ディナルド 1
サクヤは森に入ると奥へと進み、採取場を探す。ここ数日で使ったポイントには行かない、それがサクヤなりの流儀だ。
採取場を見つけるとサクヤは背負っていた籠を地面に置き、森に向かい二度頭を下げ、二度手を叩き、その後祈る様に頭を下げた。
「何?それは」
リーナは不思議に思いサクヤに質問をした。
「森の神様に拝んでるのさ。「今日も採らせてもらいます」って言う風にさ」
「森に神?」
「俺の故郷での考え方だよ。八百万の神って言って万物にはそれぞれ神様が居るっていう考え」
「不思議な考えね」
リーナは何気なくサクヤの真似をした。サクヤの言う森の神という考え方を信じるわけではないが、仕事のためのある種の験担ぎだと思い、受け入れた。
サクヤとリーナは仕事を始める。サクヤが山菜や薬草を判別し、リーナが採取の手伝いをするという形だ。サクヤ曰く「最後は役場の人が仕分けてくれるから気にしすぎなくてもいい」とのことらしい。
そうこうしていると時間が過ぎ、気付けば陽が頭上真上に上がっていた。サクヤはそれに気づき休憩を提案し、森の中心へ向かう。二日前、リーナと出会った場所だ。春の木漏れ日を受けひと際目立つその木に二人は荷物を降ろし、腰を下ろす。
サクヤはポシェットの中から昼食を取り出す。マヨネーズを塗って干し肉を挟んだサンドイッチだ。サクヤはそれを一つリーナに渡し、自分の分を食べ始める。春の風が森を抜け、二人に拭く。自然の安らぎが感じられるほど静かな時間となっていた。
リーナが食べ終わったのをみてサクヤは包み紙を回収する。
「それじゃあ次は私の特訓に付き合ってもらうぞ」
「その前に」
「なんだ?」
「休憩。一時間ほど昼寝」
そう言うとサクヤは木に寄りかかり昼寝をし始める。
「まったく・・・。」
リーナは呆れながら、サクヤと共に休憩に入る。




