休息
サクヤとリーナは二日ほどするとメラルの街を発ち、依頼された村の方へと足を運び始めた。まだ例の蟲の死骸の回収は出来ていなかった様であり、春の温かさもあり少し腐敗が始まっている様子であった。いつもの様にサクヤとリーナ、そしてリュードはエスペランザで進んでいるとそこに川が見えてくる。山からも海からも離れている土地なため恐らく中流といったところだろう。しかし決して小さくはない、近隣の生活を支えているであろう川は存在感のあるものだった。サクヤはその川に興味を持ち近づいていく。川のそばに行くとしゃがみこみ、モニターで川の様子をピックアップしていた。
「何をしているの?」
「リーナ、この川、魚が居るぞ!」
「川なんだから魚くらい居るでしょう」
「そうだけどそうじゃなくて・・・。とにかく、操縦任せた」
サクヤはエスペランザの左腕を支えに固定した後、エスペランザから降り、上着を脱ぎ始めた。
「何してるのよ!」
「エスペランザの右手で川を軽くかき混ぜてくれ!底からひっくり返す様にさ!」
サクヤが変な事を始めた。そう思いつつもリーナはエスペランザの右腕を動かし川を軽く底からかき混ぜる。すると川は底に溜まった泥で濁り始めるが、すかさずサクヤは川に入り、上着を川に入れゴソゴソとし始める。サクヤが上着を引き上げるとそこには数匹の魚が入っており、それを笑顔でリーナへと見せつける。どうやらそこまで深い川ではないようで、サクヤが入っても脹脛の半分くらいまでしか水嵩がないようだった。サクヤが川から上がると「着替えと調理道具を持ってきてくれ!」と言ってきたので、リーナは言われた通りの物を持ちリュードと共にエスペランザから降りる。サクヤはリーナから調理道具の中からナイフを受け取るとその場で手際よく魚のエラへとナイフを入れ、魚を締め川で洗い血抜きをする。
「せっかくだし服も洗って、水浴びでもしないか?俺の服も濡れちゃったしさ」
「濡れた、じゃなくて濡らしたんでしょ」
リーナは少し呆れながらも続けた。
「いいわ。せっかくだし水浴びでもしようかしら」
「じゃ、俺はエスペランザの影に行っとくから」
そう言うとサクヤは調理器具を持ち、リュードには誰かが向かってきそうなら知らせる様に頼み、リーナを視界に入れない様に配慮が出来る位置へと移動する。それを確認すると、リーナは着替えとタオルを出してから下着姿へとなり川で上着や下履きを洗い始める。慣れない片腕でやりづらさがある様子ではあるが、出来る限りで入念に洗い、それを洗い終わると下着を脱ぎ、下着を軽く洗う。洗い終わった物を川辺に畳んで置くと、川に入り顔を洗うと、そのまま仰向けに寝転がる。身体を洗うのは川の流れに任せ、リーナはただ無心で空を見上げる。少し雲はありながらもその澄んだ青空を見上げ、少しばかりの自然の癒しを味わうのだった。
サクヤはその間、採った魚に対して岩塩を削りかけ、串打ちをして食事の準備をしていた。
「いいわよ」
川から上がり身体を拭き着替えると、エスペランザの影に居たサクヤを呼ぶ。その声を聞きリュードはリーナの元に聞き、リーナの声を聞いたサクヤはリーナと交代する形で同じように服を洗い、川へと浸かり全身を洗う。サクヤが上がると同じようにリーナへと声をかける。
「で、洗ったのはどう干すの?」
「それなら一つ考えがある」
そう言うとサクヤはエスペランザへ入り、エスペランザの操縦席へと座る。
「多分エスペランザなら・・・」
サクヤがそう呟きながらイメージをすると、エスペランザの手に長い鉄の棒が現れる。それを人の高さまで下げ洗濯物が掛けやすい様に片手持ちで支えるとサクヤがエスペランザから降りてくる。
「呆れた使い方ね」
「でもこれなら干せるだろ?」
リュードも手伝いながら二人で鉄の棒に洗濯物を通すとサクヤはまたエスペランザに戻る。洗濯物を掛けた棒の両端を持つと体育座り様な体勢になり、エスペランザの胸の前に洗濯物を掲げる。タオルは飛ばない様に指で押さえる様に調整をし、後は乾くのが待つだけの状態にするとサクヤはエスペランザからまた降りてくる。
「じゃあさっき採った魚を焼いて食べようぜ」
サクヤに笑顔でそう言われると、リーナは共に食事の準備をするのだった。




