Dear My……… 2
リーナはただ一人で街を散策していた。街にある様々な店を、どの様な店があるかを見ながら歩いていた。しばらく歩いた後、リーナは懐からあるものを取り出す。魔声機だ。これは大気中のマナを利用し遠方の魔声機と繋ぎ会話を出来る通信機器であり、元々は魔族、デミスの技術であった。リーナはその中にあるとある連絡先にかける。
「もしもし?」
シャル達は旅の道中で休憩をしていた。するとその時、シャルの持つ魔声機が鳴り始める。
「オイ、ソレ?」
「珍しいですね」
「とにかく出てみるよ」
シャルは魔声機での通話を開始する。
「もしもし?」
その声の主は意外な相手であった。そう、リーナである。
「リーナベル!?」
「今、いいかしら?」
予想外の相手からの連絡で驚いたが、シャルはあの時村で連絡先を交換していた事を思い出した。
「どうした?」
「実は・・・」
リーナはシャルにある相談をした。ソレはシャル達にとって意外でありながらも納得する内容であった。
「それならな、いつもとは違う豪華なメシがいいぞ」
「ウォードみたいなのならソレでもいいでしょうが、まず相手がどう思うかを考えて」
「私だったらずっと残るモノがいいな!宝石とか首飾りとかいいんじゃない?」
リーナの相談にシャル以外もワクワクしながらそれぞれの考えを答えた。
「とにかくそう言うのは、リーナベル自身で考えるべきだと思う」
「そうは言っても」
「大事なのは心よ。ちゃんと気持ちを込めれば大丈夫」
「わかったわ」
そして、リーナとの会話は終わる。珍しい相手からの珍しい質問に、皆テンションが高くなっている様であった。
「リーナベル、成功するといいね」
「そういうのじゃないと思うけど」
「でも、普通そうだろ?」
「まあ世間一般の認識としてはそうでしょうね」
そうしてその日、シャル達の話題はリーナで持ち切りであった。
「気持ちを込めれば、ねぇ・・・」
リーナは悩みつつも、シャル達のアドバイスをひとまず実践してみる事にするのだった。
リーナは再び街を歩き始める。何か目当ての品というものも無かったため、とりあえずミリアムのアドバイスである「宝石」を探す事にするが、しかしこの街には宝石商の様な物は無さそうであるため、売ってありそうな雑貨店を探す。
この街は煌びやかというわけではない。しかし、その街特有の建物の雰囲気という物があった。それは街の空気、そして人の空気を作り上げているものである。しかし、そんな中でひと際目立つ店があった。それは雑貨店の様だが、同時にこの街に相応しくはない、悪く言えば妙に貧乏くさそうな店であった。その様な店はロクでもない、リーナの認識はそうであった。だがしかし、リーナは何故だかその店に少し興味が湧き、その店に入る事にした。
「いらっしゃい」
中には少し不愛想な大男が一人、店の奥で座っていた。声や見た目がどこかランドに似ており、兄弟と疑いたくなるものだ。店内は色々な生活品が雑多に揃えてあった。そして、店の奥にはこの店には不相応な贈答品も揃えてあり、そしてその中には宝飾品もある様である。リーナはその宝飾品に目が行く。物自体は宝石商が売るような一級品ではない様だが、それでも決して悪くはない品揃えであった。
「贈り物かい?」
突然店主が聞いてくる。
「え?えぇ」
「男?女?」
「え?」
「相手だよ。相手は?」
「男よ」
「恋人か?それとも旦那?」
見ず知らずの、初対面である自分の事をズケズケと聞いてくるその態度はリーナはあまり気に入らなかったが、それでもここで歯向かっても仕方がないとリーナは感じ続けた。
「そんなものじゃないわ。でも・・・」
「でも?」
「とても世話になっている人よ」
「ふぅん」
店主はそう言うと、店頭のケースから一つの宝石を取り出す。青色のその宝石は、光の当たり方で様々な色の光を見せてくれる物であった。
「これはオパールって言うんだ。ここにあるものだと手頃なのにかなり良い物だぜ」
リーナはその宝石を手に取っていいかと聞くと、店主が了解をしたため、手に取って眺める。惹き込まれそうなその宝石は確かに贈答品としてピッタリだろう。
「「幸運」や「希望」なんて意味もあるんだとさ。まあ信じるかは勝手だが」
「いいわね。これ、首飾りに出来る?」
「あぁ、それくらいならタダでやるぜ。ただ、ウチの首掛けは普通の紐だけどいいか?」
「えぇ、お願い」
リーナはほぼ即決でその宝石を買う事にした。値段は金貨2枚。安くもなく高くもなくと言った価格であり、例え偽物だとしてもリーナがこの石に惹かれたのは確かであるため後悔はないだろう。
リーナが宝石を買っていたその頃。街の塔の近くに一体のフレームゴーレムが着陸する。それはストルツのフレームゴーレム・グリフォールであった。
「中々出撃許可が下りずに遅れたが、確かにフレームゴーレムの反応はこの街で消えたままだ。なら居るはずだ。今行くぞ、リーナベル!」




