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真の《勇気》 2

落下していったミレーヌは、なんとか機体を安定させながら着地をし、そのまま部下と共に撤退していく。これ以上の戦闘は部下と共にやっても負けると判断したのだろう。シャルはそれを見ながらゆっくりとヴァリエンデを着地させる。先ほどの戦闘、特にシャドウの爆発のせいでその周辺の建物などが被害を受けていた。それを見たヴァリエンデが羽から光の粒子を放出すると、破損した建物などが修復されていく。その現象にシャル達は驚かされるのだった。ヴァリエンデは役目を終えると、シャルとミリアムをウォードとトロンのそばへ放出し、自身はエスペランザと同じ様な手のひらサイズの水晶玉になり、シャルの手へ戻る。それは、シャルが母親から貰ったお守りの水晶玉であった。

「まさかミリアムの言った通り、フレームゴーレムになるとは」

「私、冗談のつもりで言ったんだけど」

4人が水晶玉をマジマジと見ていると、そこに誰かが近づいてくる。そう、それは偽勇者の4人だった。

「もしかして、あなた達が・・・」

4人が偽勇者達の方へと振り向くと、シャル答える。

「えぇ、そうよ」

そう答えると、偽勇者の4人はその場に土下座をし、謝罪をし始める。しかし、シャル達にとって必要なのは謝罪ではなく「どうしてこの様な事をしたのか」であった。それを問うと、偽勇者のシャロが話始める。

「アタシらは元々流しの大道芸人だったんだ。色々な事をやってて、自分で言うのもなんだけど、中々に人気があったんだよ。でも、ある日、技で失敗してアタシが大怪我しちゃってさ。それ以来、芸をするのが、いや、失敗するのが怖くなっちゃってさ。しかもこの御時世でこういうのを楽しむ人が減ってきて、食い扶持も無くなって困ってた頃、貴方たちの話を耳にして「これだ!」って思ってやり始めたんだ・・・」

「そう・・・」

「アタシらだって嘘で人から金を取るなんて悪いとは思う!でも、これをやるしかないし、こんな嘘でも喜んでくれる人がいるんだよ!」

「それはアナタ達の悪行を正当化しようとしてるだけよ」

「そう・・・。そうよね・・・」

シャルは偽勇者達に怒りの感情は無かった。しかし、どんな理由があろうと彼女らを許すわけにもいかない。

「あの時。あの時アナタ達は魔族に立ち向かう勇気を見せてたよね?その勇気があれば失敗する怖さだって大丈夫よ。それに、私達がやった時みたいに喜んでくれる人たちは居るし、なにより、私達に芸を見せてくれたアナタ達の姿は輝いていたわ」

「勇気?あれはただ失望されたくなくてやっただけよ。でも、もしかすると、あなたの言う通り、怖がらずに芸を続けてたら良かったかもしれないわね・・・」

偽勇者達は自分達のやってきた事を、いや、それ以前から間違えてしまった自分達の事を振り返り、寂しそうな顔を浮かべる。

その後、シャル達は偽勇者達を詐欺の罪でガイムールの行政に引き渡すのであった。偽勇者達は抵抗する事なくそれを受け入れている様子であった。シャルは少しでも罪が軽くなる様にと頼んではみたが、その結果がどうなるのかは行政機関が決める事である。


偽勇者を引き渡すとシャル達は街を後にし、大臣に頼まれた洞窟の調査へ向かうのであった。と、その時。

「なあ。歩いて行くよりもさっきのフレームゴーレムにみんな乗った方が早いんじゃないか?飛べる様だしよ」

「確かに!ねぇ、シャル、やってみない?」

「そ、そうね」

シャルは鞄から水晶玉を取り出す。

「確かこうだっけ?ヴァリエンデ!」

サクヤの真似をし、ヴァリエンデを呼び出す。

「ヴァリエンデ!私達4人を乗せてくれ!」

シャルがそう言うと、ヴァリエンデは4人を胸の玉へと吸収する。

「・・・なあ。もう少しどうにかならねえか?」

「えぇ・・・」

シャルとミリアムはコックピットの座席に座っているが、座席はその二つしかないため、余った狭いスペースへウォードとトロンが押し込まれる形になった。

「ちょっとウォード!変な所触らないで!」

「触ってねえよ!」

すると、トロンが提案をする。

「なら、私とウォードをこのヴァリエンデの手の上に乗せて歩くと言うのはどうでしょう?」

「分かった。お願い、ヴァリエンデ」

そうすると、ヴァリエンデは胸の前に左手を出し、そこに二人を移すのだった。

「おぉ、これなら・・・。って、下見るもんじゃねぇな」

「シャルロット、歩いてみてください」

シャルはヴァリエンデを歩かせ始める。しかし数歩歩くと、トロンが音を上げ始める。

「シャルロット!止まって!止まって!」

コックピットに乗っているシャルとミリアムは感じないが、外に居る二人は激しく揺さぶられたため気持ち悪くなってしまったのだ。

「やっぱり、普通に行こうか」

「えぇ、そうね」

4人はヴァリエンデでの移動を諦め降りると、再び自分達の足で歩き始めるのであった。


・裏話

今回の話は元々「森に住む部族たちの所に着いたシャル達が、そこで神として祀られていたヴァリエンデと出会う。その時、とあるフレームゴーレムの襲撃に会い、シャル達がヴァリエンデに乗り込み戦う」というエピソードにする予定でした。しかし、登場がエスペランザと被ることや、今後構想している話と展開が被るなどの理由で今回の様な話に変わったという経緯があります。そのため、シャルがお守りで水晶玉を持っているというのは当初予定していなかったため、少し前のエピソードで無理矢理付け加えたのでした。

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