始動する羽音 1
サクヤとリーナのこれまでをイェルクに話しつつ、食事が終わった。気付けばイェルクはデザートまで食べており、満足気な様子であった。食事を終え、三人が席を立とうとした時、街に激しい鐘の音が鳴り響き、住人達に避難の命令が出された。それを聞いたサクヤ達は食事代を置き急いで店を後にし、フェリックスを置いている塔の近くへと戻る。いきなりの事で街の人達は困惑していたが、すぐにそれは現れた。空に三つの何かの影が映る。その影は徐々に街の中心である塔の近くに降下を始め、それを見た住人達はすぐにそこを離れる様に散り散りになりながら避難を始める。
現れたのは蟲の様であり竜の様でもある異形の生物であった。10mほどあるその生物はとてもこの世界の生物とは思えないものである。しかし分かりやすく蟲と形容すべきだろう。
「何だよアレ!」
「リーナ、アレも竜なのか?」
「私の知っている竜にあんなものは居ないは。何なの・・・」
蟲は無作為に人や建物を襲い始める。それを見てイェルクはフェリックスに乗り込もうと急ぐが、周りに蟲が居るせいで近づくことが出来なかった。
「サクヤ、アイツらをフェリックスから離してくれ!俺はその隙にフェリックスに乗り込んでアイツらを空に誘導する!」
「分かった!」
サクヤはエスペランザを召喚し、操縦席に乗り込んだリーナが蛇腹剣で蟲を薙ぎ払う。そのおかげで出来た隙にイェルクはフェリックスに乗り込み、即座に空へ飛びながら攻撃を加え蟲の注意を引き付け、同時に戦闘機の姿へと変形させる。その攻撃に気を取られた蟲達はフェリックスを追う様に空へと飛び立つ。
「リュード、手伝ってやってくれ!」
サクヤのその言葉にリュードは答え、マジードラッヘを召喚しフェリックスの援護に向かった。
マジードラッヘが口から炎を吐き蟲へ攻撃をすると、蟲が二体マジードラッヘの方へと向かう。
「頼もしいドラゴンだ、助かるぜ!」
1対1の状態となった蟲とフェリックス。蟲がフェリックスを追いかける形となっていたが、フェリックスは急に上昇しながら後ろへと回り込み、変形をしながら蟲の背中へと取りつく。蟲は振り下ろそうとしたが、気にもせずにイェルクはフェリックスのナイフを取り出し、背中に突き刺そうとする。がしかし、そのナイフは弾かれた。
「なんとッ!?」
蟲の背中はとても固く、生半可な武器では通らない物となっていた。
蟲の固さに驚いた時、フェリックスは蟲から振り落とされる。イェルクは即座にそれに対応し体勢を立て直すと、次の一手を講じながら蟲の攻撃を回避する。
2025/4/9 蟲の大きさを修正しました。流石に20mは大きすぎました。




