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岩魔竜 3

巨大な次元龍を倒した後、後続の敵は現れなかった。シャルはヴァリエンデの修復能力を使い戦闘で傷付いた洞窟内部を修復すると、トロンとウォードを乗せた岩魔竜に先行し、案内してもらう形でフレームゴーレムのまま他の二体と奥へと進んでいく事にした。

ムラサメのフレームゴーレムが明かりを灯したため、それを頼りに進んでくと、そこにあったのは大量の次元龍の卵であった。人の大きさ程ある白く濁った卵達の中には透明で中身が透けて見え、今にも孵化しそうな物などが見受けられる。

「予想はしてたが、コイツはひでぇや」

洞窟の一角に敷き詰められた無数の卵に一同は言葉を失った。

「そっちのロボの人。アンタは魔法とやらが使えんのか?」

「えっ?まあ」

「それならさっさと焼き払ってくれ。放置してたらまた面倒だぞ」

「分かった。ミリアム、頼める?」

「うん、いいよ」

シャルは魔法よりも剣の方が得意だった。なので、より強く、かつ魔法を上手く扱えるミリアムと席を変わり、この場はミリアムに任せる事にした。

「危ないからみんなは下がってて」

ミリアムが周りにそう呼びかけると皆は危険が無いように後方へと数歩下がっていく。

「あの時リーナベルがやったみたいにすれば」

ミリアムはヴァリエンデの両手を胸の前に突き出し交差させると、そこに魔力を通し、魔法で強力な炎を作りあげ、卵達を焼き払い始める。次元龍の卵はその熱に耐えきれなくなり、破裂し、最後は灰になるまで焼き尽くされるのであった。

無数の次元龍の卵を焼き尽くしたミリアムは魔力の大量消費に疲れ、呼吸が乱れてしまう。

「大丈夫?」

シャルは荷物にある水を差し出すと、ミリアムはそれを取り、水を飲むと、乱れた呼吸を整える。

「うん・・・。ちょっと疲れただけ・・・」

「これでいいか?」

「上出来だ。サンキューな」

ムラサメは手で丸のサインを送る。

「次元龍退治も済んだことだし、ここらで顔でも合わせて自己紹介でもしとくか」

「あぁ、それは構わない」

「ウェルターもいいか?」

「いいぞ。礼くらいはしておきたいからな」

「よし。じゃあみんな一回降りてきてくれ」


ムラサメのその提案を聞き、シャルはヴァリエンデを水晶玉へと戻す。そして、ムラサメは開いたフレームゴーレムの背部から降りたのに対し、ウェルターのフレームゴーレムは光輝いたのち、三体の小さな魔獣へと変化した。

「可愛い~!」

ウェルターのフレームゴーレムから変化したゾウ、ペンギン、パンダの様な魔獣にミリアム近づく。

「触ってもいいですか?」

「ソイツらがいいならいくらでも」

「ねぇ、触ってもいいかな?」

ミリアムは笑顔でその魔獣たちに聞く。すると、予想外の反応が返ってくる。

「もちろん、いいゾウ」

「しゃ、喋った!?」

ミリアムは驚き、尻もちをついてしまう。

「ほら、驚かれたペン」

「ま、もう慣れた事パン」

「み、みんな喋るの!?」

この世界の魔獣が、というよりも人間と魔族以外が言葉を発する事などない。その常識で慣れてきたミリアム達にとっては驚きの事であった。その不思議な魔獣達にシャル達も興味津々であった。

「ソレも後で説明するから、とりあえず自己紹介と行こうぜ」

話が逸れそうだったため、ムラサメが軌道修正を図る。

「そ、そうでしたね」

その言葉にシャル達は一人一人自分の名前を含めた軽い自己紹介をする。そして四人の自己紹介が終わると、次はウェルターとムラサメだ。

「俺はウェルター・ドレット。世界中に眠る宝を探して旅をしている者だ。そして」

「俺はムラサメ・リュウ。色々あってこっちの世界に来た時にウェルターに拾われて一緒に行動している」

「こっちの世界?」

その言葉が皆引っかかった。

「まあそういう反応だわな。長くはなるが、いいか?」

「えぇ、もちろん」

「気になるしな」

「じゃあ」

「とその前に、俺はアッチで宝探しでもしとくぜ」

自身の目的である宝探しを始めるウェルターに「あぁ」と答え、ムラサメは自分の身の上話を始める。

「俺はこことは違う世界、違う宇宙って言うべきかな?まあともかく、そこで宇宙のゴミ処理や海賊、そしてあの次元龍の討伐をやってたんだがな、ある時、次元龍の起こす時空震、まあザックリ言うと空間が割れる現象に巻き込まれてこの世界に来たんだ」

「違う、宇宙・・・?」

「空間が割れる・・・?」

自分達の持つ概念に無い話の羅列にシャル達は頭を捻った。

「いきなり難しい話をして悪かった。要は帰れないほど滅茶苦茶遠くからやって来たって思ってくれ」

「うーん。分かった様な、分からない様な」

「その、先ほど私達が戦った次元龍とはなんなんだ?」

「それもだな。これは俺の居た船の教授の分析なんだが、次元龍ってのは500年周期で時空の壁を破壊して現れるらしいんだ。俺の居た世界では500年前の2000年頃に世界滅亡の予言が流行ったらしいんだが、それも次元龍と関係してるんじゃないかってのが教授の話だ」

「そう言えばさっき、ヴァリエンデが似た様な事を言ってた」

「ヴァリエンデってのは御宅らの?」

「えぇ」

ミリアムは先ほどの戦闘中にヴァリエンデが表示したモニターの中に次元龍の情報があった事を話した。戦闘中だったためミリアムは細かく目を通したわけではないが、そこには次元龍の生態が載っており、そして彼らが危険な存在である事が強調されていた様である。

「ならこっちの口から説明するよりも、御宅らのロボの情報を読んでもらった方がいいかもしれないな」

「そうしておくよ」

「それで、この子達なんだけど・・・」

ミリアムの手にはペンギンの様な生き物が抱えられており、足元にゾウとパンダも居る様子であった。

「ソイツらはウェルターから聞いた方が良さそうだが、忙しそうだな」

「ならボクたちから話すペン」

「なら頼む」

ムラサメは動物たちに話を頼むと、その場で休息を取り始めた。

「それで、君たちはなんなの?」

「ボクらもこことは違う世界で、他の仲間と一緒にある存在と戦ってたんだペン」

「で、その戦いが終わった後しばらくしたある日、ムラサメが言っていたのと同じ事でこの世界に飛ばされて来たんだゾウ」

「それで、こっちの世界に来た時に、ウェルターに拾われて、こうして一緒に行動してるわけパン」

「へー」

「それよりも、だ。何で魔獣が喋るんだよ」

「そうですね。喋る魔獣なんて聞いたことが無いですよ」

ミリアム達もそもそもはそこも疑問であった。喋る魔獣。それに状況から察するにこの生き物たちがフレームゴーレムへとなっている様である。その様な摩訶不思議な存在もまた皆の常識の範囲外の事なのだ。

「詳しい事を話すと難しくなっちゃうけど、とにかくボクらは普通の生き物とは違って特別な力を持っている存在ペン」

「それで納得できませんよ」

「まあ、それならそれでもいいパン」

「それと、頼みがあるのだが、大丈夫ゾウ?」

「えぇ」

「もしかしたら我らと同じくこの世界に居るかもしれない仲間を探してほしいんだゾウ」

「私たちと同じ様に額にクリスタルが付いてる喋る動物が居るはずパン」

「もし会ったらボクらが無事な事を伝えてほしいペン」

「うん、分かったわ」

そうこうしていると、宝探しを終えたウェルターがシャル達の元へと戻ってきた。

「どうだった?」

「ダメだ。こういう場所に宝はあるモンだと思ったが」

「それじゃあ出ようぜ。シャル達も、いいか?」

「えぇ、そうしよう」

シャル達は岩魔竜に見送られ、洞窟を後にし、そしてその後ウェルターとムラサメと別れるのだった。

結果として問題解決までしてしまったが、シャル達が大臣から依頼された任務はこれで完了である。その事を伝えるため、シャル達は一度ガイムールへと戻るのであった


2週間ぶりの更新になってしまいすみません。


さて、今回のお話ですが、前回同様そもそもの予定では存在していない話でした。なので違和感が無い様にどういう風にお話を進行させるのか苦労しましたが、最終的には後々の話で出そうと思っていたキャラクターの登場を前倒しにさせるという形でなんとかなりました。

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