帰路 3
「ただいま」
サクヤは自身の家へと戻る。数日ぶりの家であったため、入った時にすぐにでも気が抜け、布団に惹き込まれそうになっていた。
「おかえり。遅かったじゃない」
「ちょっと色々話しこんじゃってさ」
「まあいいわ。あのデルっての、返しておいたから」
「ありがとう」
サクヤは背中の荷物をそこら辺に下ろし、夕食を用意する。しばらく留守にしていたのもありある程度保存の効く食材しか残っていなかったが、それらを使い適当に簡単な物を短時間で作り上げた。それが食卓に並ぶと、二人は食事を始める。数日ぶりのまともな料理であったためか、二人は顔に出さずとも、いつも以上に味わっていた事だろう。そしてリュードには干し肉である。しかし、今回は塩分の事を考慮し、水で少し塩抜きをした物を与える様にしている。
食事を終わらせると、白湯で胃を休めながら数日ぶりの家で心を休めていた。しかし同時に、二人は何かを言おうとタイミングを見計らっていた。
「あの」
「ねえ」
それは同時だった。それに互いは驚き、少しの間が生まれた。
「いいわ。先に」
「じゃあ・・・」
改めてサクヤは姿勢を正す。
「俺、旅に出ようと思うんだ」
「また。唐突ね」
「ごめん。でも今日クラウンと戦って改めて思ったんだ。あんな物が他にもあって人を支配してるなんて見過ごせないんだ。それに、クラウンがまた竜を暴走させたりしたらと思うと・・・」
サクヤは一つ間を置き、さらに語る。
「村の人達にも迷惑かけたくないんだ。もし俺がエスペランザを持ったままこの村に居ると、また奴らが襲ってくるかもしれない。そんなことでまた村の人達を巻き込みたくないんだ」
リーナは白湯を飲みながら、ただそれを黙って聞いているだけだった。
「ごめん。自分勝手な事ばかりで・・・。リーナはここに住んでくれてていいからさ」
「言いたい事はそれで終わりかしら?」
「え?あぁ・・・」
リーナはコップを机へと置き、話始める。
「ならちょうといいわ。私もディナルドへ向かおうと思ったから」
「えっ!?」
「あのクラウンとかいうの、どうにも気に食わないし気がかりだわ。それに、ここでじっとしていた所であのストルツが追いかけてくるだけよ。ならここをさっさと出て自分から会いに行ってやればいいでしょ」
飄々とした態度でそう答えるが、その後、襟を正したかの様に真剣な眼差しとなる。
「でも今の私には力が無い。だからサクヤ。アナタとエスペランザの力を私に貸してほしいの」
その真剣な眼差しと、予想外の要求に、サクヤは思わず笑ってしまう。
「なによ」
「ごめん、ごめん。なんだ、リーナもそうだったのか」
サクヤは手元の白湯を飲み落ち着く。
「じゃあリュードも入れて一緒に行こうか。昔から『一人より二人がいい、二人より三人がいい』って言うしさ」
「だからそう言ってるじゃない。それになによその言葉」
「知らない?若さはプラズマなんだよ」
「知らないわよ。なによそれ」
「まあまあ。じゃあさ、明日にでも荷物まとめて数日以内には出られる様にしよう。善は急げって言うしさ」
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