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勇者の旅路 1

時間は少し遡り、サクヤ達がメラルの街に到着する前の頃となる。

サクヤ達とは違い歩きで旅をしていたシャル達は、その日も道中でキャンプをしていた。サクヤ達とは違うルートでディナルドを目指しており、無関係な人達を巻き込まないため、そしてもしディナルドに占拠された街に寄った場合にリスクも考え、極力街などは通らない様にしているのである。

その夜、シャル以外の三人が食事を終わらせ眠りにつこうとしていた時、シャルは一人座り空を眺めていた。手には水晶玉を持ち、その水晶玉で空を覗いていた。

「シャル、明日も早いんだ」

ドワーフの男、ウォードがシャルのそばへと寄り声をかける。

「ごめん。月を見てて」

「その玉、御袋さんからのお守りなんだろ?もう少し大切に扱いな」

「あぁ。でもこれで覗く景色が好きなんだ」

「月、ですか。確かに今夜の月はとても奇麗ですね」

「そう言えばその水晶玉ってサクヤさんのフレームゴーレムの物に似てない?」

神父の男トロン、シャルの幼馴染ミリアムもそばへと寄る。

「そう?」

「もしかしてそれもあの大きな人型になったりして」

ミリアムはいたずらっぽく笑う。

「それは無いんじゃない・・・かな?」

シャルは続ける。

「でも、そうだったらこれから先助かるかもね」

シャルは「じゃあそろそろ寝ようか」と言い立ち会がり、皆と一緒に男女別々のテントへと戻っていくのだった。


シャル達は消耗品などを補充する目的で、道なりにおいて一番近くのピスラズという街を目指していた。街へと続く道を目指していると二人の街の門番が視界へと入ってくる。シャル達は万が一にも街が魔族側に占拠されている可能性も警戒し一度そばの茂みに隠れ門番の様子を伺う。

「おいアレ、魔族じゃないか?」

皆は目を凝らしてみると、その門番達は角と翼が生えている。

「この街はまだ大丈夫だと思いましたが」

「どうしよう。このままじゃ街に行けないよ」

その様子を見て、シャルは頭をひねっていた。

「一つだけ方法はある・・・。けど、これはあまり使いたくないな」

「イイから話な。魔族相手なら手段も選んでられないだろ」

ウォードに促され、シャルは説明をする。


魔族の門番は適当に仕事をこなしていた。誰も来ず、ただ見張りをしているだけというのも暇なのだろう。しかしそこに二組の男の影が見える。片方は低身長、恐らくドワーフの影であり、もう片方は男性としてもかなり身長のある凹凸なコンビだ。

「止まれ。この街に何の用だ?」

魔族の門番は二人の男を止めた。四人組ではないため勇者ではないのは確かではあるが、仕事として街に入れるには身分の確認は重要である。

「あっしらただの旅芸人でして。こちらに街があるから寄ろうとしてな」

「えぇ、その通りです」

旅芸人、と言うには恰好がおかしな二人組。そう、ウォードとトロンである。

「一応その荷物、確かめさせてもらうぞ」

「そんな斧を持ち歩いている奴が旅芸人なわけがないだろ」と片方の門番が呟きながら二人の門番が荷物を調べようとウォードとトロンの背後に回る。すると、茂みの影から突然何者かが現れ、瞬間、門番の二人の頭を強打する。「ゴツン」という鈍い音と共に門番の二人の視界は歪み、そのまま倒れ、気絶した様子である。

「ごめんなさい・・・」

ミリアムは謝りながらシャルと共に二人の門番を無理のない体勢へ動かし、お詫びの印として菓子を置く。

「意外となんとかなるもんだな」

「なんですあの口調。変ですよ」

「うるせぇ、お前はなりきりが足りないんだよ」

シャルは二人の門番を眺めた。

「いくら魔族相手とは言え、やっぱり不意討ちは・・・」

「仕方ねえさ。それより行こうぜ」

そう声を掛けられると、シャル達はピスラズの街の門を潜るのだった。


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