神獣王、起つ!! 1
ディナルドの城の一室。そこで男4人が集まっていた。そう、彼らはかつてリーナの元で働いていたゴート、オーエン、エルス、ダラである。
「本日集まってもらったのはゴート隊の現状についてだ」
リーナが抜けた事により隊長へと昇格したゴートが神妙な面持ちで話しを始める。
「最近の私達の活動について皆どう思う?」
その言葉に、部下の三人は顔を見合わせる。
「どう?って言われてもねぇ」
「俺達のやってる事なんて訓練か塔の見回りくらいだし」
「特に何も無いんじゃないです?」
「そうだ、そうなのだ!分かるか!?私達はここまでまるで活躍も、出番も無い!それに先日の騒動では私達は呼ばれる事も無かった!そして何より、部下は他の部隊へとドンドン転属していった!これは本当に由々しき事態なのだ!これは私達が期待されてないと言う事ではないないのか!?」
ゴートは立ち上がり三人に熱弁する。それはもう溜まりに溜まっている物が一気に噴き出すように、だ。
「それにだ!リーナベル様のフレームゴーレムは尊敬の意味を込めて使わずにいたら、なんとミレーヌに取られてしまった!本当に嘆かわしい」
「期待も何も、他の奴らだって同じような事だって聞きますよ」
「そうそう、たまたま勇者と会ったから戦っただけらしいし」
「俺達だって与えられた仕事をやってるんだから同じでしょう。大体、陛下だって実は勇者には興味無いんじゃないです?」
「馬鹿者!そういう姿勢だからダメなんだ!もっと自分から動こうとすることで初めて期待と信頼を持ってもらえるモノだろ!そこでだ」
そう言うと、ゴートは傍に置いてあった丸めた紙を広げる。それは人間側の大陸の一部を拡大した地図となっており、そこには複雑な線、そしてある地点にバツ印が付けてある。
「いいか?これは奴らが今まで通って街を繋いだモノだ。そして、奴らがこの国に来るために港を目指すとすると、確実に通らないといけない場所が出てくる。それがココだ」
ゴートは地図に書かれた線をなぞり、そしてバツ印の所に指を置く。
「この森って、もしかして」
「そう。エルフが住んでいると言われている場所だ。そしてここは私達の管轄となっている。つまりだ。ここで待ち伏せをして、奴らを生け捕りにし、陛下へ献上する。どうだ!」
ゴートは自信満々に作戦を伝えた。
「捕まえるってどうやって」
「それに、奴らはフレームゴーレムを持ってるんでしょ?」
「チャーモンドのも向こうに渡ったらしいし、ルウーボが4機居ても勝てませんよ」
「それはだな」
ゴートが部下三人に、シャル達を捕獲する方法を伝える。
「なるほど、それなら」
「でも卑怯じゃないです?」
「卑怯だろうがなんだろうが、背に腹は代えられん。これも私達の手柄の、いや、国の為だ!」
三人はあまり乗り気ではなかった。しかし、ゴートのやる気を見ると、もはや止める事も、この話に協力しないことも無理な話だろう。そう感じ取り、三人とも今回の作戦を実行する事を決断するのだった。
「それではいつもの行くぞ!俺達が戦う理由は何だ!?」
「国、家族、友を守るため!」
「俺達の手で、今日も守るぞ!」
「えいえいおー!」
シャル達は先日の戦いの後、フレームゴーレムを使い移動する様になった。ウォードも最初は操縦に慣れていなかったものの、次第にコツを掴み、シャルと足並みを揃えられる様になっていた。
そしてシャル達はある森に向かっていた。そこはエルフの里と言われており、エルフが住むとされている場所であった。そこを通らねばシャル達が目標としている場所には行けないのだが、一つ問題があった。それは、エルフという種族は外部との接触を必要最低限の形でしかせず、むしろ、外部からの来訪者に対する当たりが強い事で有名であったからだ。
「ここがエルフの住むって言う森か」
「通してくれますかね?」
「通るしかないよ。事情を言って通してもらおう」
シャル達はフレームゴーレムを水晶玉へと戻し、森の中へと入り始める。しかし、離れた場所からソレを見ていた者達が居た。ゴート達である。
「奴ら、森の中へ入った様ですよ」
「よし、それなら偵察機を出せ!」
ゴートの指示に、エルスは小型の偵察機を飛ばし始める。そして、ソレを使い、エルフの里を監視し始めるのだ。
シャル達は森に入る。道は一本道が綺麗に敷かれており、それが奥まで続いてる。しかし、周りに誰かが居る様子は無かったため、シャル達はその道を進み始めるのだった。すると、進み続けると、突如シャル達の方へと何かが放たれる。シャル達の目の前の地面に突き刺さった。ソレは矢、しかもただの矢ではなく、光の矢である。その突然の攻撃にシャル達は構えた。すると、目の前に一人の女性のエルフが現れる。そのエルフは傍に妖精を、そして三匹の魔獣を連れていた。
「何者だ!?今すぐここら出ていけ!」
「勝手に踏み入れてすまない。しかし、どうか通してもらえないだろうか?」
「問答無用!」
エルフの女は、手に持っていた弓を剣へと変形させ、シャルへと襲い掛かって来る。シャルはその攻撃を剣で防ぐ。だが、シャルから攻撃する事は無かった。
「私達はディナルドに行くために旅をしているだけだ!」
「どんな理由があろうとも!」
エルフの女は攻撃を続けるが、シャルに届く事はなかった。すると、急に後ろに引き、剣の柄頭へ何かを差し込み始める。
「神使獣、転神!」
その掛け声と共に剣を空へ掲げると、エルフと共に居た三匹の魔獣が巨大な獣へと姿と変える。
「ねぇ、あの魔獣ってもしかして!」
「額に宝石。もしかするかもですね」
「行け!獅子、大鷲、大猩々(ゴリラ)!」
巨大化した三匹の獣はシャル達へと襲い掛かる。しかしソレは、攻撃と言うよりも、無傷で捕まえようとしている様子だった。それに対し、シャルとウォードはヴァリエンデとソムニュームを呼び出し、獣達を押さえつける。
「お前ら、もしかして生き別れた仲間が居るんじゃないか?」
「前に会ったんだ!額に宝石の付いた喋る獣に!」
その言葉を聞くと、三匹の獣は急に動きを止める。
「その話、本当ライ?」
「あぁ、本当だ」
その言葉に三匹の獣は顔を見合わせると、小さな姿へと戻っていく。
「お前達、どうしたんだ!?」
「ちょっとコイツらの話を聞いてみたくなったんだ。エムリアーナ、通してあげないか?」
「しかし・・・」
「私からも頼む。長居もしない。通してくれるだけでいいんだ」
エルフの女、エムリアーナは悩んだ。しかし、三匹の獣達に説得され、森を出るまで自身が監視する事を条件に、渋々通す事を承諾するのであった。
普段はお昼頃に投稿していましたが、今回より投稿時間を変えてみようと思います。
もしかすると投稿時間がまばらになってしまうかもしれません。




