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モノゴイと呼ばれた男  作者: クラノ恩樹
第1章 開拓村編
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8.はじめてのスキル発動

「ママ」とはじめて言葉を声に出してから3日後の事である。


俺はおしめを変えてもらっていた。

走れるようにはなったとしても、尿意や便意のコントロールなどできはしない。

当然のようにおしめを汚してしまう。


前世にある紙おむつなら交換するのもどうとでもなるのだろうが、

布のおしめを替えるなど難易度が高すぎる。


下の世話をされるのはこの上なく恥ずかしい限りだが、

あなたは赤ん坊なのですよ、と自分に言い聞かせてジッとしていた。


おしめの替えが終わったとき、

ミアがいつも腰紐につけている20cm程の木の棒がポロッと落ちるのを見た。


この村の人たちの服装はワンピースを腰紐で縛ったような、

前世の教科書で見たような貫頭衣に近いものだ。


落ちた木の棒が何なのかは知らなかったが、

ミアがいつも肌身離さずに持ち歩いていた。


起き上がって落としたそれを拾って渡そうとしたその時だった。


目の前が白くはじけ飛ぶような感覚に襲われ、

俺の意識はどこかに飛ばされてしまった。







「起きろー。ロイー。コラー。いい加減にしろよー。」


「ん、んん~…?ンエッ!?」


気だるそうな声で起こされたロイは、

目の前の人物を見て驚いた。


死後の世界で番人をしていた美人閻魔様(仮)がいるではないか!


「え、閻魔様!?なんでここに!

 …というか、ここはどこ!?」


当然、パニックになる。


(また死んでしまったのか!?木の棒を拾っただけなのに!?)


オロオロとみっともない限りではあるが、

頭が混乱してどうにもならない。


「ふむ。落ち着けロイよ。

 一つずつお前に説明していってやる。

 まあ、お茶でも飲め。」


美人閻魔様(仮)がそう言うと、

死後の世界のように真っ白の何もない空間の中に、

どこからともなくこたつとお茶が出てきた。


「怖いし!どこから出てきた!?こたつとお茶!

 っていうか、俺、赤ちゃんのくせにすげえ喋るし!」


そう、身体の感覚が死ぬ前の宇堂正太郎の時と変わらない。

まだまだトテトテ走りのロイ君の喋りや動きではないのだ。


「やかましいのぉ。

 それも説明してやるからまずは茶を呑め。」


「はい。」


美人閻魔様(仮)が不機嫌そうだ。

ここは、おとなしく「待て」の命令を聞くのが良いのだろう。



 ―お茶が美味い。



「まずは、この空間に関してだが、

 これはお前のスキル、【修練宝塔(しゅうれんぽうとう)】の中だ。」


「はい。」


「そして、我はお前の記憶の中からナビゲーターとして一番ふさわしい人物を再現されてできたもの。

 ここまでは良いか?」


「…多分大丈夫です。」


おそらく、これはアレだ。

前世にあったスマホの電話の声のシステムと一緒だ。


声を直接届けるのではなく、

何万通りもある声のデータの中から選びだされた電子音のそれと同じようなものだろう。


ということは、あそこで美人閻魔様(仮)に会っていなかったら、

別の人物がナビゲーターに選ばれていたという事だ。


出会いに感謝せねば!


「なにやら返事が頼りないのう。

 まあよい、次じゃ。我に名前を付けるがよい。」


「名前、ですか?」


「うむ。この人物データには名前がない。

 それでは不便故、お前がつけるがよかろう。」


「えーっと、閻魔様なんてどうです?」


「却下じゃ。」


「な、なんで!?」


「この世界の大いなる存在を敵に回したくないだろう?

 その名前は止めておけ。怒りに触れるぞ。」


この流れは前世のTVゲームで見たことがある。

ゲームでの経験上、何一つ良いことが無いから絶対に止めておこう。


「んー…じゃあ、エマさんはどうですか?」


一文字違えば別人ですよね?

もう、これしか思い浮かびません。


「…まあ、世界の理には反してないようじゃからいいが、

 我に対するそのイメージ何とかならんか?」


スキルのナビゲーターがエマさんになりました!

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