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山へ 2
「全く、気に食わん!」
ディナルドの王城の一室。そこではストルツが食事を取っていた。しかしそこに上品さは無く、まるで当たり散らすかの様に貪り食べていた。
「全く、その様な食べ方をなされて」
「うるさい!誰のせいだと思っている!?」
そこに居たのは仮面の女・クラウンだった。彼女は部屋の中でも恰好は変わらず、素性を明かそうとはしていない様である。すると、クラウンの腕から音が鳴り始める。
「何だ、その音は。鬱陶しい」
「いえ。どうやらネズミが掛かったようです」
「”ネズミ”、だと?」
「えぇ。では、私は次の作戦の準備をしますので」
「その作戦とやら、当然私も参加させるのだろう?」
「いえ、今回ストルツ様には待機していただきます」
「なんだと?」
「時が来ればまたリーナベルの所を向かわせます故、今はお休みを」
そう言い残すとクラウンはまるで消える様に影になり、部屋を後にした。
「まったく・・・。おい、メイド!」
ストルツが部屋の外で待機していたメイドを呼びつけると、即座にドアを開け、3人ほどメイドが入ってくる。
「はい、ストルツ様」
「飯はもういい。残った物はそっちで好きにしろ」
「はい」
「それと、この部屋での会話は他言無用だぞ」
「承知いたしました」
メイド達は食事の残った皿を下げ、机を拭いた後、部屋を後にするのだった。




