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《混沌》降臨~ケイオスアーク 2

少年はマルコ、母親はミリアと名乗った。ミリアは病を患っている様であり、客人に対し上体は起こすものの、布団からは出ない様にしていた。

ウェルターが先ほど買ったパンを2本差し出すと、ミリアは非常に喜んだ。ミリアは代金を師らは追うとしたが、ウェルターはそれを拒否をする。

そうしていると、茶の準備が出来たマルコがもてなしとして茶をサクヤ達へと出すのだった。

「ありがとう、マルコ」

「いいよ」

「そうだ。メラ、メル、リュード。せっかくだから表でマルコと遊んできな」

「いいの?」

「あぁ。ムラサメ、ウェルター、頼んでもいいか?」

「あぁ、いいぜ」

マルコがメラ達と遊びに出た後、ミリアは何故この様な状況になっているのかを語り始める。

「私は元々ディナルドで生まれたデミスでしたが、数年前この街へ移り住み、そこで夫と出会い、そしてマルコを授かりました。街の人達は私がデミスである事を知りながらも優しく接してくれていました。しかし、ディナルドが人の国を支配して始めてからは、周りの人達は一人、また一人と私達から離れていきました。仕方のない話です。しかし、そのせいでマルコに苦労をかけているのが本当に心苦しいのです。学校にも行けなくなり、友達とも遊べなくなったのに、こうして家の事までしれくれて・・・」

「それなら、ディナルドに戻ればよかったじゃない」

「マルコのためにもそれは考えました。しかし、私達にはそこまでの経済力が無く、私も身体を壊してしまい、しかも国の関係が悪化してからディナルドに戻る手段も無くなってしまったのです」

「そう、そうよね・・・」

リーナは思ってもいなかった現実を突きつけられる。人の国へと移住したデミスの現状、その様な事を考えたことが無かったからだ。少し考えれば分かるはずであった。しかし、リーナはその様な事まで気にした事が無かった。だが、ディナルドの行いにより、結果として自身と同族であるデミスが苦しんでいる事実を知り、自分のしてきたことが正しかったのか自問するしかなかったのだ。

「失礼だけど、旦那さんは?」

「今は他の街に働きに出ていて、半月に一度戻ってきています。この街で働かせてくれる場所はもうありませんから」

ミリアは哀しそうな顔をしていた。それは、自身の置かれた状況に悲観しているのではなく、かつて、当たり前の様に人々と暮らしていた記憶を思い出し、もう戻らないかもしれないその時を思っているからだろう。

サクヤはミリアの話を聞き、考え、一つの案を提示した。

「実は、ディナルドに知り合いが居るんですけど、ソイツに頼めばもしかしたら貴方達をディナルドに連れていく事が出来るかもしれません」

「本当ですか?」

「あくまで可能性の話ですけど。だけど、今ここで俺の独断で決めちゃいけない事だと思うんです。貴方達親子の意志で決めるべきだし、なによりここはマルコの故郷だからです。だから、明日までにマルコと話し合って決めてください。もし、その話し合いの結果、ディナルドへ行きたいなら俺は手助けします」

「分かりました。ありがとうございます」

サクヤはその善意からの提案が正しいのかは分からなかった。しかし、こうして目の前で街の人達に疎まれている状況を見過ごせなかったのだ。

サクヤはその後、マルコの家を離れ、ムラサメ達にミリアと話した事を説明しながら宿へ向かうのだった。

そして次の日、朝食を済ませたサクヤ達は、再びマルコの家へと向かう。ミリアの決断を聞きに行くためだ。

「昨日の話ですが、どうされます?」

「その話ですが、お願いしようと思います。もうこの街に、私達の居場所はありませんし」

「マルコも、それでいいかい?」

「はい」

複雑な顔をしているミリアに対し、マルコは素直な顔で答える。

「ただ、一つ。働きに出ている夫を残してしまうのは・・・」

「安心してください。そこも含めて頼んでみます」

サクヤはその答えを聞くと、魔力式音声通話機器、通称魔声機でイェルクへと連絡を開始する。

「おー!サクヤ。元気にしてるか?」

「あぁ。イェルク、一つ頼み事をしていいか?」

「俺の出来る事なら、なんなりと」

そう言われると、サクヤはマルコの事についてイェルクへ全てを伝える。イェルクは、ソレに対し異を唱える事なく聞き入れるのだった。

「ただよ、その親父さんは人間なんだろ?肩身の狭い思いをするかもしれないぜ」

「分かってる。でも、見過ごせないからさ」

「お前はそういう奴、だもんな。分かった。そういう事なら俺が行こう。多分ヴェルドもそれくらいは許してくれるだろう」

「ありがとう、助かるよ」

サクヤは魔声機の通信を切ると、ミリアとマルコに迎えが来る事を伝える。その事に、ミリアはサクヤに対して深く感謝をするのだった。

「そういう事なら荷造りをしないとな、手伝うぜ」

「何から何まで、ありがとうございます」

ウェルターのその提案に乗り、荷造りを始めようとした頃、突然、外で巨大な警報音が鳴る。その音に驚いたサクヤ達は外に出ると、突如、空を何かが覆いつくすのだった。そして、何かが空を覆いつくした後、突然、空が割れ始めるのだった。




「報告します!ルビアとグラームにて空裂が発生!ルビアの方にはエルピロ様がルウーボ3機、グリフ3機を連れ、エイコルノで向かわれました!」

「なんだと?」

ヴェルドは部下からの報告に動揺していた。空裂が二カ所同時に発生する事はこれまで無かったからだ。

「ラウラ、今出せる人員は?」

ヴェルドの秘書であるラウラは手元にある資料を捲り、七部隊の行動などの予定表を確認する。

「今であればイェルク様とミレーヌ様、それとアーノルド様が動けるかと」

「お言葉ですが、ミレーヌ様のホーネットコロニーは現在修理中であり、出撃は不可能となっています」

「ならばミレーヌにはリーナベルのフレームゴーレム、シュバルリリスを使用させろ。あれなら動かせるはずだ」

「は!」

「ルウーボとグリフも10機ずつ用意だ。ルウーボは対空装備への換装を忘れるな」

「了解しました」

「私も出る。ケイオスアークの準備も頼む。ラウラ、良いな?」

「承知致しました」


急な出撃に、ディナルドの格納庫では急いで作業が進められていた。

「先の次元龍との戦いから武器は強化しておきました、問題なく戦えるはずです!」

「Dnke!感謝する!しかし、まさかサクヤの居る街とは・・・」


「ミレーヌ様!今度は壊さないでください!頼みますよ!」

「当たり前よ!ベルのなんて、キズモノにしていいわけないでしょ」


「アーノルド様!ヴィアトーラの腕の砲身には新たに近接用の刃が付いてます、使ってみてください」

「分かった!でも僕、格闘は苦手なんだけどな」


グラームに向けての出撃準備は整った。そして、ヴェルドとラウラの搭乗する黒いフレームゴーレム、ケイオスアークを先頭に、グラームの近くへ転送されていくのだった。


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