表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とばっちり騎士は、呪われ令嬢に勘違い気味な愛を捧げる  作者: 宇和マチカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/23

後始末にやってこられたようね

お読み頂き有難う御座います。

本日二話投稿致します。順序にご注意を。

「我が一族の者が、勝手をしました」

「ええ、はあ……」


 私をはシャンティ。

 今私、ちょっと腹立つ思いをさせられたけど、結局は推して然るべき方に頭を下げられているの。

 い、居た堪れなーい! 顔色が赤やら青やら、自分でもグルグル変わっている気がするわ。我ながら感情の乱高下激し過ぎ!

 ……精霊漬けにされたよりも、推しに頭を下げられて感情が滅茶苦茶になるだなんて……。冷静沈着な公爵令嬢な私が、吃驚よ。推し活って動悸が激しいのね!


「シャンティ姫様、お労しい」


 ……隣のライくんの視線が愛情と勘違いを含んでいて、何だか痛いわね。程々にしとかないと。


 で、あの騒ぎの後……取り敢えず帰って、お父様とお母様、そして領地からすっ飛んできたお祖父様お祖母様に囲まれたの。それはもう、滅茶苦茶モミクチャにされたのよね。

 上へ下への大騒ぎって、ああいうこと? ……もう再体験したかないわね。


 それで……その翌日。ライくんがマッシブスパーキン伯爵カゲッテーラ様と一緒に、事の次第をご説明にいらしたの。

 両親と祖父母は、苦虫を千匹噛み潰したようなお顔だったわね。特にお母様とお祖父様の怒りを越して変顔がソックリで、堪えるのに苦労したわ。

 いえね、怒るお気持ちは分かるけれど、彼らのせいではないじゃないの。一因ではあるけれど。


 でもまあ、護衛と侍女が壁側にズラリと並ぶ中、謝罪を受けているのね。


 しかし、お美しいわ。

 あうう、……うなじを初めて拝見したけど、このお背中までのラインの美しさ。滅茶苦茶イケてるわ……。

 ドレス姿でらっしゃるのよ。それなのに、嘗ての男装がダブって見えるのはどうしてかしら。

 うう、格好いいわねえ。ヨダレが……。


「シャンティ姫様?」

「ジュッブフッ、な、何かしらライくん?」


 いかんいかん。いけないわ。私ってば、ちゃんとした気高き高貴なる公爵令嬢シャンティ! 婚約者の隣で余所のとのが……レディに見惚れてはならないわ!


「マッシブスパーキン伯の訪いを許して頂き、有難う御座いました」

「感謝している顔ではないね、ライナル」

「……そっちの過保護な言葉のお陰で、シャンティ姫様が傷付かれたんだけど」


 あら、え?

 ライくんたら、ピカッテール……いえ、カゲッテーラ様にはぞんざいな口調なの?

 あらまあ、ちょっと新鮮ね。


「仕方ないだろう。私はライナルの味方なのだよ」

「頼んでないし、遅いよ」

「遅きに関しては謝罪する。それに、精霊は私を選ぶとばかり思っていたからね。……ライナルの姫君もそうだろう?」

「は? ら、ライナルのひみぇ!?」


 やだ、そんな爆弾発言を! ちょっと良いわねその響き!

 でも驚きすぎて舌を噛んじゃった! 痛い!


「おや、まだ覚悟が足りないのかな」

「……カゲッテーラ」

「……仕方なかろう。言葉を尽くすのは得意ではないんだ」

「要らないことを言い過ぎで、言わなきゃいけないことを省きすぎ」


 ……あ、それはあるかも。

 嫌だわ、時間が経つと更に舌が痛いわね。しかも奥歯で噛んじゃったようだわ……。うう、舌の左奥がズキズキするの。


「……それもお話した方がいいかな。済まないね、シャンティ公女。ライナルの口から話すと、色々と精霊が独自に思いを勝手に汲んで暴走するモノだから」

「……ひょ、ど、どういうことですの」


 ……シリアスな場面なのに、舌が回らなくて科白がイマイチ決まらないわね……。

 うう、痛い。


「シャンティ姫様の舌のお怪我に癒やしを」


 キャンピカリン! ピカリン!


「……? 何かしら、この異音」


 え? 今、ライくんの科白と共に鳴ったわよね。それに、この変な光は……。趣味の悪い色硝子みたいな色だったわね。

 護衛と侍女もザワついているわ……。

 あ、護衛が慌ただしく出て行ったわ。状況確認かしら。


「驚かせてすみません、シャンティ姫様」

「……え、何今の前衛的な音と、けたたましいピンクの光は。

 十年の間進化した、新手の教会の鐘の音?」

「ち、違います。シャンティ姫様。コレは精霊の祝福です」

「えっ……」


 ……せ、精霊の祝福?

 …………祝福。

 祝福?

 何も起こってないようだけれど。起こってないわよね?

 外を見に行った護衛も、安全でしたって言ってるし。


「舌の具合は如何ですか?」

「……未だ痛いわね。特に改善してないわ」

「精霊は独自に動きますから、恐らく怪我を精霊の感覚で癒やしたのでしょう」


 カゲッテーラ様が補足してくださったけど、……な、何じゃそりゃ。

 つまり、私の舌の傷は……痛みを感じるけど、ちょーっとだけ治ってるってこと?

 ……いや、有難いけど……そうなの? 本当に?

 単に、変な光と音を浴びただけの気分だけれど……。そんなに治った気がしないわ。


「癒やせと言っても、人の思う様には動かない。それが精霊です。ですが……」

「で、ですが、何かしら……」


 その付け加え方、大変嫌な予感がするわね。勿体ぶったお話し方が恐怖を唆るわ……。


「シャンティ公女。貴女はライナルの無邪気な思いつきを真に受けた精霊に、漬けられてしまいました。

 アレの名前は……まあいいですね。兄から貴女が歳上好きであると聞いたライナルは、思わず零してしまったのです」


 フッて笑うのが最高に似合われるわね……。そんな場合じゃないけれど。



精霊はスパークル一族にべったりなようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ