依頼 3
サクヤがエスペランザから降りると、ダグラスは改めてサクヤ達に了承を取り、「何か必要な物があればなんでも言ってくれ。物資の金銭面はこちらで支援しよう」と言い残しまた竜の解体作業へと戻っていった。
「サクヤ、その・・・」
シャルがなにやら気恥ずかしそうに話しかけてくる。いつもの凛々しい風格とは打って変わっての印象だ。
「もしよかったら、魔声の連絡先を交換してくれないか・・・?」
魔声機。魔力式音声通話機器の略であり、それはこの世界において一般的な連絡ツールである。大気中のマナを動力源とし、大気中のマナを利用することで遠方の相手とも即座に音声通話が可能となるアイテムである。元々は人間と共存していた時代の魔族、デミス側が開発した物であり、その後、人間側にも普及したアイテムであり、この世界では画期的な発明である。
「魔声・・・そう言えばこの村に来た時にそんなもの貰った気が・・・」
サクヤがゴソゴソと漁るが、特にそれらしい物は無かった。
「ゴメン、家かも」
「そう、なら・・・」
「リーナなら持ってないか?」
シャルが何かを言おうとした所、サクヤと被ってしまう。
「えぇ、まあ」
「ならシャル、リーナと交換しておいてくれないか?後で自分のにも登録しとくからさ」
「いや、って言っても無駄なんでしょ」
「まあそれなら・・・」
シャルとリーナ、お互い渋々ながらも連絡先を交換する。すると後ろからその様子を見ていたのかミリアム、トロン、ウォードがシャルの影から出てくる。
「残念だったね、シャル」
「せっかく男性との連絡先交換でしたのにね」
「ミリアム!?トロン!?」
突然現れた仲間達にシャルは驚く。
「まあ落ち込むなって。サクヤも後で登録してくれるって言ってたしな」
「そういうのじゃないって!私はただリーナが何かした時のために!」
「何かした時に連絡受けたって仕方ないだろ?飛んでいけるワケじゃあるまいし」
「もーっ!」
シャルの声が響き渡る。そのやり取りは昨日の今日でどこか暗さのあった村に明るさを届けたのだった。




