再会、友よ 5
サクヤとイェルクはメラルの塔の付近へと着陸をするとお互いに機体から降りるのであった。エスペランザとマジードラッヘはいつもの様に水晶玉の形となり手元に戻るのに対して、フェリックスはコックピットからケーブル伝いに簡易エレベーターを下ろす形であった。
サクヤとイェルクはお互いの顔を確認すると、両者共に駆け寄り、強く握手をした。
「Es ist schon eine Weile her!サクヤ!生きてたか!」
「イェルクこそ!どこに行ってたんだよ!」
「こっちもあの後色々あってな!しかしよく俺だった分かったな!」
「あの動きの癖。変形する時に時計回りに回転するのを見てもしかしたらって思ってさ!」
二人は互いの肩を叩き合いながら、その出会いを深く喜んでいる様子であった。そんなサクヤに対し、リーナは近づき軽く肘で小突く。
「ちょっと、説明なさいよ」
「あぁ、ごめん」
「サクヤ、その女性は?こっちの世界でもうLiebhaberを作るなんて、お前も中々やるなぁ!」
「恋人じゃないって。紹介するよ、彼女はリーナ。リーナベルだ」
「よろしく」
リーナが右手を差し出すと、イェルクはそれに応じる様に握手をする。
「Nett dich kennenzulernen Hallo、俺はイェルク・ランドウだ」
その言葉をリーナは理解できなかった。リーナの知らない言語である。
「あー、「初めまして、よろしく」だって」
どうやらサクヤには分かる言葉らしい。しかしエスペランザの文字といい、サクヤは自分の知らない何かを知っている、そうリーナは思うのであった。
「まったく、浮かれるとドイツ語が混ざる癖は健在だな」
「母国語なんだから当たり前さ。それよりもリーナベルさん、サクヤのLiebhaber・・・恋人じゃないんだよな?」
「えぇ、そうよ」
「じゃあ俺と付き合わないか?悪い思いはさせないぜ」
イェルクは跪き、左手を胸に当て、右手を高く差し出し、リーナを見上げる姿勢になった。
「お断りよ。それに、私はそういうキザな男は嫌いなの」
その言葉に、イェルクは半笑いになり、渇いた笑いをしながら頭をかいた。
「そうやってすぐ口説こうとするの、よくないぜ」
「いいさ。ディナルドに戻ってまた可愛いメイドさんにでも声をかければ」
ディナルド。その単語がイェルクの口から出た事に二人は驚いた。
「イェルク、ディナルドって」
「まあ色々話したい事もあるしな。どうだ、3人で飯でも?奢るぜ」
「あぁ、そうするか」
サクヤ、リーナ、イェルクはどこかで身体を休めようと街を歩き始める。が、進み始める前にイェルクがフェリックスの方へと振り向く。すると、そこには人だかりが出来ていた。
「見惚れるのは良いことだが、俺の愛しのフェリックスを傷つけないでくれよ!」
イェルクはそう群衆に伝えると、再びサクヤとリーナと共に歩き始めるのだった。




