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イェルク、村へ

炎魔竜の襲撃から数週間経ったサフラト村は、傷跡はあるものの復興が進んでいた。サクヤとリーナが村を出てからも村の人達はいつもの日常をいつも通り過ごしていた。

そんなある日、村の上空を3つの影が通り過ぎる。最初は誰も気にしなかったが、その影は旋回すると人型になりながら村の中心部に着陸をした。村の人々はソレに驚き警戒しながらも集まると、中から人が現れる。

「俺はイェルク・ランドウ。アツタ・サクヤの友人だ。サクヤに頼まれて来たのだが、ランドという男は居るか?」

イェルクの呼びかけを聞いた村人の一人が店に居るランドを呼び、連れてくる。

「俺がランドだ!」

「サクヤにハイ・ムーバーの修理を頼まれて来た。ハイ・ムーバーはどこにある?」

ハイ・ムーバー。聞きなれない単語にランドは頭を捻ったが、恐らくサクヤが乗っていた物の事だろうと推察した。

「それなら村のはずれに置いてある。案内するぜ」

その言葉に、イェルクと随伴の整備士の二人は自身のフレームゴーレムから降り、ランドに付いて行くのであった。


サクヤのハイ・ムーバ―は戦闘機の状態で放置してあった。イェルクの物であるが色は違うソレは、イェルクの想像と違い奇麗な状態であった。目立った大きな外傷もなく、ランドがメンテナンスをしているからか状態も奇麗であった。

イェルクは連れてきた整備士二人にサクヤのハイ・ムーバーの故障部分の確認をする様に命じると、整備士の二人は作業を始め、それを手際よく行っていった。

「サクヤは元気か?」

「あぁ、久しぶりに会ったが変わらないな」

「それなら良かった」

ランドはその言葉に安堵した。「魔力式音声通話機器」、通称「魔声機」で連絡を取ろうと思えば取れたのだが、どうにもそう言うのはランドの性に合わなかったのだ。

「ところで、お前さんの巨人はもしかして」

「Du hast recht。お察しの通りソレと一緒さ」

「じゃあサクヤの知り合いだってのも」

「アイツとは昔からの友人さ。この世界に来る前からな」

「なるほどな」

サクヤはこの世界に一人で来た事をランドは知っていた。村の人達との出会い、そしてリーナとの出会いがあったものの、ランドはサクヤがずっと一人で不安でないかと心配であった。ランドには他の世界という概念が分からない。だがしかし、それが不幸な事である事は何となくだが分かっていた。そんな中でも旧知の仲の人間と再会出来た事はサクヤにとっても嬉しかっただろう。ランドはそう思うのだった。

そうこうしていると、整備士の二人は作業を終わらせ、片方がイェルクへ報告をしに来た。

「終わりました」

「どうだ?直りそうか?」

「内部の機器の一部が完全に壊れてますが、まあフェリックスのパーツを複製すればどうにかなるでしょう。それと、動力もマナ・ジェネレーターに交換すれば動くでしょう」

「なら頼む」

「しかし、直してどうするんです?」

「さてな。しかし、このまま放置して腐すよりは、使える様にしておいた方がいつか役に立つだろ?

「そういうものですかね」

「そういうもんさ」

イェルク達は目的であったサクヤのハイ・ムーバーの点検を終わらせると、村から発とうとする。

「ランド。次に来る時は食事でもしながらゆっくり話でもしたいが、いいか?」

「あぁ、いつでも待ってるぜ。アレとは関係なくいつでも遊びに来い」

「Danke。その言葉、甘えさせてもらうよ」

イェルクとランドは強く握手を交わす。それは言葉以上に強い思いを秘めた物であった。


ここ数日、嬉しい事に本作が読まれている様です。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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