表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とばっちり騎士は、呪われ令嬢に勘違い気味な愛を捧げる  作者: 宇和マチカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/23

精霊に愛された者との逢瀬は思っていたのと違う

お読み頂き有難う御座います。

どうぞ台風の最中、お気をつけてお過ごしくださいませ。

 うむむむむ。

 その、ライくんにガセ情報を吹き込んだ騎士とやらは気になるけれど。それは後でも調べ……られるかしら。

 でも、10年も前の話だものね。

 何話してたかなんて、詳細に覚えてる者は、居るかしら。しかも、公式記録ではなく……恐らく通りすがりよね。

 目撃者は見つかるかしら。

 10年……少なくとも私は無理ね。覚えてられないわ。


 うーん、気になるけれど。分からない事を悩むよりも、今解る事を。

 ライくんから聞かねばならない話を聞くべきね。


「取り敢えず、精霊とは何なの?」

「万物に居たり居なかったりする……偶に話しかけてくる不審者って感じでしょうか」


 ……散々なコメントだけれど、良いのかしら。精霊ディスりはスパークル家なら良いのかしらね。お父様は信仰嫌がってたけれど、悪口? は駄目みたいな感じだったし。私も口に出さない方が良さそう。


「独自の感性で、スパークルの血を引く者に絡んできます」

「へえ……」


 精霊ってストーカー行為するのね……。色々抱いてたイメージがゴロゴロ崩れていくなあ。知識って怖いわねえ。


「国に加護を授けているっていうのは」

「スパークルを傷付けず生かそうとしている、その……」

「オマケで国にも作用してるって事かしら」

「ええと、恐らく……」


 精霊はあくまでスパークル侯爵家ファースト主義みたい……。成程、それならあの家への厚遇ぶりも納得出来るわね。国も保護する筈よ。


「一体、スパークル家は何をして、精霊の関心を引いたのかしら。人助けいえ、精霊助けでもしたのかしら?」

「奴らの感性は判らないです……」


 し、心底迷惑そうな顔ね……。

 でも、スパークル侯爵家には、直系の子孫が居る筈。傍系のライくんが選ばれたのは何故かしら。

 精霊には、人の決めた直系傍系関係ないって事でしょうけれど。


「当時のスパークル家の子息いえ、御令嬢だったピカ……カゲッテーラ様はどうして精霊の御使者様に選ばれなかったのかしらね」

「……その、ですね」

「ええ。

 ……何やら耳まで真っ赤だけれど、どうしたの」


 さっきの耳飾りのくだりの方が照れていい場面だったけれど。何か照れる事有った?

 ……部屋が暑いのかしら。此処、南向きで日差しが直にが当たるのよねえ。


「あの、ですね。精霊は……スパークル家の繁栄を勝手に喜んでいまして」

「お気に入りだものね」

「その、芽生えたての、恋を……特に、腹立たしい話ですが」

「芽生え……」


 え?どういう事なの。

 繁栄を願う。

 芽生えたての恋を好む……。それって……


「親戚の子供の初恋を、外野から無責任に囃し立てる面倒でウザったい感じ、の強化版かしら」

「姫様のご推察の通りです」

「成程、言いにくい事を素直に教えてくれたわね」

「いえ、姫様の知りたいことはな、何でも」


 ちょっとキュンってしたわね。

 今のは好感度高めよ。

 自分の恥ずかしさよりも相手を尊重出来るなんて、ナカナカ居ないわよ。

 良いお育ちをした……いえ、でも嫌がるライくんに嫌味を吐く嫌な親戚が居たのよね。

 それを放置した、マッシブスパーキン家も問題ね。次男だから放置した? よくある話だけれど、腹立たしいわね。

 ……そういや、マッシブスパーキン家の元伯爵夫妻や長男……ライくんのご家族はどうなっているのかしら。聞いたような聞いてないような……。


「ライくんの実のご家族って、今何を為さっているの?」

「再従姉が引き取って、今は疎遠ですね」

「そえ……疎遠」

「はい。仲が良いとは言えませんでしたので」


 そ、そうなのね。

 何となくそうかなーと察したけど。長男至上主義だったのかしら。

 ……んん? でも、ピカ……マッシブスパーキン伯爵カゲッテーラ様が引き取ったって事は……まさか……。

 そうだわ。使用人達の話……


「精霊の御使者様のご両親とご兄弟を騙る者共の罪……」

「あ、それ両親と兄です」

「……そ、そうなの?」


 そんなサラッと……余程嫌いだったのね……。でも、あんな……背は高かったけど幼子だった子供を親戚の嫌味から守りもしなかった親らしい、というべきかしら。


「はい。再従姉が捕らえました」

「……彼らが何をしたか、聞いても?」

「利権が欲しかったそうで、タカリに来ました」


 お、おう……。

 マッシブスパーキン伯爵家って、騎士団長を拝命する騎士の家系ではなかったの?

 滅茶苦茶とんでもないわ。こんな不遇を囲っていたなんて。


「ライくん……。辛かったのね」

「姫様がお目覚めになるのを、心待ちにしてましたから……」


 見つめ合った私達は……いい感じになりそうなのに、侍女達が私をガードしに来てるのがどうもねえ。

 その反復横跳びみたいな動きは何なのよ。


「マッシブスパーキン伯爵は、ライくんの保護者的立場なのね……」

「不本意ながら、そうですね……。俺には姫様が居るので、もう良いんですが」

「まあ……。ちょっとノカ、前に立たないで。ライくんが見えないでしょうが」

「万が一の事が御座いますし」


 ああ、読み物の令嬢と騎士は、どうやって逢瀬を楽しんでいるのかしら……。きっと警備がザル過ぎるのね……。

 でも、厳しい警備を掻い潜ったらそれはそれで令嬢の淑やかさは失われるし、罪もない警備の者達がクビになってしまう。

 ……どうやって逢瀬ってするのかしら。


「衝立越しのお話になるかと思ってましたし、直のお召を許して頂けるだけで……」

「ウチ、其処まで格式高かったかしら……」


 いやまあ、特に親戚以外を家に招いた事無いけれど。

 精霊もだけれど、思っていたのと違うわあ……。


恋愛ジャンルに雰囲気クラッシャー侍女達の話って、中々見ないですね。略奪系侍女ではなく、職務に忠実なんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ