表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/23

待ち時間を潰す出会い(過去編)

お読み頂き有難う御座います。

ヒーロー登場ですね。

「……もう、精霊をお奉りするのを止めたらどーよ、父上陛下。精霊信仰は流行らないとかお布施出してさー」


 末の王子ヒャピス……私にとっての従弟が挙手の上、尤もなことを発言したわ。

 しかし、親に挙手って何なのよ。変な会合よね。毎度ながら親戚の集まりなのに、本物の会議みたい。

 まあ、総勢50名以上に好き勝手話されたら収集つかないけど……。流石にこんなに集まるなんてね。先王陛下夫妻(父方のお祖父様お祖母様)は兎も角、大叔父様夫妻やその孫達まで来れる範囲満遍なく来るなんてねえ。何時も身分がどーのとかで王族会議は欠席(スルー)でしょうに。

 今回は此処ぞとばかりにミーハー心が炸裂してるわね。血の濃さを感じるわ。


「それはそれで、精霊は勝手に気に入った者に付きまとうらしい」

「……えっ、ガチめのスト……まあ、そうですの」


 伯母様(ガイセキ候爵家に降下した元第一王女)が失言を上手く誤魔化してるわ。

 精霊ってストーカー気質じゃないの?討伐の方向で話を進めないの?と言いたいけれど。

 その辺にスパークル家の者でも潜んでたら困るから、精霊の悪口も言えないわね。

 それに私は地味にピカッテール様のファンなのよ。家に繋がる悪口は言いたくないわ。多分向こうは私を1ミリも知らないでしょうけどね!! 悲しい! 目に止まりたい!!


「シャンティ。兎に角、当代御使者様には王族に連なる者として以上に敬意を払うのだぞ」

「え? はい、伯父さ……陛下」


 んんー? 何で私をご指名なのよ。つい返事しちゃったけれど……他にもいるでしょ?

 直ぐ失言する従弟とか、其処の従姉とか、歳の近い従弟に、口の悪い従兄に、身分の近そうな又従姉……。

 いやもう……イトコだらけね。今更だけど本当に……。又従兄弟もいるけど多過ぎるわ。


 まあ、気を付けるにこしたこと無いか。ライナル様と私は会わないでしょうけどね。年齢的にも……えーと、十歳程度の子供なんだっけ。

 でも、大変だな、ライナル様……。お目にかかったことは無いけど……。

 向こうは軍部の家柄。こっちは王家の親戚。コレと言った接点がないのよね。元第三王子(おとうさま)も文官寄りのお仕事だものね。


 そういや前回の御使者様は、ピカッテール様のお祖母様で……。婿養子になりたい令息や他国の王族迄もが群れを成し、隣の街まで行列が出来たらしいわ。

 途中、川が増水して怪我人まで出たらしいけれど。

 流石に話を盛り過ぎよね?嘘臭いなぁ。

 大体、本当の話なら、どれだけ並んだのよ。最早関係ない人まで並んでないかしら!?


「で、ライナル様は今後、当代スパークル伯爵を継がれられるらしいです」

「えっ!? やったわチャンス到来! では、ピカッテール様はフリーなのよね?」


 挙手と共に叫んでしまったわ。でも、一応セーフだったみたい。

 ああ面倒臭いシステム!! 確かに親戚が居すぎて、ごちゃごちゃするのは分かるけれど!!


「マッシブスパーキン家を継がれるそうよ」


 そして、スエーン侯爵家(元末王子の入婿先)の叔母様が挙手と共にお答えくださった。……その挙手、要る?

 ウチの国、他国から挙手王族とか揶揄されてんのよ!!余所でもつい出ちゃうから!! ご結婚したばかりの時には白目を剥いていた叔母様もすっかり慣れてしまわれて……。


 しかし、お世継ぎのトレード!? 本当なら、酷い話ね。

 大変だなー。センセーショナルう! と、此処までは滅茶苦茶他人事だったのよね。


「シャンティ、馬車が混んでいるからその辺で時間を潰してきなさい」


 何せ有って無いような年功序列があるもんで、我がソノサン公爵家はえーと、先王陛下夫妻(おじいさまがた)元第二王子(おじさま)家族と元第一王女(おばさま)家族の次なんですって。

 集まる人数が少ないと、それぞれテキトーに勝手に帰るんだけれど、何せ道も混んでいるものだから警備の関係で時間が掛かるらしいわ。

 まあ、他の親戚よりは先に帰れ……るかしら?

 微妙よね。

 大通りに家を構えてる家は……果たして今日中に帰れるかしら。元末王子(おじさま)一家は泊まりたいって申し出てるわね。神殿前の大通りから一筋目だったかしら。確かにあの喧騒ではねえ。


「庭で花摘みでも出来ないかしら」

「今は植え替えの時期で御座いますからね……。王妃様の稲園なら……」

「それはそれで滅茶苦茶怒られる奴ね……。後、稲園じゃなくて、田んぼよ」

「タンボですね」

「田んぼよ」


 侍女のノカの発音はちょっと違うのよね。語尾を上げるんじゃなくて下げるのよ。

 そもそも正装ドレス(ティアラは外したわ)で泥沼に入ろうとは思わないわ。小さい頃はお手伝いで稲の植え付けもしたもんだけど。

 因みに王妃様(おばさま)は遠い稲作の国から嫁いで来られたらしいわ。

 よくもまあ土壌の違う土地で、稲作を広げようと思ったものよね。見事に試作で失敗の連続で王宮の一角オンリー栽培だけど、根性が凄過ぎる。


「うっ、グスッ……」

「んん?」


 何だか、子供の声が聞こえるわね。ちょっと王宮の端迄歩き過ぎたかしら?


「使用人の子供でしょうか。王立乳幼児院の迎え忘れが問題になっておりますね」

「前に視察に行ったけど、そんなにテキトーな親なら査定対象よね」


 何の為に働いてるのやら。病なら仕方無いけど、チャランポランな親らしいものね。


「うっ、ううっ……」

「……本当に切ない可愛らしい声……。子供が心配だわ、見に行きましょう」

「はい、お嬢様」


 ……さてさて。

 痩せたりしていないかしら。心配ね。


「うっううう……」

「ん?」


 ……あれ?

 遠近法?

 あの植木、あんなに小さかったかしら? 子供に対して対比がおかしいわ。


「ねえ、ノカ。何だか……変よね?」

「ええ、お嬢様……」


 ……。

 いや、見間違い無いわよ。デカいな。

 しかも、乳幼児園の服じゃないわ。色味は似てるけど。

 あれ、見習い騎士の服よね?

 まさか、声の高い見習い騎士!? いやまさか、見習いになれるのは15歳からよ!


「何で僕が……怖いよう……」

「……」

「だ、誰!?」


 ……あれ。何処かで見たようなイケメン。

 しかし、よく見ると顔が幼いわ。さっき、広場に居た黒髪に青い目の……遠目だと滅茶苦茶見習い騎士らしいイケメンだったのに!? はっ、まさかこの子の兄とか!?


「……あなたは、上の段に、いたひと……ビエエエエ!」


 ご、御本人ぽいわー。しかし、何故子供に騎士服を着せる!? 多分他の子供は子供服着てたわよね? よく見てないけど!


「えっ、ええ!? ガチの子供なの!? デカいわね!?」

「デカくない! お、おっきくないもおおおん!!」


 しまった、逆鱗に触れた! デカいってのはこの子の禁句みたい!


「え、ごめんなさい。いくつ?」

「きゅ、きゅうさい……」


 何てこった。

 16歳の私(155cm)よりちょっと大柄な……9歳児だったとは。

 ……第二時成長期って、何時だっけ?


侍女ノカのタンボの発音はサンバと同じです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ