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《夢》の継ぎ人 5

新たに現れたフレームゴーレム・ソムニューム。それに対して2体の次元龍が正面から襲い掛かる。まだ操縦方法もまともに分からないウォードが咄嗟に動かすと、ソムニュームは両腕を前に出し、正面から来る次元龍をそれぞれの手のひらで抑え込むのだった。並のフレームゴーレムなら吹き飛ばされている攻撃も、ソムニュームは微動だとせず抑え込む。その力強さは同型であるエスペランザやヴァリエンデとは比にならないものである。そして、次元龍を倒す手をウォードとトロンが考えている時、ソムニュームがある指示をモニターに出す。その指示に従いウォードが動かすと、手のひらで押さえられていた次元龍が消滅し始める。次元龍を光の粒子へと変えていき、そしてそれを吸収している様子であった。

「なんだこれ?」

「分解、らしいですよ。「触れた物体を任意で分解し、自身の動力として吸収する」。なんとも恐ろしい」

「それがコッチの力になるなら力強いもんだぜ!」

ウォードは次の戦法を取った。トロンの扱う砲撃で地上からサポートをし、近づいてくる次元龍が居たら、トロンの得意な近接戦へと持ち込む、役割分担をした戦法だ。

そうして居ると、突如、空中に長細い浮遊物体が出現し、次元龍へと突撃する。ソレは先端が刃物の様になっており、その刃で次元龍を引き裂いている。その兵器が飛んできた方向から援軍が現れる。エルピロの操るエイコルノとルウーボ、グリフだ。そして、その長細い兵器はエイコルノの方へと戻っていく。

「アルタード、やはり使えますね」

自動追尾型攻撃装置、通称「アルタード」。それはエルピロの開発した新兵器であり、文字通り敵に向かって飛び、攻撃を行える兵器である。

ディナルドの援軍はエルピロの指示に従い次元龍の討伐をしていく。本来は敵である勇者・シャルの使うフレームゴーレム・ヴァリエンデもディナルド側は認知していたが、今はそれと敵対している状況ではないのは誰もが理解していた。その空気もあってか、周りも自然とヴァリエンデとソムニュームを軸として、グリフやルウーボでサポートをしていく形へとなっていった。その形の方が効率的であると判断されたからであろう。

そうして戦い続けると、自然と次元龍の波は止まり、空にある亀裂も修復し、閉じていった。自然がそう修復したのか、それとも向こう側にある何かの意志がそうさせたのかは分からない。しかし、次元龍の襲撃はなんとか終結したのだ。戦いが終わり、壊れた街をヴァリエンデが修復していく。市民の犠牲を出さず、フレームゴーレムの損失もない、まさに勝利というべき状況である。しかし、その戦いの中で散った者も居た。


戦いを終えると、ウォードは陰に座らせていたチャーモンドの遺体をディナルド側へと渡した。ディナルドの兵士達は動揺しながらも、誰も涙を流す事はなかった。決して情が無い訳ではない。しかし、そういう事で動揺をしない様に鍛えられているのだろう。

「エルピロ様、隊長のフレームゴーレムは」

「今取り返すのは得策ではありません。勇者達。今はそのフレームゴーレム預けておきます。しかし、いつか必ず取り返し、そしてもう一つも我らの物にさせてもらいますよ」

そう言い残すと、ディナルド側は撤退していった。本来この街に来た目的は塔のメンテナンスであったが、あまりにも消耗が激しいため、一度戻る事を選択したのだろう。

「私達、あれだけのフレームゴーレムに次元龍とも戦わないといけないのかな」

「えぇ、そうでしょう。しかし、あの次元龍と戦う以上は、やはり魔族との協力も考えないといけないのかもしれませんね」

「でも私達の目的は変わらない。魔族の国に行き、敵を討つ。それは確かなんだから」

ディナルド側を見送ったシャル達は宿へと戻ろうとした。しかし、ウォードだけは他の方へと向かっていた。

「ウォード、そっちじゃないよ」

ミリアムがそう声を掛けようとした時、トロンはその言葉を遮る様にミリアムの肩を叩き、首を横へ振った。目の前でチャーモンドを失ったウォードに対してトロンは声を掛けられなかった。今は一人にしてあげる事が今トロンに出来る優しさである。

そうしてウォードは一人、街の中へと消えていく。


ウォードは一人、酒を飲んでいた。それは、チャーモンドと共に飲んだあの酒場だ。しかし、もうその隣には共に話をし、夢を教えてくれたチャーモンドの姿はもう無い。ウォードはただ一人で、失った友を想い、飲んでいたのだ。

「酔って忘れられたら、良かったのにな・・・」

ウォードは寂しそうな顔をし、そう独り言と呟きながら、ただ静かに酒を飲み続けるのだった。


ソムニュームの初登場は最初の構想では、「敵の操るソムニュームと戦っていく中で、ヴァリエンデの情報を共有しソムニュームが味方の物になる」という物でした。しかしこれでは面白くなく、また話としても弾まない物だと思い、「敵側が使う」という部分だけを残し、塔の情報の開示や敵との交流という話にしました。

またチャーモンドの性別を変えた理由のもう一つとして「ウォードと恋仲になる」という展開を考えていたからという理由もあったのですが、こちらは結局話の流れとして没になり、結局意気投合をした友人関係という部分に収まったという経緯があります。

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