進化する'ワタシ'
【食べる】ことを覚え、飢えた'ワタシ'はこの暗闇空間からの移動を開始、
この暗闇の中で分岐している洞窟の道を、
どうも'ワタシ'は本能で道がどこに繋がっているかが分かっている様で、
迷いなく、行くべき目的地に向けて這いずり進んでいった。
洞窟を移動している最中、
初めて見る大なり小なりの生き物達が、'ワタシ'の目の前に立ちふさがっていくが、
結果皆例外なく怯え、'ワタシ'を見た瞬間逃げ出していく。
ただ、そんな生き物達を'ワタシ'は見逃すはずもなく、土壁を発生させることで、
それら生き物達を例外なく全部捕らえて貪り喰うということを繰り返し、
どの位時間が経ったかは分からないが、数十センチしかなかった'ワタシ'の体躯は、
不思議と気が付いたら数十メドルまで体躯が膨れ上がっていた。
体躯がしっかりし、しばらく進んでいくと、這いずり進んでいた'ワタシ'は、二本足で歩くことを覚え、
当初小さな翼もどきだったものも、立派な翼に進化していき、
いつの間にか翼を扇ぐこともできる進化を遂げていた。
歩くことが出来る様になってから、進行速度が3~4倍位に早くなり、
途中、洞窟の中、水溜まりというか、湖の様な大きな空間が目の前に拡がり、
初めて【水】という存在に触れることが出来た。
湖の近くまで近づき、水面に映る自分を見ると、あの'愛しい存在'とは体色は違うが、
'愛しい存在'と姿形が瓜二つであることが判明する。
どうやら、'愛しい存在'は、'ワタシ'の【親】であることが分かり、
改めて【親】を消した、'物体'達に対し、憎しみの感情が溢れてきた。
そんな感情が溢れている処に、湖の海面より鱗だらけの'生き物'が頭をもたげ、
'ワタシ'に向けて大きな口を開けて突進してきた。
'ワタシ'よりはるかに大きな体躯であるとは認識したが、不思議と恐ろしいという感情はなく、
逆に美味しそうという感情に支配された'ワタシ'は、襲い掛かってきた'生き物'に向けて、
進化した翼を垂直に振り下ろし、『ドゴッ!』って音と共にいなし、その生き物の脳みそをかち割った。
'ワタシ'より5倍はあろうかと思う'生き物'はぐったりと目前でのたうち回り、
暫くすると全く動かなくなったので、その頭を鷲掴みにして海面より引きずり出し、
何回繰り返したか分からない【喰う】という貪り喰う行為を行った。
【喰う】を繰り返してきたため、美味しい不味いが段々理解してきたが、
今回の'生き物'は美味しい部類であることが分かったが、
この'生き物'を食べた後、漆黒の'ワタシ'の鱗の色が、少し金色が混じる様になり、
その上、前と同様雷鳴の様な音が脳内で響き、何かが上昇した感じが響き渡った。
所謂進化が行われているらしいことが、感覚として理解した。