巣食う蟲 1
食事を終えたサクヤとリーナ、そしてリュードはしばらく休憩し洗濯物が乾くとまた村を目指し歩みを始めた。地図上では村のある場所に近づいたが人の気配や活気の様な物がまるでない、ゴーストタウンの様と形容するのが正しいだろうか。サクヤはリーナと共に地図を確認しつつも一歩一歩とまた近づいていく。遂に村と思われる場所に踏み入ると、そこにあったのは人の活気ではなく”蟲”の群れであった。蟲がたまたま群れでそこに居るというわけではなく、明確にそこに巣がある、居住していると思われる状態であり、恐らくそこに住んでいた人たちはもうここには居ないだろう、そうサクヤとリーナは直感的に思った。
蟲は十匹ほど居たが、そのどれもがメラルで見た蟲よりも身体は小さく、5mほどの大きさしかなく、体色も薄く、幼体と言ったところだろう。
幼体の蟲達はエスペランザに気が付くと全員で雄叫びを上げたのち、エスペランザに襲い掛かる。それを見たサクヤは咄嗟に蛇腹剣を出し抵抗をする。四方から攻撃を仕掛けるものの幼体の蟲達はまだ身体が出来上がっていないからか先日の蟲よりも硬さなどは無く、蛇腹剣を振るい抵抗をするだけでも簡単に倒せていくほどであった。その呆気なさにはサクヤも驚いていた。
「これで全部か?」
「えぇ、そのようね」
二人は周囲を見渡し蟲の存在が無い事を確認し安堵した。しかし突如リーナの座る後部座席の方のモニターに何かの反応が入る。
「待って、こっちに何か向かって来てる!」
「数は!?」
「20!」
「20?まさかアレが!?」
すると辺りから蟲が飛来してくる。先ほどの物とは違い大きさもあり成体の様であり、恐らく戦闘前の蟲達の声が呼び寄せたのだろう。
「あんなにも!?」
「でもこのまま逃げられないだろ!なら、やるしか!」
数多くの蟲達は飛びながらエスペランザを取り囲む。どちらかが動くと戦いの合図、そう感じ取れるものだった。しかしその緊張はすぐに解け、蟲達がエスペランザに突撃をしようとし、攻撃が始まる。蛇腹剣で蟲達の突撃を防ごうとするが、四方からの奇襲にエスペランザも翻弄された。
「リュード、お願い!」
リーナの呼びかけにリュードは答え、マジードラッヘで出撃する。飛び立つマジードラッヘに気を取られた隙に蛇腹剣を一匹の蟲に巻き付け、囲む蟲達に対して力一杯振り回す。避ける者もいれば咄嗟の事で避けられず追突する者も居た。その後振り回している剣から手を離し放り投げると即座に洗濯に使った長い鉄の棒を出す。しかしそれは先ほどの物とは少し違い、後ろ側が薙刀の刃の様になっていた。サクヤは前方から来た蟲は頭部に打撃を与え、後方の蟲には刃を向けて翼の付け根を狙い反撃をしていた。そこにマジードラッヘも加勢をし、蟲を五体ほど自分の方へと向かせエスペランザから引き離す。
エスペランザは鉄の棒・ナギナタを消滅させると次は垂直に上昇する。蟲を引き離すスピードで上昇すると、今度は一気に下降をし、着いてきた蟲に対して拳を叩きつけ、さらにその勢いのままロケットパンチを放ち、蟲を地面へと叩きつける。その攻撃を受けた蟲は頭部が歪み、行動不能となる。
着陸をするとすぐに腕が戻り、次にビームファイラムの斧を持つ。斧を振り回し、時に銃にしてビームを放ちながら蟲を迎撃するが、次第に数に押され、攻撃が間に合わなくなってしまう。マジードラッヘも数には勝てなかったのかエスペランザの近くに堕ち、そのまま水晶玉へと戻ってしまう。それを見たエスペランザはリュードを光にし、コックピットへ回収する。しかしその後、遂にエスペランザはその場に倒れてしまう。蟲達の追撃は止まず、まるで餌を貪るかの様に取り囲み集団で攻撃を加える。エスペランザはソレに抵抗できず。段々と外装が破損していく。
このままでは負ける。サクヤとリーナは確信した。
しかしその時、突如エスペランザの目が赤く光り、自分に纏わりつく蟲達を一気に吹き飛ばす。
「何をしたの?」
「俺じゃない!エスペランザが勝手に動いて!」
蟲達は吹き飛ばされてもなお突撃をする。しかしエスペランザはその蟲達と掴み、地面へと叩きつけたり蹴りを加えたりすり。それはまるで荒ぶる野獣と評せるものであり、サクヤやリーナのやる理性のある戦い方ではなかった。エスペランザの猛攻により蟲達は押され始める。そして蟲達が弱った頃、エスペランザの背中から翼の様な光が生えてくる。すると、その光は空にヒビを入れ、そのまま空を割る。
「空が・・・!?」
「もしかして、これが・・・」
割れた空・空裂から吸い込むような強力な風が起こると、エスペランザその風を操り的確にこの場の全ての蟲を割れた空へと追放する。その後、空を覆う様に翼を広げると空裂は収束していく。
こうして蟲との激闘は幕を閉じるのだった。
なんとか更新できました。
来週も更新できればと思います。




