'ワタシ'の胎動
生まれたての'ワタシ'
気づくと'ワタシ'の身体は、
べっとりとした赤い液体にまみれていた。
所謂、【血】という液体にまみれていた。
なぜまみれているかは分からないが、
廻りの土壁に張り付いている'物体'から出ている液体であることだけはわかった。
先ほどまで、石を投げていたと思われるその2~3体の'物体'は、
全部、何か黄色い液体も混ざり、平べったく潰れていた。
【顔】という部位も過去には張り付いてたと思うが、脳みそや眼球などいろんな【顔】の子部位がはみ出ており、
その'物体'が何であったかも分からない状態になっていた。
そんな'物体'の手前で、
'ワタシ'を守ってくれていた'ワタシ'にとっての'愛しい存在'が、
生気の無い瞳を開け、力なく'ワタシ'の目の前で身を横たえていた。
そんな状態に対し、'ワタシ'はひたすら'憎しみ'と'怒り'のどす黒い感情が溢れてしまい、
この感情の発露をひたすら'ワタシ'は求めてしまっていた。
そんな中、土壁に張り付いて仲間と思われる数十体の'物体'から、
震える声で、'ワタシ'に向けて、
『この'バケモノ'め、おまえなんかこの世に存在しちゃいけないのに、
なんでここに居るんだ!』
と、何か光る物をこちらに向けて、
所謂'武器'というものをこちらに向けてぷるぷる震えていた。
この'物体'達が言っている内容が、なんとなく分かってしまう'ワタシ'を不思議に思いながら、
単純にこの目の前の'物体'達の存在に'ワタシ'は憎しみしか感じられず、
この'物体'達を『消去』しなけらばならないという強迫めいた意識が沸いて、
またもや'ワタシ'は、
『くぁwせdrftgyふじこlp;@』
という意味不明なうめき声と共に、胎動の様なぐにゃぐにゃとした動きをしながら、
廻りの'物体'達を『消去』し始めた。
'物体'達は、所謂悲鳴を上げながら最初は武器で切りかかってきたが、
全く歯が立たないことが遅まきながら気づいた様で、泣きながら逃げまどい始めたのが、
感覚で分かってしまった。
'ワタシ'は、'物体'達がこの場から逃げられてしまうという意識が発生した途端、
逃げようとしていた'物体'達の行き先を、何か不思議な共鳴と共に土壁を発生させることで、逃げ場を失くし。
逃げ場を無くした'物体'達を'ワタシ'の身体ですり潰すように踏みつぶし、'物体'達の手足の部位を'ワタシ'の口で食いちぎり、
'物体'達をもてあそぶ様に土壁に叩きつけ、'物体'達は涙を流しながら許しを請いている様だが、
引き続きもてあそぶ様に'物体'達の内臓を引きずり出した。
人間の感覚だと一瞬だと思うが、'物体'達の感覚だと数時間の阿鼻叫喚だと、
不思議と流れ込む感覚を'ワタシ'は感じ取っていた。
全ての'物体'達を『消去』し終えたら、何故か自分が【成長】していることを知らせる雷鳴の様な音が、頭の中で鳴り響いていた。