巣食う蟲 2
「やった・・・のか・・・?」
サクヤは辺りを見回す。目視で確認する限りでは蟲の姿はもう無く、亡骸すらも残っていない様子であった。
「リーナ、レーダーの反応は」
「恐らく民家の中にある塊になった生体反応が複数。それと離れた所に二つだけ反応があるわ」
「もしかすると・・・」
「この状況で人が残っているとでも思ってるの?」
「行って見なきゃ分からないだろ。とにかく降りよう」
リーナとサクヤ、そしてリュードはエスペランザを降りて玉にし、村の探索を始めた。あれだけの騒ぎを起こし、しかもそれが終わっても誰も影を見せない時点で覚悟はしていたが、降りてみてもやはり人の営みがある空気感が無く、死の村と化しているのを肌で感じられる。しかし、サクヤは一縷の望みを持って生体反応の多かった建物の扉を開いた。しかしそこに広がっていた光景は希望とは程遠い物だった。ハチの巣と蚕の繭を混ぜた様な物、恐らく蟲の巣が広がっており、そこにこの村に住んでいた人であろう人の影がある状態だった。人の影、といってもそれはもう生きる者の姿ではなく、死体になり蟲の餌として漁られた物ばかりであった。蟲の繭と思われる物はまだ生きており、放置しておくとまた新たな蟲が現れるだろう。薄々は分かっていたがその光景は絶句するしかないものであった。他の集合した生体反応は同じ状況だろう。しかしそうなると一つ気になる事があった。それは二つだけ離れた所にある生体反応である。サクヤ達はその反応があった場所へと向かう。するとそこにあったのは少し影に隠れた小屋というよりは倉庫の様な場所だった。サクヤはその場所のドアを恐る恐る開ける。
「子供・・・?」
倉庫の中に光が差すと、そこに居たのは幼い男女二人の子供であった。それを見たサクヤ達は急いで駆け寄った。リーナにも頼みそれぞれ一人ずつ呼吸と脈の確認をする。呼吸はか細く、脈も正常とは言えないもののその二人はまだ確かに生きている。恐らく相当な期間この倉庫に身を潜めつつ、そこにあった食料などで生きてきたのだろう、辺りにはそれらしいゴミが散らばっている。
生きている、とは言えどこのままだと確実に衰弱死しそうな状況である。
「リーナ」
「えぇ」
サクヤは男の子を抱え、リーナはリュードに支えられながら女の子を背負い倉庫を出るとエスペランザを呼び出す。エスペランザのコックピットの中に入ると水と携帯食料を取り出し、子供達の口に少しずつ含ませる。すると少しではあるが先ほどよりは落ち着き、そのまま二人の子供は眠り始めるのだった。
すぐにでも二人をメラルの街に連れていきちゃんとした処置をさせたかったのだが、いつの間にか陽が落ち始める時間になっていた。そのためサクヤはこの村で一夜を明かすことにする。
「リーナ、一つ頼んでもいいか」
「えぇ」
「あの蟲の巣をこのままにするわけにはいかないから、燃やしてくれ」
「そうね」
リーナはサクヤの言葉をすんなりと受け入れると、炎魔法を使い、村を燃やし始める。周りの木々に燃え移らない様に起用な魔法捌きであり、いつでも水魔法で鎮火も出来るようにその炎を見守っていた。もしまだこの二人の子供の様に生き残っている人が居たらこの判断は間違いだったかもしれない、そう思いながらサクヤは燃える村を見つめていた。
エスペランザの口が開くギミックはカッコイイだろうという理由で冷却機能として描写をしているのですが、肝心のその描写を書いている時に忘れ書き忘れる事がよくあります。どうにかしたいものです。




