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希望と勇気と夢の合体 3

「サクヤ、聞こえるか。イェルクだ」

「イェルク!」

イェルクからエスペランザへ通信が入る。

「そっちも手が離せないだろうから手短に話すから聞いてくれ。俺達の目的はその次元龍の討伐だ。空中に居るアーノルドがヤツに攻撃をするための隙を作る。手伝ってくれ」

「分かった、なんとかやってみる!」

「健闘を祈る」

イェルクの通信が切れると、サクヤはリーナに頼み、シャル達にも通信を繋いでもらいディナルドとの協力で目の前の巨大次元龍を倒す旨を伝えると、状況が状況なため、シャル達はすぐにそれを飲み、避難のサポートをしていたメンバーも攻撃に参加し、ディナルド側と協力する形で動き始める。

ウォードの乗るソムニュームがグリフ達と共にライフルの乱射と共に砲台と指先からの銃撃を仕掛ける。しかし、巨大次元龍はそれに対して角と両手の手甲から雷を出し、それを操り空間を歪ませバリアを作り出す事で攻撃を防いでしまうのだ。そして、シュバルリリスの槍、エスペランザやヴァリエンデや神獣王の剣もその表皮にはまともに通らない。それに雷魔竜の突撃も受け付けない。それどころか、雷魔竜を雷撃で吹き飛ばしてしまうほどであった。街を破壊する形で吹き飛ばされた雷魔竜はそれでもすぐ立ち上がり何度も突撃をしていく。

「ルプスくん!注意があの竜に向かっている間にヤツの膝裏に近づいて関節を狙え!」

「はっ!」

チャーモンド隊改めイェルク隊。その副隊長のルプスに対しイェルクは命令をすると、ルプスは雷撃の嵐を潜り抜け、巨大次元龍の右脚の膝裏に行き、魔法で炎を纏わせた弾丸を3発撃ち込む。すると、効果があったのか、巨大次元龍は大きく姿勢を崩す。

「やはりな。ミレーヌ、俺と一緒にヤツの注意を引いてくれ!ストルツとみんなはヤツの関節を攻撃し続けてくれ!」

グリフのパイロット達は3機1組で動き、巨大次元龍の脚の関節を中心に狙い魔法を纏わせた弾丸で攻撃をしていき、ストルツは腱の辺りを重点的に攻撃し始める。そしてついに、巨大次元龍は完全に倒れ込んでしまうのだ。

「アーノルド、今だ!」

イェルクの声がアーノルドへと響く。今を逃せば次に何が起き、どうなるかは分からない。だがしかし、いざその瞬間となると、アーノルドは仲間を失ったあの時を思い出して足がすくんでしまうのだった。

「ボクが・・・、ボクが・・・」

「アーノルド!やりなさい!」

「ボクが、やらなきゃいけないんだ!」

覚悟を決めたアーノルドは巨大次元龍の首へと一直線に降下していく。そして、右手に持った巨大な貫通弾を構えるのだ。

「カットを、ネルスを、ミュラーを殺したお前だけは!」

ヴィアトーラに装備された貫通弾の先端が巨大次元龍の表皮へ当たる。その瞬間、アーノルドは引き金を引く。

「喰らえ!」

貫通弾は巨大次元龍へ深く突き刺さる。すると、巨大次元龍の動きは止まり、そのまま動き出す気配はなかった。


動きを止めた巨大次元龍に誰もが息を呑んだ。巨大次元龍はもう動いていない。誰もがそれを確認し安堵した。しかし、ミレーヌは機能が止まったはずの巨大次元龍の中で何かが動いているのを確認する。それは一つ二つという優しい数ではない。もっと多くの何かが蠢いているのだ。

「アーノルド、すぐにそこから離れなさい!」

するとその時、巨大次元龍の背中にある3つの大きな瘤が開き、中から無数の次元龍が飛び出し始めるのだ。そしてそれと同時に、巨大次元龍の目に再び光が戻り、周囲のフレームゴーレムを弾き飛ばす様に暴れながら起き上がってしまったのだ。

確かに死んだと思われたソレが息を吹き返し、そしてさらに10mほどの次元龍を複数体、数で言えば50体前後を発生させたため、皆絶望しそうになった。しかし絶望などしている暇は無かった。その隙を見せてしまうと大量に現れた次元龍に敗れてしまう、つまり殺される事を意味するからだ。

皆襲い来る次元龍への対処を始める。しかし、ただでさえ巨大次元龍への作戦で消耗している時に数という武器で押されてしまうとそれは確実に劣勢に傾いてしまう。しかも小型次元龍だけでなく大型次元龍も暴れている状況である。このままだと確実に負けてしまう。この場に居る誰もがそう思っていた。そして。皆が次元龍を対処する中でも巨大次元龍の雷撃は降り注いでくる。その状況にはエスペランザ達も窮地に立たされていた。

満身創痍。その言葉が今の状況に合うだろう。その状況でエスペランザ、ヴァリエンデ、ソムニュームが居ても切り抜けられないのかという考えがサクヤ達に過ったその時、突如としてエスペランザの目が赤く光り、空へと浮かび始める。すると、それに呼応するかの様にヴァリエンデ、ソムニューム、そしてマジードラッヘの目が光り、そしてエスペランザの元へ集まったのだ。

「どうしたの!?」

「分からない!またエスペランザが勝手に」

エスペランザを頂点にヴァリエンデ、ソムニュームで空中に三角形を作り、そしてその背後にマジードラッヘが付く。その異様な光景に対し次元龍は雷撃を放つと、3機はそれに対して腕を出し、三角の巨大なバリアを作りだし止める。次の瞬間、エスペランザ、ヴァリエンデ、ソムニューム、マジードラッヘが新たなる合体を始める。脚を収納して縮めたエスペランザに対しヴァリエンデが右脚、ソムニュームが左脚へと変形しながら合体し、両腕には新たな腕となったソムニュームの砲台、そして背中にはヴェリエンデの翼が装着される。そして、マジードエスペランザの時の様な形で全身に分離したマジードラッヘが装着され、一つの姿へと変貌する。

「エスペランザが、合体した!?」

「あのフレームゴーレム、二度ならず三度まで」

エスペランザのモニターに新たな名が表示される。ミラクライリス-ユナイトライブ ドラッヘ-。それが合体したフレームゴーレムの名であった。

「また、新しい姿に・・・?」

「サクヤ、これはいったい!」

ミラクライリスの身体を通してシャルの声が聞こえる。コックピットは変わらないものの、確かに一つの機体の中にシャル達も乗っている様だとサクヤは直感的に理解をした。

「分からないけど、とにかく今は俺が動かしてみる!リーナ、補助は任せた」

「いいわ。早速だけど、これを使ってみなさい」

リーナからの指示。それは指先からのビーム攻撃であった。ミラクライリスの両手を広げると、指先を次元龍の大群の方へ向け、10本の指の先から一斉にビームを発射する。そのビームは友軍機、つまりディナルドのフレームゴーレムと次元龍を識別しながら、次元龍だけを的確に打ち抜き撃破していく。

それを脅威と感じた巨大次元龍は再び雷撃を放ち、辺りに電撃を振りまくのだ。ミラクライリスにとってその雷撃は大したことではないのだが、しかし、他のフレームゴーレムが近づけず、また、放置しておくと他のフレームゴーレムが堕ちる可能性もある。そこで、ウォードはある提案を出し、サクヤはソレに乗る事にする。

ミラクライリスは巨大次元龍の頭部に向けて一気に距離を詰め、攻撃をすると思わせた所で直上する。その時、左脚、つまりソムニュームだけを分離して、ソムニュームを巨大次元龍の頭部へと取りつかせたのだ。ソムニュームは巨大次元龍の角を掴み、自身の能力でその角を消滅させ、自身のエネルギーへと変換する。そして、角を消滅させたところで即座にミラクライリスの左脚へと戻るのであった。

「やってくれたな、サクヤ。ストルツ、ミレーヌ、今だ、目を狙え!」

角を失くし雷撃が放てなくなった巨大次元龍。その巨大次元龍に対してストルツとミレーヌは距離を詰め、ストルツは右目、ミレーヌは左目へと手持ちの武器を刺し込む。そして、炎の魔法を放ち、目を潰しながら巨大次元龍の頭部の中へと攻撃をしたのだ。その攻撃は見事に効果があり、巨大次元龍は苦しみ悶える。

「僕だって!」

そしてそこにアーノルドも降下し、次元龍の首元へゼロ距離で貫通弾を撃ち込み、即座に離脱をする。

しかし、巨大次元龍はこの猛攻にもただでは転ばなかった。目が見えなくなった事で、見境なく暴れ始めたのだった。

「サクヤ、これを使ってみて」

ミラクライリスが提示した行動をリーナから伝えられたサクヤはそれを行動に移す。

ミラクライリスの腕を分離させ飛ばし、遠隔操作をするソレで巨大次元龍を掴む。すると、巨大次元龍の身体をどんどん消し去っていく。そして、巨大次元龍は最後に咆哮を残し消え去っていく。そしてミラクライリスはマスクを開口しながら、その次元龍を変換したエネルギーを使い、4枚の翼から拡張された光の翼を出現させ、みるみるうちに街を、そしてフレームゴーレム達を修復していき、そして次元龍の残骸を消し去っていくのであった。


巨大次元龍の消滅及び次元龍全ての撃墜。これを達成された事で戦いは終わりとなった。

撃墜されたグリフは8機。その内5人は何らかの形で死亡しており、辛くも掴んだ勝利である事を物語っている。ミラクライリスにより修復されたとしても死んだ者は戻ってくることはない。

「サクヤ、今回も助かった」

「別にいいさ」

「じゃあな、またいつか会おう」

ディナルド側はパイロットを失ったグリフを回収しながら撤退していく。次に会う時は敵同士なのかもしれない、そんな事を今は誰も考えない様にしていた。




格納庫へ戻ると、各々が機体から降り、そして休息を取っていた。

「アーノルド、よくやったわ」

ミレーヌはアーノルドを引き寄せ、頭を撫でる。するとアーノルドはミレーヌへと顔を埋める。

「僕、ちゃんと出来たよね・・・?」

「えぇ、上出来よ」

その言葉を聞き、アーノルドはそれまで抑えていたものがあったからか、ミレーヌの懐で泣き始める。他の誰が見ているなどは考えず、大きく声を出しながら泣き続け、ミレーヌはそんなアーノルドの頭を撫で、静かに見守るだけであった。

「やはりガキがガキだな」

「いいじゃないか、子供がちゃんと子供らしいのは。子供らしく出来ない子供なんて窮屈で可哀想だ」

アーノルドの泣く声は格納庫中へと響き渡る。だがしかし、誰一人として邪見にするものはいないのであった。


今回は3機の合体イベントとして描きましたが、どうしても今の技量ではあまりドラマティックにそのシーンを描写できなかった事を悔やんでしまいます。

また、書きだしは合体イベント程度で書き始めたのですが、この導入でアーノルドの話としてオチをつけないとダメだと思い、アーノルドの話の方面にも振る事となってしまい、それで散らかってしまった印象もあるのでそこも反省点であると思っています。

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