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神獣王、起つ!! 2

森を進む道中、シャル達はエムリアーナ達に自己紹介をし、前に出会った三匹の獣の話をエムリアーナの連れる獣に話始めた。彼らは自身を「神使獣(しんしじゅう)」だと言い、それぞれ、火星獅子(マーズライオン)海王星大鷲(ネプチューンイーグル)、木星大猩々(ジュピターゴリラ)だと名乗る。彼らはこことは違う世界で、ある戦士たちと共に星を守っていたのだと言う。

「ペンギンとパンダとエレファントは一緒なのか。よかったライ」

「でも、それなら残りの二人はどこゴリ?」

「ヤツらの事だ、どこだろうと元気にやってるグル」

「ねえねえ、この人達の話なら、アナタ達も巨人になれるの?」

エムリアーナの傍を飛ぶ妖精・レーメネが神使獣達へと聞く。

「あぁ、そうグル」

「そんな話聞いてないぞ」

「言ってないライからね」

「あ、あの、エムリアーナさん。話は変わるんだけど、エルフは、その、どうしてそんなに人間を嫌っているんですか?」

「そんな事、人間のやった事を考えれば分かるでしょ!」

「ご、ごめんなさい・・・」

エムリアーナのその言葉には、怒りの感情が籠っていた。それはシャル達だけにではなく、人間という種族そのものに対する物だろう。

「そんな怒られても分かりませんよ」

「そうだ、いくらなんでもその態度は無いぜ」

「そうか、人間というのは知ろうともしなかったんだな。なら教えてやろう」

エムリアーナの語った話、それを端的に説明すると、「人間による環境破壊、そしてそれに伴うエルフの居場所の縮小」であった。自然と共生する種族であるエルフ。そのエルフ達にとって、自分達の都合、文明の発展のために自然環境を過度に破壊してくる人間の行為は許しがたい行為であった。しかし、その話はシャル達の世代よりも数世代も前の話であり、また、結果としては森の生活から離れ、新たに生活を発展させたエルフも居た様である。しかし、エルフにとって、エムリアーナにとっては人間に荒らされたという事実こそが重要な部分であるのだ。

「怒る気持ちは分からんでもないが、だからって俺達に怒られてもよ」

「そんな事言うと火に油ですよ」

「まあでも、ウォードの言う事はもっともライ」

「そうそう、エムリは少し怒り過ぎゴリ」

「そうカッカしてると、せっかくの美貌も台無しグル」

「なんだと!?」

思わず神使獣と喧嘩になりそうになったエムリアーナをシャル達とレーメネが抑える。

その後、エムリアーナは一度深呼吸をすると、落ち着いた様子で話しを切り出す。

「お前達は人間の代表なんだろ?」

「えぇ、まあ」

「なら教えてくれ。私達の住処まで奪ってまで、何故人間はそこまで文明を求めるんだ?」

それは哲学的な質問なのか、シャル達には難しい質問であった。その問いに4人は考え始めると、沈黙した状態が続いた。そして、最初にその沈黙を破ったのはミリアムであった。

「多分だけど、生活を、便利にしようとしたいからだと思う」

「便利に、ねぇ」

「私達の祖先がやった事が貴方達にとって罪だと言うなら、理解しないといけないかもしれない。でも、人が悪意だけでそうしたわけじゃない事を、沢山の人の生活を豊かにするためにやった結果というだけは分かってほしい」

「だからって「そうですか。なら許します」なんて、なるわけがないでしょ」

そうしていると、森の中央、エルフの集落へとたどり着く。人の世界で言う街の様な場所であり、森の中の木々に沿う形で、エルフの暮らす住居が様々な所に建てられている形である。

そこに居たエルフ達は珍しい客人、シャル達の姿に動揺している様だった。それが決して歓迎の意味でない事は、わざわざ顔を見ずとも感じ取れるものだっただろう。

「エムリアーナ」

「里長!」

レーメネがエルフの老婆、里長と呼ばれている人物の方へと飛んでいく。

「どうして人間が居るんだい」

「すみません、里長。この人達は私が責任を持って森の外まで送ります」

「でもね、里長。この人達は悪い人じゃないんだよ」

「そう言う事じゃあないの、レーメネ。とにかく、私達はもう人とは関わらない、分かっているね、エムリアーナ?」

「はい、里長」

その時である。突如森の中に巨大な何かが現れる。それはフレームゴーレム・ルウーボである。通常のルウーボが三機、そして色が違い、角の生えているルウーボが一機、逃げ場を塞ぐ様にシャル達を取り囲む。

「エルフの諸君。突然だがそこに居る勇者を渡してもらおう」

突然現れたソレに、エルフ達は怯えている様子だった。

「ウォード、やろう」

「あぁ」

シャルとウォードが自身のフレームゴーレムを召喚しようとしたその時である。突如、ルウーボの銃口がエルフの住居に向く。

「おっと、フレームゴーレムを召喚してみろ。そしたらこの森を焼き払ってやる。もちろん、エルフ達もただでは済まんだろうな」

その言葉にシャルとウォードは戸惑うのだった。自分達だけならどうにかなるだろうが、この状況では関係の無いエルフ達まで巻き込む事になってしまう。それだけは避けたい事だ。

「卑怯と思うなら、そう思えばいい。だがな、私達も手荒な真似はしたくない。大人しくこちらに来てもらおう」

「分かった、言う通りにしよう。だからここのエルフ達には危害を加えないでくれ」

「その言葉、信じていいのだな?」

「あぁ」

シャル達は抵抗せずに、大人しくゴートに捕まる事を選んだ。ゴートはシャルとミリアム、ウォードとトロンをそれぞれの手に掴み、潰れない程度に握りしめるのだった。

「エルフ達、迷惑をかけた」

そう言い残すと、ゴート達は森を去っていくのだった。

多くのエルフ達は突然の状況に頭の整理が追いついておらず、ただただシャル達が来た結果森が荒らされた事に憤りを感じているだけであった。しかし、一人だけ違った。エムリアーナはシャル達が連れ去られた事に複雑な表情を見せていた。

「助けに行かなくていいライ?」

「別に、人間なんて」

「でも、このまま見逃したらずっと後悔するゴリ」

「まあそう言うなグル。エムリアーナはいいって言ってるんだから」

「ほら、エムリ。里長も人間とは関わらないって言ってたしさ」

「そう。そうだよ」

エムリアーナは去っていくルウーボ達に背を向け、いつもの生活に戻ろうとした。しかし、足が動かなかったのだ。エムリアーナはしばらくそこに立ち止まり、そして決意する。

「ごめんなさい里長!私、行ってきます!みんなお願い!」

そう言い残すと、エムリアーナは神使獣を巨大化させ、火星獅子の頭に乗り、ルウーボの方へと向かうのであった。


2週ほど更新が出来ておらずすみません。

今回の話は、導入やどういう話にするのかは大体決まっていたものの、一番重要な所である「エルフが人を受け入れない理由」という部分が全く思い浮かばないまま書き始めたため、詰まってしまいました。理由を思いついても、そこでどういう会話にするのかも非常に悩んでしまいここまで遅くなってしまいました...。

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