で転んだ。

(ああ・・また・・・抱きしめようとしたら汚いって言われてしまうわね)

膝を払って、池の方へ走る。

もしかして今夜、池に突き落として殺してしまえばこの後の様々なできごとがなくなるかもしれない、などという考えがよぎる。

(そんなの・・・嫌だ)

悪意のかけらもない天使のような可愛い妹。

彼女は今回、なにも害していない。


エリザベートは暗がりで転んで土に汚れたメガエラを見て放心していた。

まだ夢うつつなのか。

「ごめんなさい」

エリザベートは小さな声で一言こぼした。一緒に涙もこぼれた。

「・・・・・」メガエラは驚いて彼女を見つめた。



「エリザベート!」

父が走ってくる。エリザベートを抱き上げて叱る。

「どうしてこんな夜に・・・!攫われたのかと思ったぞ」

父はエリザベートが夢遊病だということを知らないのだ。体裁が悪いという理由で母が隠しているから。


「わからないの。夢を見ていたのは覚えています。お父様・・・わたし、牢屋の中で毒薬を飲んで死んだわ。いっぱい血を吐いて苦しくて」


メガエラは息をのんだ。

エリザベートは回帰したのだ。


いや・・・それよりも。

『夢を見ていたのは覚えています。お父様・・・わたし、牢屋の中で毒薬を飲んで死んだわ。』



この言葉は、メガエラが生きた時間軸の3回とも、この場面でエリザベートが言っていた。

初回からだ。





(私は・・・初めての時間軸よりも前にエリザベートを殺した・・・?)




エピソード「マイナス1」の存在。

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