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異世界探求録
彼女いない歴=年齢の俺、谷川 遼は童貞のまま30歳の誕生日を迎えようとしていた。
ネットでにわかに囁かれる噂。
30歳まで童貞を貫ぬくと魔法を使えるようになる。
彼女もいない、金もない、取り柄もない。
そんな俺にはネットのくだらない噂に縋るくらいしかなかった。
そもそも今の世の中には30で童貞の奴なんてたくさんいるだろう。
そいつらが全員魔法を使えてるならこんな平和なわけがない。
第一魔法を使えるってなんだ?ざっくりしすぎだろ。
どうせ臭い息(口臭)とかヒャド(オヤジギャグ)をカッコつけて魔法って言ってるだけだろ?
くだらなすぎてため息しか出ない。
明日も明後日もその先もきっとなにも変わらない生活をしていくんだろう。
そんな悲壮感を感じながら歩く仕事からの帰り道。
誕生日くらいはケーキでも買うかとなんとなく考えていた時、足元の地面が消えた。
えっ?と思った瞬間、俺の視界は暗闇に染まった。