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とばっちり騎士は、呪われ令嬢に勘違い気味な愛を捧げる  作者: 宇和マチカ


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10/23

未来は意外と見慣れたものだらけ

お読み頂き有難う御座います。

シャンティは疑問解決に挑みます。

 このままではいけないわ。

 幾ら私がか弱き&やんごとなき公爵令嬢であろうとも、人任せは良くないわ!!


 ……と言うか、本心はガッツリ人任せにしたいわよ。

 だって、私ったらタイムスリップしてんのよ。不安極まりないわよ。心細くてガタガタよ。ええ、昨日はぐっすり眠ってご飯も美味しいけれど、それはそれなのよ。私は繊細な公爵令嬢なんだから。


 でも、ここは未来……なのよね?

 馬車の帰り道に見た限り、あんまり変わらないわ。

 10年も経てばこう、文化も飛躍して……空を飛ぶ馬車とか、瞬時に着替えられるドレスとか、天まで高く伸びる建物とか……そういう未来的な物は無いみたい。

 うーん、意外とタイムスリップって微妙なのね。

 家が若干リフォームされてるくらいかしら。窓の木枠が若干違うわ。私が眠って直ぐに修理したのか、新しく……はないわね。


 で、お父様お母様は何でも泣きすぎてお疲れになって、朝食は私ひとり。ふわふわなのに火をちゃんと通した卵料理に、根菜も柔らかく煮込まれた野菜スープを美味しく頂いたわ。

 ……水分補給とか、大丈夫なのかしら。まあ、使用人は山程居るし、元々居る面子も頼り甲斐が……出てるでしょうしお世話は任せておきましょう。

 流石に昨日の繰り返し……号泣意味不明なまま劇場は今やりたかないわ。疲れるのよ。


「取り敢えず、着替えようかしら」

「お嬢様、此方が流行りの型でございます!」

「最新作ですわ!」


 ドヤ顔でバッサアと広げるのは良いけれど、見たことある馴染み深い形のドレスねえ。

 どうも私が眠っている間、ドレスを作ってくれていたみたい。それは有り難いんだけれど。


「……去年流行ったドレスよね、コレ」

「えっ……去年!? あ、じゅ、10年位前、流行りましたっけ……」

「えと、えーと……」


 流行が巡り巡ってるのか、ドレスも未来感が無いわ。

 この、腰にバッスルとかの詰め物してボリュームを持たせたドレス、また流行ったのね。布のパニエならまだマシで、ボリューム出す為に金属製品やら木製のバッスルが流行って、高齢御婦人が軒並み腰痛になったというのに……。


「で、でもお嬢様! 新種の染色技術が発明されまして鮮やかな赤が……! 今ならその美しい薄いピンクの御髪が映えますわ!」

「……そうねえ」


 赤かあ。

 王族が避けてきた色よね。けたたましさが薄まると思いきや、パワーアップするから。

 この薄いピンクじゃあ、着放題かあ。

 緋色に朱色に真紅……。何時の間にか広げられたサンプル布にちょっと心躍るわ。


「こんな鮮やかな赤、顔が負けないかしら」

「そこは……お化粧品も新作が御座いますから! ほら、そこの三段目の引き出しの白粉を用意して!」

「すみません主任!」


 成程、技術でカバーせよと。

 ……まあ、未だ顔色悪いものね。貝細工のコンパクトが……見たことのないデザインだこと。


 しっかしダルいな。私、あのピンクの粉に生命力でも吸われたのかしら。その辺の説明もないし……。

 一体誰に聞いたら良いの。

 伯父様……陛下とか?

 ……流石に、身内と言えどホイホイ謁見できる方ではないわね。

 確か、前は……10年前は謁見願い出したら10日掛かったかしら?


 精霊に詳しい人……。

 ライくんを呼べればいいけれど、両親が怒髪天を衝いてるぽいし。


「そうだわ、スパークル家……。いえ、マッシブスパーキン家の当主様……ピカッテール様」


 あの方なら、納得行く説明をしてくださるかも。

 ……初対面だけれど。


「え、マッシブスパーキン……カゲッテーラ様ですか?」

「違うわよ。ピカッテール様よ。精霊の御使者の候補だったでしょ」

「それがですね、お嬢様……。改名されまして」

「そ、そうなの」


 何でそんな暗そうなお名前に……。

 輝いてそうなお名前が嫌だったのかしら。


「その、御結婚されまして」

「……そ、そう……。

 そりゃ10年も経ってるものね。しょ、ショックだけれど……ショックだけれど!

 ……うう、時は巻き戻らないわ……」

「それ以前の問題でして……」


 これ以上何が問題なの。

 憧れの方の結婚より、何の問題が……。

 あ、ライくんからのアプローチはちゃんと覚えてるわよ。それはそれ推しは推し。引き際は弁えてあるの。


「カゲッテーラ様……当時ピカッテール様は、精霊の御使者様のご生家であるマッシブスパーキン家をお継ぎになられまして」

「ええ、そうね」


 そこまでは聞いてたわ。あわよくば御婿様に来てくんないかな〜って思ってたけれど。


「精霊の御使者様のご両親とご兄弟を騙る者共の罪を暴かれまして」

「……んんんんん?」

「神殿の神官殿と御結婚なされ……」

「ブハッ! え、まさかの同性婚!? 神殿の神官って、巫女じゃ無くて? しかも、神職って結婚出来たの!?」

「いえそうではなく……。本来の性別もカミングアウトされました」

「ほ、本来の性別ぅ!? 待って! 情報量が多すぎる!!」


 其処は小出しにして欲しかったわよ!!

 ……え、ということは……ピカッテール様は、御婦人でいらしたの!?

 あんなにイケメンでいらしたのに……!?


 で、でも。

 遠目からキャーキャー歓声を上げてたけれど……間近に見たことが無いわ!

 殿方の服装をされた、美女……!

 ……それはそれで、推せる……かしら。

マッシブスパーキン現当主はピカピカした名前が嫌いだったようですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 赤い絨毯の大階段を羽根をわんさかと付けて降りてこられるピカッテール様が、私の脳内でイケメン笑いをされておられました。 ちょうど先日、宝塚ホテルに行ったとこでしたので。 [気になる点] 病み…
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