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祭りの夜 2

村の中央近くにある塔。そこでは常に交代で監視の人間が二人体制で着き、日々村周辺での異変が無いかと安全確認をしていた。それは祭りの日でも例外ではない。その時の守衛二人も、露店で出ている飯を貰いながら、祭りの様子を楽しみつつ監視を続けていた。すると、監視の一人が北の山の方角から何かが飛んできているのに気づく。

「おい、アレはなんだ?」

暗くて分かりづらいのもあり相方に急いで確認を取り、相方が双眼鏡で覗く。その影の動きや形をしばらく確認する。

「まさか、竜じゃないか!?」

「竜って、でも山に住んでて人間のところにわざわざ来ないんだろ?」

「とにかく報告だ!」

その報告はすぐに村長や役場へと伝達される。村の守衛たちは確認のためにその影を数人で確認したがそれは確かに竜のシルエットであった。

守衛たちはすぐに避難指示の鐘を鳴らした。その鐘が響くと、先ほどまでの村の賑わいはピタリと止み、一気に村人たちに緊張を走らせた。竜が村に向かってくる。その知らせを聞くと村人たちは騒めき始める。

「女、子供、老人は今すぐ東の洞窟へ避難を!戦える男は武器を用意しろ!」と村長は村人全員に呼びかける。すると人々はパニックになりながらも避難の準備をし、東の洞窟へと向かっていく。先ほどまで酒盛りをしていた男達も人が変わったかのように急ぎ、自身の家にある武具や防具を装備し、戦える準備をしていた。

「俺は一度武器を取りに店に戻る。勇者さん、悪いがアンタ達も戦ってもらえるか?」

「あぁ、そうさせてもらう」

シャル達は武装を整えるために一度宿へと戻る。

「ランドさん、俺にもなにか手伝えますか!?」

「ダメだ。お前は嬢ちゃんを連れて逃げろ」

「でも」

言い返そうとしたサクヤだったが、ランドに肩を掴まれ言葉が出なくなる。

「お前はこの村に来てまだ短い。それなのにこんな所で命を散らそうとしちゃダメだ。それに嬢ちゃんだって手負いだろ。お前が守らなくてどうする?」

いつもは陽気で大らかなランドが、一度も見せたことのないほどの真剣な眼差しでサクヤに訴えかける。その目を見ると、サクヤは何も言い返せなくなった。

「分かりました・・・」

「分かればいいさ。それにもしかしたら竜がこのままどっかに行くかもしれないしな。なに、生きてたら酒でも飲んで笑い話にしようや」

ランドはまたいつものように笑う。しかしその背中は寂しそうにも見えた。


サクヤはランドに言われた通り、リーナ連れて東の村へと逃げる。身支度などしている余裕もないため家の物も何一つ持たず、リーナの手を掴みとにかく走った。

「まさか本当にこのまま逃げるつもり?」

「仕方ないだろ。俺にやれることなんてないんだからさ」

「本当にそう思っているの?」

「どういう意味だ?」

「私達が今向かっている場所にあるアレを使うのよ」

「アレって・・・まさかあのフレームゴーレムを!?」

「そのまさかよ」

気付けば二人は森を抜け、洞窟の前へ到着していた。中に着々と人が逃げ込んでおり、怯える者、家族や村の無事を祈る者などが隠れていた。そんな中、サクヤとリーナは巨人像の前に立った。

「でも、動かすって言ってもどうやって・・・」

「やってみるしかないでしょ」

そう言うとリーナは角と翼を生やした姿へと変化する。そう、人々が魔族と呼び恐れるデミスの姿だ。リーナはその姿で巨人の胸の中心に光る球体の方へ飛んだ。

「大体はこの辺りに操縦席があるものだけど・・・」

そう言いながら操縦席を探すリーナが突如光になり、巨人の中へと消えていく。サクヤはそれに驚いたが、そんな驚いた瞬間、サクヤも謎の光に包まれ、巨人に飲み込まれていく。


気が付くと二人は薄暗い空間で椅子に座っていた。目の前にはこの世界の技術で作られた物とは思えないような装飾が広がっている。

「ここは・・・」

「恐らくフレームゴーレムの中ね」

リーナは操縦席―コックピットの中を見渡す。席の前側の左右に腕がはめられそうな穴を見つけたため、そこに自身の右腕を差し込む。すると、何かの音と共に、操縦席に明かりが付き、コックピットの機械が光始める。

「当たりのようね」

突如席の前に光の板が現れ、文字が流れ始める。それはリーナは見たことの無い文字だった。


I Am a Symbol of Hope.


My Power Is Your Imagination.


Those Who Use My Power, Please Be Just.


「私は希望の象徴・・・。私の力はあなたの想像力・・・。私の力を使う者よ、どうか正義であれ・・・」

「読めるのか?」

「あぁ、得意じゃないけど」


My Name Is “ESPERANZA”.


「エスペランザ・・・、それがお前の名前なのか?」

サクヤの問いに答えるかのように、エスペランザが音を鳴らす。

「準備はいいかしら」

「動かせるのか?」

「出来るかどうかじゃなくて、やるしかないでしょ。起きなさい!エスペランザ!」

それまで土埃やコケに覆われていたエスペランザが、リーナの声に呼応するかのようにジワジワと音を立てながら動き始め、立ち上がり始める。立ち上がろうとすると同時に、覆っていた砂埃やコケがどんどんと落ちていく。遂には立ち上がるとともに全身から空気が噴き出し、関節などに付いていた土などを吹き飛ばすと、まるで命を吹き返したかのようにその目に光が宿る。


「どういうことだ、クラウン!?フレームゴーレムがあるなど聞いていないぞ!」

洞窟を近くで見ていたフレームゴーレムの影がある。それにはストルツが乗っている。ストルツは魔法通信機によりどこかに居るクラウンと連絡を取っていた。

「私も全く知りませんでした。しかし面白い」

「なにを面白がっている!それに、アレに乗っているのはリーナベルなんだぞ!」

「ええ、その様ですね」

ストルツはただでさえリーナベルが戻ってこないことにイライラしていたためか、そのクラウンの態度が余計に気に入らなかった。

「もういい!私がヤツを叩いてリーナベルを取り戻す!」

「お待ちくださいストルツ様。アレは一度泳がせましょう」

「何を言っている!?リーナベルが取り戻せると言うから協力しているんだぞ!」

「あのフレームゴーレムは未知数です。下手に刺激をして返り討ちにされては元も子もありません」

クラウンは今にも飛び出そうとするストルツを静止させる。

「未知のフレームゴーレム。どんな力を見せてくれる・・・」


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