精霊は平和に貢献しているらしいわ
お読み頂き有難う御座います。
本日二話投稿しております。順序にご注意を。
「精霊は、ライナルの願いを叶えて……ライナルが育つまで貴女を精霊漬けにして保存したのです」
「……それ、確かに前に聞いたけれど……本当に精霊の仕業なのね」
「本当に、本当に御免なさい、姫様!!」
「きゃっ……ううん? ぶふっ……きゃ? ちょ、ちょっと……ちょっと! ノカ!?」
何で急に護衛とノカが立ちはだかっているのよ!?
此処はガバっと! 熱い抱擁でしょうが!
頭も真っ白になるような、弾ける迸る愛のシーンが繰り出される感じの!
え、婚約者同士って、熱い抱擁許されるわよね!? 駄目なの!?
「婚前の淫らな接触はお控えください、スパークル侯爵」
「……うう、シャンティ姫様……」
「ちょ、せめて羽交い締めはやめてあげなさいよ!」
犯人じゃないんだから!
「羽交い締めにもしたくなるでしょう……。公爵家の方々は、貴女が漬けられた姿をご覧になり、憔悴してらしたのですから」
「……まあ、心配を掛けてしまったのは申し訳無いわね……」
「お嬢様……!」
……いや、いいんだけれど。感極まったノカと抱擁してしまったわ。いいんだけれど、何だか……この情熱の行く末が……。ライくんと抱擁するシーンだった筈なのに……。
「それに、公女は精霊に近しくなってしまわれた。いや、元々王家がお近しいのか……」
「……え?」
「シャンティ姫様は人間です!」
「普通の人間は、十年も精霊漬けにされたら生きてはいない。こんなに澄んだ瞳も麗しい薔薇色の頬と唇もしていない」
「まあ、麗しいだなんて」
お化粧の賜物かしら! 有難う、素肌麗しく見えるよう進化したお化粧品!
じゃなくて!
「精霊に近しいって……王家が?」
「シャンティ姫様は……うう、うっ……すみません」
「ライくん……ノカ! 退いて!」
「いいえお嬢様! 節度ある距離をお取りください!」
婚約者の涙を拭いたいというのに!! 侍女が立ちはだかるってどういう事!? うう、不謹慎だけれど普通に邪魔に思えてきたわ……。
「ら、ライくん……! ちょ、ノカ! ライくんにハンカチを渡したいから退いて!」
「御自らなんて勿体無い! お渡しします、お嬢様!」
人混みをかき分ける人みたいに捌かれてしまったわ。
そんなに接触させたかないの!? 私達、婚約者よ!? ちょ、ちょっと不穏だけれどライくんのせいじゃないわよ。
「シャンティ姫様……」
「ご、御免なさいね……人伝で」
「仲が宜しくて妬けることだ」
「……カゲッテーラ、言い方」
「どうして? 我が麗しの再従弟に心許される女性なんて、羨ましく微笑ましく妬ましいじゃないか」
……何だか視線が不穏になってきたわね。何でよ。
「すみません、再従妹は何と言うか……変なブラコンもどきを拗らしていまして」
「そ、そうなの?」
再従弟にブラコンもどきな感情って、関係が遠いわね……。
まあ、分からないでもないけれど。小さい……体格は小さくなかったけれど幼い頃のライくんは可愛らしかったわ。
庇護の気持ちが生まれても仕方ないわよね。
……妬まれていたから、あの感じだったのね。
え、まさか少年趣味……。
「愛情ではない! 家族愛です」
「……神官に引き取って貰いましたから良かったですけど、身の危険は感じます」
「え、ライくん。悪口言っていいの? 精霊パワーでカゲッテーラ様がピンチに陥らないの?」
「同族には効かないんです……」
そうなんだ……。そんな悲しそうに言われても。
反抗期……でもないわね。ウザそうよね。
しかし、推しが推すのは我が婚約者。私は若干恨まれている的な関係……? 複雑だわあ。
「それで、精霊は王家と関係が深いのですか?」
「精霊信仰を庇護していますから、代々多少好かれているようですね」
……代々、多少……。多少、なのね。
それでも何か利益が有るんでしょう……。今、王族は争いなく内輪揉めもないし、国は今の所平和だし。
「……兎に角、シャンティ公女はライナルの幸せに尽力をお願い致します。ひいてはそれが国の安寧の一端に繋がるかと」
「……そ、そう……。私がその、マッシブスパーキン一族のその、強くなるドーピングに使われることは無いわよね?」
「シャンティ姫様は俺がお守り致します!」
「ライくん……」
うう、あの腕に飛び込みたいし、駆け寄りたいわ……。
せめて、肩とか抱かれたい……!!
こんないい雰囲気なのに! 人目とか気にしないのに!
ドタバタと成りましたが、終わりです。次はエピローグですね。




