山へ 4
山の頂上付近の開けた場所。そこには洞窟の様な大穴が開いていた。
「ここが竜の住処?」
「えぇ、大きさ的にもそうかもしれないわね」
二人は大穴付近まで近づくと鞄からランプを一つ取り出す。リーナに魔法を頼み、火を付けてもらうと、二人は慎重に中に入ろうとする。すると直後、サクヤの額に何かがぶつかってくる。咄嗟な事にサクヤは反応しきれず、その場で尻もちをつくように倒れ込んでしまう。
「・・・ッタタ」
サクヤはすぐに上体を起こし自分の額を摩りながら大穴の中にランプを当て、何が起きたのかを確認する。するとそこには、10cmほどの竜が居た。
「竜・・・の子供・・・?」
その小さな竜はひどく警戒をしていた。それを見たサクヤは、目線を低くし、猫なで声で竜を呼び寄せようとした。
「何をしているのよ」
「いやさ、仲良くなろうと思って」
優しそうな声で「おいで、おいで」と呼び掛けているサクヤに対し、リーナはバカバカしくなり呆れていた。
今度は鞄から干し肉を出し、それを餌に竜をおびき寄せようとする。すると竜の方も誘惑に負けたのか、徐々に近づいてくる。遂にサクヤの手前まで来た頃に、サクヤはその竜の目の前に干し肉をおいてあげると、竜はその小さな身体で必死に食べ始める。
「この竜ってまだ子供だよな?」
「えぇ、そうね」
「じゃああの時俺たちが戦ったのって・・・」
「恐らくはこの子の・・・」
もしあの時暴れていた竜がこの竜の親ならば、自分達はその親を殺した事になる。そう気づかされると、二人は罪悪感に苛まれた。
「見つけましたよ、リーナベル」
突如背後から声がする。二人は振り返ると黒いフレームゴーレムがこちらを見ていた。その事に二人は警戒態勢となり、そして竜の子供は怯えながらも威嚇をしていた。
「あれは?」
「知らないわ、あんなフレームゴーレム」
二人が警戒していると、さらに声が響く。
「おっと、自己紹介が遅れました。私はクラウン。ストルツ様の命により、リーナベル、あなたを連れ戻しに来ました。以後お見知りおきを」
クラウンと名乗る女の声の挨拶が終わると、黒いフレームゴーレム・ハッサーノが動こうとし始める。
「リーナはその竜と一緒に穴の奥に逃げ込め!」
「アンタはどうするの!?」
「俺はエスペランザでなんとかしてみせる!その間隠れていてくれ!」
「出来るの?」
「やるさ、やらなきゃいけないなら!」
サクヤはリーナにランプを渡すと懐から水晶玉を取り出し、天に掲げる。
「出ろ!エスペランザ!」
するとエスペランザが現れ、サクヤを取り込む。リーナはそれを見ながら竜の子供と共に穴の奥へと逃げていくのだった。




