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点滴穿石ー異世界における生存競争ー  作者: 鯱眼シーデン
巻き込まれ異世界

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26:魔術と呪術

「それってどんなやつなんすか」

「いい食いつきですね、素晴らしい。では順を追って説明しましょう」


 それから俺たちは練兵場の端に位置する小屋へ移動し、簡単な座学を受けることになった。そこで次の目標や今後の大まかなスケジュールを決めていくとのことだ。


 「その能力とは……!」


 人差し指をピンと立てて、もったいぶるように目を細めて笑顔を作る蘇芳さん。

 俺はワクワクしながら次の言葉を待った。


「外法だろぃ?」

「ケインクン……君ねェ、僕の台詞取らんたってくださいよ……」


 キシュアに溜めた言葉を取られてしょぼくれた蘇芳さんが、説明をしだす。


「えぇえーと。ケインクンがさっき言うた外法っちゅうのが君らに次に学んでもらう技術。それは怪物どもが使う魔術とはまた別の技術で、僕はそれを呪術と呼んでます」


 呪術。呪い。

 なんともおどろおどろしい単語が出てきたものだ、キシュアが言っていた外法という言葉もなかなか聞こえの良い言葉ではないが、どのようなものなのだろうか。しかも、怪物……つまりはあの真っ黒男が使う技法ということ。使って大丈夫な代物なのか、疑問だ。


「そんなに怖い顔せんでも大丈夫ですよ、柊木クン」


 む、そこまで険しい顔をしていたか。別に怖がっているわけではないのだが、なんだかこっぱずかしいな。

 

「兄弟はいつも顔に出るからわっかりやすいな」

「……裏表がないのが俺の美徳だ」

 

 東藤にまでからかわれたので、苦し紛れながらも言い返す。

 別にこれまでの人生で、感情が顔に出ると言われたことはなかったんだがなぁ……。


「あはぁ、好いですね。僕にはない美徳ですとも。……さて、閑話休題。その呪術についてですけど、これらは便利に使こて行こうっちゅう訳やありません。さっき言うたようにこれは怪物どもが使う特別な技法。色々研究しましたが、これを実用レベルで使えたのは僕の知る限り天城クンだけ。」


 衝撃の事実を聞いて、俺は落胆した。まさに青天の霹靂。俺はたまらず突っ伏する。

 俺に適性のない魔法に代わるメインウエポンとなるはずだったのに、その夢ははかなく打ち砕かれてしまったのだ。


 「そないに落ち込まんといてくださいよ……使えへん言うたかて、これを学ぶのは重要なことなんですから。それに、柊木クンにはずば抜けた結界術のセンスがあるやないですか」

「それはそれ、これはこれっすよぉ~……俺も東藤みたいに必殺技を技名言いながらぶっぱなしてえんです」

「おい、俺を暗に刺してくるのはやめないか兄弟。失敗した上に、純情な男心を暴露することになったんだぞこちとら」

「お前ら仲がいいんだな!良いことだ!」


 東藤をからかい返し、俺たちは本題に移る。

 

「敵を知り、己を知らば言うてね。先ずは己の出来ることを知ってもらって、そん次は敵がしてくることを理解してもらいます。」


 成程、俺たちのモチベーションを維持しやすいように自分の能力を把握させる目的があったのか。勿論肉体的強化の名目がメインだろうが、色々考えてんだなぁこの糸目のナイスガイ。


「んで、僕らの魔術と呪術の違いですが、発動できる能力の幅とその原動力にあります。魔術と同じような物理的攻撃や、水や光を生み出す事も出来るはず。それに加えて自分自身以外の生物をも術の対象に選べることです。」


 術の対象と言われ、あまりはっきりとしたイメージがわかず俺は首をもたげた。


「僕らの魔術はあくまでも自分か、あるいは無機物を対象としてます。自身の中にあるマナ……所謂不思議エネルギーを使こて超常を引き起こすのが魔術ですが、呪術はほかのモノのエネルギーを利用できる。」


 そういわれて、はじめて気づく。

 確かに俺の中のエネルギーをなんとなく知覚して、魔法を出している。そして、結界はウィングスパンの二倍ぐらいしか展開できないし、東藤の光線はその場にある光を自分のマナで物理的攻撃にしているから暗闇の中では出せないし、もし出せたとしても威力が極端に低くなると言っていた。成程どうして、ご都合ファンタジー能力も流石に万能ではないのだな。

 


「恐ろしい話です。自分とその周りの物資だけという制約の外れたファンタジックな能力。やろうと思えば、どんな残酷なことでも容易くできるでしょう。そして、それらを抑制する理性はアイツ等には無い。全くの皆無。」

「……っ」


 残酷と聞き、俺はあのはなれでの惨状を思い出した。

 あの惨劇の渦中にいた蘇芳さんをもってしてそう言わしめる術とは、どんなものなのか。想像もしたくない。


「だからこそ、それに抗う知識と技術が重要やっちゅう話です。」

 

 そういって蘇芳さんは俺と東藤に複数枚の紙がまとめられた資料を渡してきた。

 これは、教科書ということだろうか。おおまかに見てA4程のサイズの紙にびっしりと何かが書かれていて、十数枚ほどに纏められている。


「それは僕らが解明した呪術の全貌を記したものです。結構な量あるんで、しおりをつけてる部分だけ抜粋して覚えたって下さい。」


 見ると、三か所に黄緑色の付箋が張られてあり目印になっていた。

 俺はそこのページの情報をさらさらと読む。


「重要なのは、理解すること。あいつ等が何を動力に呪術を発動するのか。そしてそれをどのようにレジストするのかです。」

 

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