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《夢》の継ぎ人 1

ディナルドの城の近隣にあるフレームゴーレムの管理施設。そこでは様々なフレームゴーレムが存在している。各部隊の隊長が使う隊長機の他、ディナルドが異世界から流れてきた技術を使い、独自に開発をしていった量産機も多数存在している。ディナルドの量産機には三種類が存在し、一つは球体の様な見た目をし、主に地上、装備を変える事で水上での活動も可能な「ルウーボ」。そしてもう一つは細身な外見をしている空戦を得意とする「グリフ」。そして最後が戦闘用ではなく整備用として使われる3mほどの小型機である「メンテン」だ。ディナルドにおいては、隊長以外はこのルウーボやグリフを使い、そして副隊長ほどになるとそれらを独自のカスタマイズで使っているという状況であった。

そして、この施設の責任者をしている男、それがヴェルドの右腕であり補佐もしているエルピロである。

「修理状況はどうないっています?」

「いやー、酷い物ですよ。キャトルタイタンはまだ良い方ですが、ホーネットコロニ―なんて特殊な構造なので作り直した方が早いかもしれません」

その時であった。エスペランザに破壊されたグリフォールが回収部隊によって運び込まれて来たのだ。それを見た整備士たちは茫然とするしかなかった。

「これはまた」

「次から次へとこんなんじゃこっちも参りますよ。全部がソムニュームみたいに玉になって勝手に修復されれば助かるんですけどね」

「仕方がありません。とりあえずミレーヌ様とストルツ様には代用のフレームゴーレムを。ただ、いつ何が起きてもいいように修理は急いでください。私としても強化案は考えましょう。それと、アルタードの制作状況は?」

「エイコルノの新装備ならもうほとんど作業が終わってますよ。後は試運転をして調整するくらいです」

「そうですか。ではどこかで一度試運転をしてみましょう」

そうして会話を終わらせると、エルピロは城へと戻っていくのだった。

(あそこまでやられるとは。敵のフレームゴーレムは相当な様ですね)




シャル達はいつもの様に旅を続けていた。それは変わらない日常と化しており、ガイムールの街以降魔族との戦いも起きなかったためごくごく普通の旅であった。そしてそんなシャル達はルビアという街を目前としていた。その道中の事である。シャル達の近くで何かが動く気配があったのだ。

「ねぇ、今の」

「うん、何かいる」

「魔獣ですかね」

「いや、それならもう少し動き回るはずだ」

すると、その気配がシャル達の方へと向かってきた。皆は咄嗟に攻撃態勢となり、何が起きてもいいように備えたのだ。

「まったく。いっつも思うけど、いくら隠したいからこんな場所に転送陣を置かんでも・・・って」

出てきたのは女だった。しかもただの女ではなく、魔族の女だ。

「アンタら、もしかして・・・」

突然の魔族との対峙に、シャル達には緊張の空気があった。しかし、シャル達とは裏腹に、魔族の方は緊張感が無い様子であった。

「リーナベルとオルタロスとミレーヌを負かした勇者達やろ?そんな怖い顔せんと、とりあえず武器を下ろし。ウチ、戦いは嫌いさかい」

その言葉にシャル達は顔を見合わせ、恐る恐る武器を下ろす。しかし、警戒はそのままであった。

「とりあえず、そこのルビアの街にでも行って一緒にご飯にでもしましょ」


「ウチはチャーモンド・リ・ルルドラ。”リ”の階級で分かるとは思うけど七部隊の隊長してます」

魔族の幹部、チャーモンド。彼女は身長も高くセクシーな容姿をしており、それに加えて高価そうな宝石もいくつか身に着けているためとても目を引く存在である。

「名前のソレ、階級だったんですね」

「しかし、チャーモンドなんて男みたいな名前だな。それに言葉遣いも変だしよ」

「これはウチの地元の方言や。それに、名前はええやろ?アンタら人間の世界には名前で性別が決まる法律でもあるんか?」

「仲間が失礼な態度ですまない」

「ええわ、許したる。ウチの心は海よりも広―く、懐は海よりも深―いさかい」

「そう言うの、自分で言う事じゃないと思うがね」

そうしていると、5人の食事が続々と運ばれてくる。それはテーブルいっぱいを埋め尽くすほどであった。

「冷めん内に食べましょ。食事は作り立てをいただくのが礼儀やさかい」

チャーモンドがそう促すと、各々は自分の頼んだ料理を口にし始める。

「ねえ、どうしてあんな所に居たの?」

「あぁ、あれな。もう知ってはるとは思うけど、あの塔あるやろ?アレの点検に来たんや。それで一番近い転送陣を使ったらあそこに飛ばされたっちゅうわけや」

「しかし、いつもの様に仲間のフレームゴーレムが居ない様ですが」

「ウチだけ先に来たんや。せっかくならこの街でゆっくりしたいさかい」

「教えてくれ、あの塔は何なんだ?ただの塔じゃないんだろ?」

「うーん。ただの塔じゃない事は確かや。でも、ウチらとしても支配の象徴くらいの事しか知らされてないんや。陛下は「この世界に必要な物だ」としか教えてくれへんし」

「そんな得体の知れない命令によく付き合えるな」

「国を守る者として国の主の命令には異を唱えず聞く。当たり前の事やしアンタらだってそうやろ?それが出来て信頼があるからこそ、この地位があるわけやし」

「そういう盲目的な行動をしたから今の状況があるんだろ!?」

「それは確かにそうや。でも、ウチだって人間と争いたいわけでも憎み合いたいわけやない。寧ろ早く今の状況を終わらせて、また手を取り合える様にしたいんや」

「でも、どうやって?」

「それが簡単には思い浮かばんから困るんや。でも、次元龍なんてけったいなモノまでおる以上、デミスと人間が憎み合ってる場合じゃないやろ」

次元龍、それはまだ謎に満ちた存在である。何故人を襲い、そして何を目的にしているのか、シャル達にとってはまだ何も分からない事ばかりである。

そうこうしていると食事もかなり進み、その頃合いでチャーモンドが酒を頼む。すると、ウォードもそれに釣られて酒を頼むのであった。大きなコップに注がれたその酒が来るとチャーモンドは早速それを流し込み、一気に半分も飲んでしまう。

「ッカー!やっぱ人生の宝は金と酒とご飯と家族と友やな!」

「なんだ、分かってるじゃねえか」

すると負けじとウォードも酒を一気に飲み始める。

「おっ、ええ飲みっぷりやな!」

「当たり前よ!もう一杯くれ!」

「もう、ウォードは」

「体に障りますよ」

「そう言えばチャーモンド、アナタのフレームゴーレムは?」

「ん?あぁ、それなら」

するとチャーモンドはゴソゴソと自身の持ち物を漁り始めると、その中から一つの水晶玉を取り出す。

「これがウチのフレームゴーレムのソムニューム。普段はこうやって玉になっとるけど、強いフレームゴーレムにちゃーんとなるんよ。どや?不思議やろ?」

「それって、エスペランザやヴァリエンデと同じ!」

「はえ?」

シャルも、自身の持っているヴァリエンデの玉をチャーモンドへと見せる。色が多少違うものの、確かに似た様な玉である。

「じゃあアンタらのフレームゴーレムも、それにリーナベルが乗ってるっちゅうエスペランザとか言うのも兄弟なんか?」

「分からない。けど、もしかしたらそうなのかも」

「いいんですかシャルロット?そんな迂闊に手の内を明かして」

「お嬢ちゃん相手にそんな厳しい顔して厳しい事言わんの。それに、手の内を明かしたのはウチも同じやろ?なら平等や」

そう言うと、いつの間にか酒を飲み干していたチャーモンドは再び酒を頼む。すると、ウォードもそれを見て飲み進めるのだ。

「アンタええな。どや?この後もっとええ店で」

「魔族の誘いに乗るのは癪だが、飲みの誘いってんなら断れねえな」

「っしゃ!そう言う事や!シャルロット、悪いけどこの男借りるで!魔声機はあるやろ?ちゃんと連れて帰るからどこの宿か後で連絡してな!」

食事を終えたチャーモンドとウォードは金を置き、シャル達が止める間もなく店を後にするのだった。

「ウォード、大丈夫かな?」

「えぇ。魔族相手に易々とついて行くなんて心配ですよ」

「でも、チャーモンドは悪い奴じゃない気がする・・・」

残された三人は食事を終わらせると金を払い店を後にすると、宿探しへ向かうのであった。


今回登場したチャーモンドは元々普通の男性を想定していました。しかし、今回の話を考えていく内にそれでは面白くないため女性に変更し、そして独特な訛りのあるキャラクターとして関西弁を喋るという形にしました。しかし、私自身は関西弁はあまり分からないため、エセ関西弁という形になっています。

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