始まりの出会い 4
森を抜けた先にサクヤの村であるサラストが見えてくる。
村と言っても決して小さくはなく、遠目からもそれなりの集落が確認できるほどである。
サクヤとリーナが西側の検問を抜けると、東側にあるサクヤの家へと向かった。
平屋建てのサクヤの家に着くとサクヤはリーナを粗末なベッドへと案内し、寝かせた。
その後サクヤは火がついている暖炉に薪を足し、水の張った鍋を暖炉の上に置く。そして外に出たと思ったら、水を汲んで戻ってきて、枕元にいつでも飲めるようにコップと共に置いた。
「じゃあ俺はこれから少し買い物してくるからゆっくり寝ててくれ」
そう言い残すとサクヤは山から持ち帰った荷物を背負い、家を後にした。
「まったく。こんな状態とは言え、人間の敵をこんな一人にするなんて」
リーナはやれやれと思いながらもベッドで休息を取ることにした。
何かの物音で目が覚める。
リーナは眠りから覚めない目で音のする方を見ると、サクヤが帰ってきており、キッチンで何かしているのが見えた。しばらく見ているとサクヤも気づいたのか振り返ってきた。
「おっ、起きたのか?」
「そんなに音がしていたら眠るに眠れないわ」
「それはごめん」
「まあいいわ、何をしてるの?」
「飯さ、もう出来たぞ」
そう言いながらサクヤは何か汁物をお椀へと淹れ、リーナの元へと持って行った。
「これは?」
「麦粥だ。薬草が入ってるから栄養はあるはずだぜ」
リーナがお椀を受け取ろうとすると、サクヤは渡そうとはしなかった。
「ほらほら、そのままそのまま。」
リーナを抑えると、サクヤは粥をスプーンですくい、食べやすいように覚ました。
「ほら、口開けて」
リーナが口を開けるとサクヤは粥を食べさせた。
「どうだ?」
「・・・・まあまあね」
「まあ、こういうのが一番身体に効くもんだぜ」
二人はこうして食事を続けた。食事を続けると、リーナの表情は、どこか少し緩んでいた。
食事が終わると、先ほど買ってきたと思しき買い物籠からサクヤは小瓶を取り出した。
応急処置だけをしていたリーナの腕を一度奇麗にし、布に小瓶の中身を出した後に傷口に当て、包帯を改めて巻いた。
手当てを終わらせると、サクヤは水の入った桶と布を枕元に持ってきた。
「今夜は熱が出るかもしれないから、もしものために置いとくぞ」
リーナが再び眠りについたのを見ると、サクヤは奥の部屋から毛布を取ってきて、その後ベッドに寄りかかるように座って眠るのだった。