山へ 3
山に登るとは一筋縄ではいかない行為ではある。村の北にある山は人が登るための道はある程度整備がされてはいるものも、やはり悪路であると言え、素人が登るには苦労のいるものであった。サクヤとリーナは簡易的な地図を頼りにその道を急がず少しずつ慎重に進み、竜が住んでいると言われる所に向かう。春とは言えまだ山の空気は冷たく、加えて二人とも剣を背負っているため体力はすぐに奪われる。なので、1時間ほど進んでは休憩し、また進む。ひたすらそれの繰り返しである。水分は手持ちの他、リーナの魔法で出せる物、そして道中で水が流れていた際はそれを掬い、一人につき予備の水筒二本のストックをしていた。そんなこんなで進んでいると、陽が傾き始めたため、二人は休めそうな少し広い場所を探し、そこで一夜を明かすことにした。
道中で拾った乾燥した木の枝と着火剤を使い、火起こしをする。リーナの魔法を使い火を付けても良かったのだが、そこはサクヤの気遣いと拘りなのだろう。火起こしが完了すると持ってきていた小型鍋を使い道中で汲んだ水を温める。煮沸をしたのち次の日以降の飲み水分を確保し、残りはスープに利用する。スープはどこにでも売られているお湯に溶かすだけでスープになる固形物を利用した簡易的な物だ。それをカップにより分ける。晩御飯はそのスープと携帯保存食であったが、二人にとってはそれで充分であった。
食事を済ませ、ゆっくりしていると既に辺りは真っ暗になっており、焚火の灯りだけが頼りになっていた。二人は寝支度を済ませ、焚火を消すとエスペランザを呼び出す。二人はエスペランザに入ると寝袋で身体を包み、眠りにつく。二人の身体を優しく包み込むエスペランザのモニターに映し出された夜景は、静かに、美しいものであった。
それから二日ほどだろうか。二人は遂に目的の場所へと到着する。そこは広く開けており、とても見晴らしのいい場所でもあった。
「やっと着いた~!」
「休んでいる暇は無いわ。ここからが本番でしょ」
「そんな急がなくたって、少しくらい休んでもさ」
「ずっと何かに見られてる気がするの。動物じゃない何かに・・・」
「やっと来ましたか。では私も向かうとしましょう」
クラウンは何かを確認した後、自身のフレームゴーレム・ハッサーノへと乗り込む。




