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アースジャンキーたちの、限りなく自由なあの世生活  作者: ぴったりゼロ
第一章 アース〈地獄〉はあの世の〈極楽〉
16/19

第16話 初めての〈受肉〉体験

 エディット作業の合間に、パートナーのニニさんと大学の談話ルーム的なサロンでお茶を飲みながら休憩中。

 

 今日はボディビジョンのコスプレが〈インド神〉カブりしていたので、シンクロがちょっと嬉しい。

 

 ニニさんは〈カルラスタイル〉で上半身は綺麗な鳥、ボトムはお花畑。オレは〈ガネーシャスタイル〉の象で、ボトムは人気の〈樹木スタイル〉でキメテみた。


「ダダくんはコレからのスケジュールどうするつもりなの?」


「オレは一年先の〈ワンネス体験〉まで、ひたすらウツになって引きこもりながら、バイブレーションを回復させながら…って感じかな?〈アース〉ではしばらく無職で瞑想の毎日だから、少しずつラクになるはずだよ。」


 オレの次の目標は、1ヶ月先に予定している〈ワンネス体験シーケンス〉だ。

 簡単に言えば、〈アース〉内で〈覚醒〉し、〈アース〉内に閉じ込められた自我の自分が、こっちの存在に気づいて、魂の世界まで意識が繋がり、こっちのオレと意識を共有させたまま、更に高次元の集合意識が溶け合う世界まで行けるらしい。


 うちの大学はそもそも〈それ〉を目的とした特殊な大学なので、〈アースでの覚醒〉は卒業までの必修になっている。

 〈最大深度実習〉は、アースで覚醒する為に最も効率的なステップでもある。


 思えば、今日に至るまで、ずいぶん長い道のりだった


 オレは3年前この【アースこん立大学】に入学し、入学式典で行われる〈アース受肉の儀式〉を受けた。 あの時はホントに感動した。

 ちなみに進学せずに社会に出るコンは、成人式でそれをやる。


 ターミナルプールで行われる儀式は、初の人体ボディーへのエントリーから始まり、出産、睡眠までの一連の儀式で、有名な3大精霊様のおひとりがサポートに加わって〈祝福エナジー〉をガポガポ出して頂くなか儀式は行われるのだが、ガイドの役割を果たす存在たちも集まり、互いの感謝に酔いしれながらの儀式は、緊張したけど最高の体験だった。  


〈アース〉にエントリー(受肉)すると、まず羊水に包まれる感覚が新鮮でとても心地よかった。

 重力も感じないので上も下もない世界で漂っていると、全身の皮膚感覚で精霊さまや天使さまたちの〈祝福〉のシャワーを感じて快感に打ち震える。

 そして〈祝福〉は大きな流れになって、ウォータースライダーのようにオレをどこかへ押し出し、そこには〈感覚の嵐〉が待っている。  


 ボディと同期してボディ越しにアース世界を初体験するこの時、〈アース〉とこちらを繋ぐパイプは、ドラム缶ほどの太さなので、高次元の皆さんから気持ちが届きやすく〈快感〉もかなり激しい。


 空気という肌感覚、空気を通した何かの匂い、空気を通した音の鮮明さ、クッキリとコントラストの強い景色。


 アース世界で最初の20分。こちらの世界ではほんの一瞬だが、誰もがこの瞬間、あんまりドキドキ嬉しくて、ついついボディが「オギャア」という音を出すものらしいのだが、自分の声にビックリして、更に声が出るっていう感じだった。


(まぁいきなりコントロール出来るヤツなんていないからね。)

 

 ボディが睡眠に入るまでのあいだ、喜びと興奮とドキドキとジェットコースターみたいなスリルが混ざって、そりゃあもう大泣きしたのが懐かしい。 


 このエントリー時の衝撃は、自転車の補助輪が取れるようにすぐ慣れる。

 今では〈抵抗感ゼロ〉でスイスイ入ってしまうようになった。


 しかし、五感の鮮やかさは色褪せることはないので、いつでも新鮮に〈快感〉を楽しむ事ができる。


〈アース〉でオレがどれだけ悩み苦しんでいても、オレが〈アース〉に潜るのはそのせいだろう。単純に〈そこにいるだけで気持ちよくなれる〉のが〈アース〉なのだ。

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